MLTD Archive(β)

お気に入りの物語 七尾百合子

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(わああああああーーっ!)
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公演の幕が下りても、歓声が鳴り止まない……。 百合子、お疲れさま! いいステージだったぞ!
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うう……でも、プロデューサーさん……。 私の勇気は、もう消えちゃいそうです……。
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ええっ!? と、突然どうしたんだ?
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実は私、このステキな衣装でライブができるって 知ってから、ずっとワクワクが止まらなくて……。
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それで、この衣装ならではのMCを 私なりにいろいろ考えたんです。
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私好みの衣装を用意してもらったんですから、 その期待に応えようって思って……。
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ちゃんと魔術書を操る魔法使いらしく、 カッコイイ呪文みたいな決めゼリフを唱えようって!
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そ、そうだったのか。そういう期待は別に…… いや、前向きでいいと思うぞ。
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なのにどうして、勇気が消えちゃいそうなんだ?
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それが……私、すっかり舞い上がっちゃって…… 言おうと思ってた台詞も呪文も、全部飛んじゃって……
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ううっ、ごめんなさいプロデューサーさん! 私、やっぱり偉大な魔法使いにはなれませんでした~!
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そ、そうか……。よし、とりあえず落ち着こう。 ほら深呼吸、深呼吸して。
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は、はい……す~、は~……す~、は~……。 ちょ、ちょっと落ち着いてきました……。
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落ち着いたなら、何か聞こえてこないか?
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え? 聞こえるって何が……。あっ。
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(アンコール! アンコール!!)
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みんなが……私を呼んでる……!
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呪文は唱えられなかったかもしれないけど…… ちゃんと魔法はかけられたみたいだぞ!
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プロデューサーさん……!
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ほら、魔法使いとして、魔法をかけた 責任をとらないと。……準備はいいか?
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はいっ。……私、大丈夫です! アンコール、がんばれます!
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あっという間に勇気がわいてきました。 なんだか私が魔法にかけられたみたい……。
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あ、実はファンのみんなとプロデューサーさん こそが、真の魔法使いってことですね! ふふっ♪
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