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私たちが『竜宮小町』

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(いよいよ『竜宮小町』のデビューライブの日時も 決まり、ステージレッスンが始まった……)
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ワン、ツー、スリー、フォー、ワン、ツー! ……ふう。
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けっこうテンポ速いわよね。 亜美、サビ前で遅れないよう気をつけてちょうだい。
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うん、いおりんは出だしんトコ気を付けてね~♪
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私は両方とも気をつけなくちゃ。 もう少し、回数をこなしていきましょう。
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……。
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……さすが、初合わせとは思えない出来だな。
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ええ、思った以上……! 3人ともすごいと思いません? 思いますよね?
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ああ、プロデュースした人も含めると、 4人ともすごいと思うよ。
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あははは、ありがとうございます。 でも、やっぱりあの3人ですよ、すごいのは。
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ステージの主役はアイドルですからね。 ライトを浴びて、歓声と光につつまれて……。
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ふふっ、うらやましいくらい。 ……なんて、今はただの妄想ですけど。
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……。
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さ、それより仕事仕事! みんな、もう一度頭から合わせてみましょう!
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ちょっと待ってくれる? その前に、律子に話があるの。
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? どうしたの、あらたまって……。 あ、場所変えましょうか。
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このままでいいわ、あずさと亜美とはもう話したから。 ねえ、律子。私もいろいろ考えたんだけど……。
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とりあえず、今日レッスン着持ってきてる?
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……は?
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持って来てるなら着替えてきてちょうだい。 次からレッスンに入ってもらうわ。リーダー命令よ♪
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ちょ……なに言ってるの? 前にも言ったでしょ、私はメンバーじゃなくて……。
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プロデューサーでしょ? そんなの知ってるわよ。 でも、物足りないの!
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いいじゃない、あんただってアイドルなんだし。 たまにステージに出た方がサービスにもなるわ。
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よくないわよ、これはユニットのコンセプト、 バランスの問題。私は最初から数に入ってないの。
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あなた達3人だけの魅力で、竜宮小町はできてる。 実際今も、手応えがあったはずよ。……でしょ?
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ええ、伊織ちゃんが引っ張ってくれて、亜美ちゃんが 盛り上げてくれて。さすが律子さんだって思いました。
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ただ……。私たちは、3人で竜宮小町っていうより、 4人で竜宮小町って言える方がいいなぁ、なんて。
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あずささん……。
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亜美も、律っちゃんが壁際でジーッと見てるだけだと、 なんか落ち着かないんだよ~。一緒に歌おうよ~。
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それとも、アイドルするのイヤになっちゃった? もうステージに出たくない?
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そういうことじゃないの! イヤになってないし、 これからもアイドル活動は続けるってば。
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ただ、中途半端にはやりたくない。 アイドルとしても、プロデューサーとしても。
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だから、アイドルは続けるけど、竜宮小町での私は あくまでもプロデューサーであるべき。そう思ってる。
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……そう。わかったわ。 どうしてもっていうなら、もう無理強いしない。
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でも、これだけは覚えておいてちょうだい。 竜宮小町は律子、あんたが作ったユニットよ。
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あんたがどこにいようとそれは変わらないし、 3人でも4人でも、私達の魅力は1ミリも減らないわ。
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たとえ、あんたが竜宮小町のセンターになってもね!
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……。 なによ、それ……。
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さっきのレッスン、律子の身体も動いてた。 フリは全部入ってるんだよな。
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顔も嬉しそうに輝いてたよ。 ステージでライトを浴びてる時みたいに。
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ちょ、ちょっと、プロデューサーまで! 話をややこしくしないでください!
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ややこしいことを言ってるのは、律子じゃないかな。
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はいぃ!? どこがですか? 私は至極真っ当なことを言ってるつもりですけど!?
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うん。アイドルとプロデューサー、 ケジメをつけて専念するのは正しいと思う。
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でも、敢えてケジメをつけないで、臨機応変に。 ……そんな未来があってもいいと思うよ。
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できるのに……。やりたい気持ちもあるのに、 やらないなんて。単純にもったいないだろ?
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……。そんな、もったいないって…… 人を食べ物みたいに……。
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もったいね~、もったいね~。 アイドルが歌わないのは、超もったいね~。
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……怒るわよ。
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はいっ、なんでもありませーん……。
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はぁ……。みんな、本当に……、 良くも悪くも、正直なんだから。
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でも、そうね。どうせやるなら…… やりたいこと、全部やってみましょうか!
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! じゃあ……!
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もう。簡単に言ってくれますけど、 両方やるのなんて、絶対大変なんだから……。
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でも……そうですね。難しく考え過ぎていたのかも。 私も竜宮小町で歌いたいです、臨機応変に。
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本当に……いいのね?
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もちろん! 最初からそう言ってるじゃない。 忙しいときに抜けるぐらいは、許してあげるわ♪
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それじゃ、もう一度アタマからやりましょうか。 今度は律子さんも一緒に。うふふ♪
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律っちゃんは最後に正式加入したから、 亜美の後輩ね! ねえねえ、パン買ってきて!
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……ええ、いいわよ? 何がいいですか~? 真っ赤な紅ショウガたっぷりの焼きそばパンかしら~?
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やっぱ、いいでーす……。
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(……プロデュースの正解はきっと一つじゃない。 律子の企画を超える、4人の竜宮小町に期待しよう!)
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