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(今日は、お正月番組の収録。
もうすぐ本番だけど、静香の準備はできてるかな?)
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えっと、ひさかたの……は、光で……。
白妙は衣……え、富士にもかかるの……?
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おはよう、静香。
随分難しい顔してるけど、どうかしたのか?
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あっ、プロデューサー。
お、おはようございます。
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えっと……今日の撮影で和歌を詠むと聞いたので、
百人一首の勉強をしていました。
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そうだったのか。でも番組だし、そんなに本格的な
和歌を詠もうとしなくても、いいと思うんだけどな。
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いえ! このために、時間を割いてきたんです。
絶対に、いい歌を詠まないと……。
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おお……すごい気合いだな。
それじゃ、期待させてもらうよ!
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もう、プロデューサー!
プレッシャーをかけないでください!
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私だって、和歌を詠むなんて初めてなんですから!
ちゃんとできるかどうかだって、わからないのに……。
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そんなに気にしなくて大丈夫だよ、静香。
ステージで歌う時と同じように、思いっきり詠もう!
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で、でも! ステージで歌を歌うのと、
和歌を詠むのとじゃ、全然違うと思いますけど。
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そうかな? 言葉に思いを乗せるのは、
どちらも同じだと思うけど。
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違うとしたら……和歌は三十一文字っていう決まりが
あるけど、アイドルにはそれがないくらいかな?
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プロデューサー……。
……言われてみれば、たしかにそうかもしれませんね。
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自分の気持ちを、歌に乗せる……千年も昔から、
ずっと変わらずに続いてきたことなんですね。
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わかりました。
その言葉を信じて、自分なりの歌を詠んでみます。
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ああ! ところで、どんな歌を詠む予定なんだ?
よかったら聞かせてほしいんだけど。
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本番まで内緒にしたかったんですけど……仕方ないな。
内緒ですよ? 掛詞を、使ってみたんですけど……。
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『あしひきの 山鳥潜む 枯れ野瀬よ
羽ばたかせるは たれの葉っぱか』……。
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冬の小川で身をすくめる山鳥が、誰かが踏んだ
枯葉の音で驚いて、空に羽ばたいた時の情景です。
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そ、そうなのか。風情があるというか……
静香は、難しい言葉を使うんだな。
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はぁ……。プロデューサーに、わかると思った
私がバカでした! 収録、行ってきます!
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(怒らせてしまった……。もしかして、
さっきの和歌には、別の意味もあったのかな……?)