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(静香の初センター公演に向けて、
レッスンが始まった。今日は未来達も一緒だ)
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あそこでステップして……3拍めでターンして……。
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みんな、何をしてるの?
レッスン、始めるわよ。
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静香ちゃん、飛ばし過ぎだよ~。
いきなり、どうしちゃったの?
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(確かに、ちょっと飛ばし気味だったな。レッスンは
毎日あるんだし、ペース配分に気をつけないと……)
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みんな、お疲れさま。
今日はもう終わりにしよう。
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やったぁ!
ねぇねぇみんな、アイス食べて帰ろ~?
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わたしも、いいんですか?
わぁ、ありがとうございます!
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あ……ごめんなさい。
私は、ちょっと残っていくから。
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私は、プロデューサーに聞きたいことが
あるから。だから大丈夫よ。
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ほら、星梨花は門限があるんでしょ?
早く行かないと、寄り道できなくなっちゃうわよ。
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そっか~。
じゃあわたし達、先に帰ってるね。
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さてと……
今日やったところ、おさらいしなくちゃ。
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い、いつからいたんですか?
いるならいるって、声くらい掛けてください!
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え……? いや、最初からいたし、
さっきも俺がレッスンを終わらせただろう?
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(そうか。俺に聞きたいことっていうのも口実で、
ただレッスンを続けたかっただけか……)
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どうしたんだ、静香。
本番に向けて、何か心配事でもあるのか?
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何かって……。もう、何を言ってるんですか?
あるに決まってます。……全部です。
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全部は全部です。
歌もダンスも、パフォーマンスも……心配です。
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今の時点で必要なことはちゃんとできてるし、
そんなに心配しなくてもいい気がするけど……。
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プロデューサーの言うことだけじゃ、
信用できません。
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そ、そうか……。それは残念だけど、
それじゃ、どうしたものかな。
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失礼します。
……すみません、使用中でしたか?
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ああ、お疲れさま、千早。
もう仕事は終わったのか?
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はい、プロデューサー。
予定より早く終わったので、自主練習をしようかと。
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青羽さんに、レッスン室が空いていると
聞いたのですが……先を越されてしまいましたね。
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! す、すみません!
今すぐ、片付けますっ!
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いいの、最上さん。
空いていたら、使おうと思っただけだから。
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そうだ。静香、歌に不安があるって言ってたよな。
なら、千早に聞いてもらわないか?
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ええっ!?
そ、そんな! 千早さんになんて、私……。
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千早は、事務所の先輩じゃないか。
レッスンを見てもらうのはいいことだと思うけど。
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千早、どうだ?
静香のレッスンを見てやってくれないか?
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わかりました。人のレッスンを見ることが、
自分自身の勉強にも繋がると思いますから。
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最上さん。
ご迷惑でなければ、聞かせてもらえるかしら。
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そんな、迷惑だなんて……!
あの、私のほうこそ、よろしくお願いしますっ!
59
ありがとう。
……それじゃ、始めましょうか。
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お疲れさま、最上さん。
とても良かったと思うわ。
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ええ、けど……そうね。あえて言うなら、
少しだけ歌が走ってしまっていたみたい。
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最上さんの曲は、確かに少しテンポは速いけれど。
引っ張られてしまわないように、気をつけて。
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それから……声も、少し硬い印象で……。
きっと、体が硬くなっていたのね。
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この曲は、前半の伸びやかさが、大きな魅力でもあると
思うの。だから……あまり緊張しないで。
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どういたしまして。
最上さんの想い、ファンの皆さんに届くといいわね。
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私……私、必ず届けてみせます!
私の想いを……歌を、ファンの人達に!
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お疲れさま、静香。
よかったな、千早に褒められたじゃないか。
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「どうして怒ってるんだ」、じゃありません!
突然、千早さんの前で歌わせるなんて……!
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そう言われても、練習になると思ったし……
千早も是非って言ってたんだし、いいじゃないか。
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そういう問題じゃありません! よりにもよって、
千早さんみたいなすごい先輩の前で……。
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でもセンターになったら、
千早より前で歌うことになるんだぞ?
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センターなら、先輩を超えるつもりで、
頑張らなくちゃな?
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わ、わかってます!
だからって、あんな急に…緊張するじゃないですか!
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なんだ、それで怒ってたのか。
お客さんの前で歌うより緊張したとか?
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も、もう……!
プロデューサーなんか、知りません!
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私、本番では緊張なんかしませんから!
絶対にしませんからねっ!
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(多少、荒療治だったかもしれないが……
肩の力は抜けたみたいだ)
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(千早の言葉で、静香に火が着いた。
あとは、本番を迎えるだけだ!)