3
紬、お疲れさま。とりあえず全体を通してみたけど
……うん、まだ、難しそうだな。
4
……難しそうではなく、難しいのです。
歌も踊りも、身についていなくて……。
5
はっ。もしかして、貴方は落ち込んでいる私をさらに
落ち込ませるために、わざわざ確認しにきたのですか?
6
ち、違う違う! ほら苦戦してるみたいだったから、
まずは声をかけただけで!
7
みたいではなく、苦戦しているのです!
今回は私達5人だけでセトリをやりきるのですから!
8
覚える曲は一気に増えましたし、もう覚えた曲は
より洗練させなくてはいけませんし……!
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そ、そうだよな。
もちろん、大変だと思う……。
10
……こけら落とし公演を終えて、この劇場はもう
たくさんの人にとっての大切な場所となりました。
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私の、だけではなく。私達の……もしかしたら、
お客様方も含めた、みなさんのお家……。
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その始まりとなる、第1回定期公演。最高のスタートで
飾って、次に繋がなくてはいけません。
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ですが気が急くばかりで時間はいたずらに過ぎていき、
歌詞やフリは一向に入ってこず……ううう……っ!
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ああっ、ぐるぐるしちゃってる!
ま、まずは落ち着こう、紬!
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ふう。いろいろ考えてくれているのは嬉しいけど……
でも、ちょっと考え過ぎなのかもな。
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1回目の定期公演だからとか、そういうのは正直、
忘れたほうがいいと思う。ほら、些細なことだから。
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……は? なにを……?
1回目の定期公演は、些細なことではありませんっ!
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でも、1回目だけの特別にすごいステージとか、
そういうのを見せて欲しいわけじゃないんだ。
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定期公演はこれからもずっと続いていく。だから、
その時にできることを、見せてくれればいい。
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もちろん、失敗とかはしない方がいいけど、
大事なのはそこじゃないと思う。それより……
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お客さんに楽しんでもらうことが一番じゃないか。
ここがみんなのお家なら、なおさらね。
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お、おためごかしというものです。どちらにしても、
たくさんの曲を覚えることに変わりありませんっ。
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はい。でも、大丈夫です。
おかげさまで私も……、その、覚悟が決まりました。
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あれ? いや、
覚悟を決めて欲しかったわけじゃなくて……。
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気負いすぎない覚悟です。もちろん、失敗してもいい
なんて、無責任なことは考えていません。
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ただ、何よりも……、笑顔でお迎えしたい。
そう、思い直しただけです。
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あ……。うん、そうだな。
そのために、紬もアイドルを楽しんで行こう!
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……。そうですね。
アイドルを……この夢のような日々を、大切に……。
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プロデューサー、ありがとうございます。
少し行き詰っていましたが、希望が湧いてきました。
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うん、よかった。
それじゃ、もう大丈夫かな?
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いいえ、何ひとつ大丈夫ではありません。
足りないものは、足りないままなのですから。
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ですからレッスンの予約、お願いできますか?
その……。
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まずは今日、しっかりと……。
アイドルを楽しめるように。