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(今朝、歩が何かを気にしているようだったけど、
結局聞きだすタイミングがなかった……)
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ふう……。
今日は、こんなところでしょうか~。
3
お疲れさま。みんな、見違えたよ。
すごく迫力のあるダンスになってたぞ!
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やっぱり、今みたいなダンスの方が、
今のアタシたちにも合ってるのかな……。
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月のイメージと一口に言っても、ひとつじゃない。
いろいろ試して、レベルアップしていこう!
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今回の私達は、
夜の闇を彷徨う子豚ちゃん達を導く月……。
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激しいだけでも、穏やかなだけでもなく。力強さと
優雅さを兼ね備えていなくてはいけませんからね~。
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おお……さすが朋花、
しっかりしてるっていうか……。
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そうだね! いろいろ試して、
もっともっと表現の幅を広げていこう!
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あ、そうそう、歩さん?
ちょっとこの後、残ってもらっていいですか~?
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へっ!? あ、アタシ!?
時間はあるけど……どうしたの?
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ん? 朋花、仕事の話なら、
俺も残った方がいいよな?
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何を言っているんですか?
プロデューサーさんが残るのは当然です~。
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担当アイドルを置いて帰ろうとするなら、
罰を与えますからね~?
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……そ、そんなこと、するわけないだろ?
じゃあ俺も残るから……紗代子、お疲れさま。
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では、準備をして来ますから、
少し待っていてください~。
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(というわけで、朋花と歩の居残りミーティングに
俺も付き合うことになった)
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……プロデューサー、どうしよう!?
アタシ、朋花に怒られるかも……。
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ほら、今朝も言ったけど、なんかアタシだけ、
みんなの役に立ててない気がしない?
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だってアタシ、物静かでも落ち着いてもいないし、
ミステリアスでもないし……。
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月の公演なのに、全然月らしいことできてないんだよ!
でも、朋花はその辺カンペキだから……。
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……お待たせしました~。
実はですね、歩さん。
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歩さんに、ダンスの特訓をしてもらいたいんです。
お願いできませんか~?
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うんゴメン、できません!
……え? い、今なんて?
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? ダンスを教えてください、と言ったのですが……?
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ダンス!? って、なんで?
朋花なら、もうバッチリできてるじゃん。
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ふふっ、あの程度で満足してはいられません。
紗代子さんも言っていましたよね?
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私を崇拝する子豚ちゃん達のためにも、
聖母として、月として。高みを目指さなくては~♪
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……そういうことか。
なんか、アタシ……ますます肩身が狭いなあ。
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うん……さっきプロデューサーにも言って
たんだ。アタシだけ、全然月らしくなれてないって。
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月らしく……ですか? でも、歩さんはもう、
立派に月を体現してるじゃありませんか~。
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歩さんは、本場のダンスを学ぶために
アメリカまで行かれたんですよね~?
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本場の子豚ちゃん達にも喜んでもらうために、
たくさん努力をしたんですよね~?
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いや……っ。そんなに
大したもんじゃないんだよ!
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アタシはただ……みんなと一緒に最高に盛り上がれる
くらい、踊れるようになりたかった……それだけだよ。
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そうですよね。そういう姿勢を、
私も聖母として見習いたいと思います~。
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……そうだな。最高に盛り上がりたいっていう歩の
気持ちは、つまり、みんなに輝いてほしいって事だし。
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それで歩も最高に輝けるっていうなら……。
歩はこれ以上ないくらい、月らしいってことだ!
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ええっ!? そ、そうなのかな? そんなホメられる
と……く、くすぐったいっていうか、恥ずかしいよ~!
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恥ずかしがることないだろ?
もっと自信を持っていいと思うぞ!
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う、うん……わかった。
サンキュー、朋花! プロデューサー!
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おかげで、自信……とまではいかないけど……
うん、スッキリした!
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よしっ、んじゃバリバリっといきますか!
さあ朋花、ダンスの特訓、スタートだ!
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ふふっ、ありがとうございます。
では、よろしくお願いしますね~♪
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(ふたりの特訓は夜まで続いた。さすがの朋花も、
歩にみっちりしごかれてヘトヘトみたいだ)
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大丈夫か、朋花? 歩は先に帰したし、朋花が帰るのは
もうしばらく休んでからでもよかったんだけど。
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ふふ。私の心配だなんて、十年早いですよ~♪
聖母として、月として……このくらいは当然です~。
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そうか。でも、無理だけはするなよ。
月だって、たまには雲間に隠れるんだからな。
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ふふ、なんですか~? そんなことを言って
自分が休みたいだけじゃありませんよね~?
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いや、そんなつもりは……
あ、でも、ちょっと休みたいかな?
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……すぐバレるウソをつく人は、お仕置きですよ?
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……ふふっ。安心してください。
今後、私に休息が必要な時は……。
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あなたに、私の雲となってもらうことにします。
責任重大ですよ、プロデューサーさん♪
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もちろん、構わないよ。
いつでも呼んでくれ!
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(朋花の顔に、普段とは少し違う表情が浮かんでいた
気がするのは……月のせいかもしれないな)