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(今日はいよいよ、千早と静香の合同レッスンだ。
今は、千早だけが先に来て待っている)
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そういえば、まだちゃんと言えていませんでした。
今回、この曲を私たちにいただけて……。
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本当に、ありがとうございました。それから……
勝手なことばかり、すみませんでした。
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ああ、スタジオのことか。
大丈夫だよ、問題もなかったし。それに……。
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あんな風に、曲に前のめりになるくらい
気に入ってもらえたのなら、よかったよ。
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自分のすべてを歌にこめる……。
今まで何度も口にした言葉。でも……。
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今回は、心の底からそう思えたというか。
むしろ、そのためにある曲のように思えました。
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自分のすべて、か……。
それはつまり、どんな千早なんだろうな。
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どうでしょう……。難しいですね。
丸ごとの自分を表現する言葉……。
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はい。もしかしたら、それは……。
炎。私という、ただの、燃えるもの。
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ただ、光を放っていたい。
ただ、燃えていたい。それだけなのかも。
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炎か……。なるほどな。
燃えて何かをしたいってわけでもなくて……。
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はい。見せたい……示したい。叫びたい。
私はここにいると。これが私だと……。
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あ……、そうですね。
静香もきっと、そういうところが。だから……。
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そういえば、最初に静香と歌いたいって、
千早も言ってたよな。あれはどうしてなんだ?
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あれは……浮かんだんです、イメージが。
私の隣で歌っているのは……もう、静香でした。
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でも、今なら理由も分かる気がします。
あの子も……いいえ、あの子こそ。
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ひたすらに、ひたむきに。……それに、すこやかに。
どこまでも大きく、空高く燃え上ろうとする……。
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そうか……やっぱり、よかったよ。
ちゃんと届いていたみたいで。
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今回のこの曲のこと。ステージで光を放つために、
全てを賭けて燃え上がる……。
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曲を発注した時にイメージしたのは、まさにそういう
アイドルなんだ。千早がいま言ったみたいな。
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……そうだったんですか。
じゃあ、本当に最初から……。ふふっ。
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はぁ、はぁ……!
すみません、千早さん! プロデューサーも!
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静香、お疲れさま。どうしたの? まだ時間前よ。
私が早く来ていただけで……。
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ち、違うんです、ごめんなさいっ! あの……。
今日のレッスン、延期、してもらえませんか?
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まだ……まだなんです。私、まだあの曲を、
自分のものにできてなくて……。
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まだ……見せたくない。千早さんにも、誰にも見せたく
ないんです! だから……もっと……!
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わかった! スケジュールは調整するよ。
そのかわり……期待させてもらって、いいんだな?
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は、はい! もちろんです!
ありがとうございます、それじゃ……!
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あの、私……。私も、見て欲しいです。
千早さんに……私を。私の全部を!
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……。ええ、もちろん。
あなたのすべてを、見せてもらえるまで……。