1
(エミリーはやはり和を取り入れたいとのことで、
浅草にある呉服屋にやってきた)
2
(ここで着物を見繕ってもらって、
撮影に挑む予定なんだけど……)
3
あの、ではこういう色合いのものは……?
裏地も素敵で……。
4
あー、そりゃこの時期のもんじゃないよ!
ほら、季節が合ってないだろ?
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それと、八掛にこだわって玄人ぶるのは百年早いって
もんさ! 柄と帯の組み合わせをちゃんと考えてから!
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う、すみません……。
憧れがあって、つい……。
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銘仙ね。悪くないけど、その柄だと金髪が品なく
見えるじゃないか。アンタには似合わないねぇ。
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……まったく。せっかくうちに来といて、
困ったもんさね。ちょいとごめんよ!
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(言うだけ言って引っ込んでしまった。
だいぶチャキチャキ系の女将さんだな……)
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あ、あの……っ!
ありさはエミリーちゃんの金髪、大好きです!
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あ、もしかして……。
ふふっ、大丈夫です。ありがとうございます。
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はい。女将さんの言っていることは
正しいと思いますから。
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金髪に合う着物は限られることは、
最初から、わかっていたんです。
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とんでもありません。
そんな立派なことではなくて……。
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こういうことは、よくあるんです。
大和撫子になりたいと夢見た時から……。
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いえ、英国にいる頃、父から日本のことを
伝え聞いていた頃からでしょうか。
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英国とはまるで違う伝統と文化。手を伸ばしても、
飛び込んでも、なかなか手が届かなくて……。
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イギリスと日本じゃ、言葉も文化も考え方とかも、
いろいろ違うからな。髪の色だけじゃなくて……。
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はい。かといって、生まれ育った
英国が嫌いというわけではありません。
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無理に黒髪に染めようとは思いませんし、
紅茶や、父や母のことも大好きです。
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英国での思い出も、日本への憧れも……
私にはどちらも大切で、愛しいものです♪
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あ、もちろん、自分に都合のいいことばかり
言っているとは思うのですが……。
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Wow! きらびやかな振袖ばかり……!
小紋ではなくて、いいんですか……?
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ここまで来て半端な遠慮するもんじゃないよ!
華の塊みたいなナリしてんだから、素直に振袖!
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アンタ姿勢がいいんだから、衿芯も帯板も
しっかり入れて、絵羽模様びしっと決めな!
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さあさ、ここまで持ち出させたんだ!
遠慮はナシだよ!
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(エミリーは輝くような笑顔で目録を眺め、
選んだ振袖で見事な一枚を撮ることとなった)
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(残るは亜利沙だけど……。
どうやら心は決まったみたいだな)