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(今日は瑞希が演じる支配人のラストシーンの
撮影だった。物語の、重要なシーンだったな……)
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瑞希、お疲れさま。クライマックスシーンの
迫真の演技、すごく良かったよ。
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すみません。さっきまで支配人だったせいか、
自分のことを呼ばれていると気づきませんでした。
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私は、アイドルの真壁瑞希。真壁瑞希。
……よし。いつも通りだぞ、瑞希。
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そうか……名前を呼ばれても気付かないなんて、
それだけ役に入り込んでたって事だな。
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はい。私なりに支配人のことを考えて、
気持ちが伝わるよう、たくさん練習しました。
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結末は、他の人が見たら、不幸かもしれません。
でも支配人の場合は、自分で選んだことでもあります。
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だから、精いっぱいがんばりました。
……支配人の気持ち、伝えられたかな。
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そうか。……うん。
瑞希の……支配人の気持ちは、きっと伝わるよ。
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プロデューサー、ありがとうございます。
……そうだといいな。
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この役が決まってからずっと、支配人のことばかり
考えていました。お風呂に入っているときも、ずっと。
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おかげで、何度かのぼせてしまいました。
……うっかり。
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いや、それは気をつけて……瑞希に何かあったら困る。
何はともあれ、撮影が無事終わってよかったな。
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瑞希が役について一生懸命考えたからこそ、
物語の重要なシーンが、しっかりと締められたんだ。
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はい。……プロデューサー。
これもひとつの、愛の形、でしょうか?
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ああ、そうだな。でも、そのつけヒゲのまま
言われると、なんだか説得力が……。
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はっ。……忘れていました。
けど、このつけヒゲは私のお気に入りなので。
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私の撮影は、これでもう、終わりなので。
今日は最後まで、この姿でいようと思います。
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(瑞希は名残惜しそうに、つけヒゲに触れていた。
……難しい役、最後までよく頑張ったな。お疲れ様!)