MLTD Archive(β)
メインコミュ 第 4 話 公演前 2 / 5 パート

ふるえるこころ

音声再生は内部プレビュー専用です。本文はどなたでも閲覧できます。

1
(初センター公演に向けてのレッスンが始まってから、 紬はほぼ毎日、自主的に振り付けの練習をしている)
2
(それは素晴らしいことなんだけど……)
3
はぁ、はぁ、はぁ……。 やっぱり、うまくできん……。
4
でも……、もっと練習せんと……。
5
紬、お疲れさま。 今日も自主練なんて、精が出るな。
6
!? プロデューサー……。
7
ひ、人のひとり言を盗み聞きするなんて…… あなたはどこまで底意地が悪いのですか?
8
い、いや、別に盗み聞きしてたわけじゃないぞ。 ただ、紬の様子を見に来ただけで。
9
それより、あまり根を詰めすぎないようにな。確かに 公演は近いけど、体調を壊したら元も子もないし。
10
根を詰めないといけないから、詰めているのですっ! いったい、誰のせいだと思って……。
11
あっ。仕掛け人さまと紬さん?
12
……っ!
13
おふたりとも、何をしてるんですか?
14
こ……こんにちは、エミリーさん。 今はその……えっと……。
15
まあ、ちょっと本番に向けて、 振り付けの確認ってところかな?
16
あ……は、はい、そうですね。おおむね……。
17
やっぱり! 本番の舞台を素晴らしいものにしようと、 片時も手を抜かないその姿勢……。
18
さすが紬さんです! 私も紬さんの主役公演が 盛り上がるよう、力の限り頑張らせていただきますね!
19
あ、ありがとうございます、エミリーさん。 こちらこそ、本番はよろしくお願いいたしますね……。
20
はい♪ もしよろしければ、この後の自主練習、 ご一緒させていただいてもよろしいですか?
21
立派な大和撫子となるために、紬さんが表現する 和の心を、もっとお勉強させてほしいんです♪
22
私の表現って……。 そ、そのように言われましても、私はまだ……。
23
あら、みんなお揃いでどうしたの? もしかして自主レッスン?
24
はい! 紬さんにお願いして、 私もこれから参加させていただくところです♪
25
なら、ちょうど良かった。 お姉さんも参加させてもらっていいかしら?
26
ちょうど、紬ちゃんと合わせておきたいところが あったのよね~。よろしくね、紬ちゃん♪
27
合わせるって……。でも、あの、私……。
28
紬、やってみたらいいんじゃないか? 公演には一緒に出演するんだし。
29
ほら、みんなと一緒に練習して初めて気づくことも、 結構あると思うぞ。
30
…………。
31
わかりました。それではエミリーさん、このみさん。 どうぞよろしくお願いいたします。
32
はい! こちらこそよろしくお願いします!
33
(どうやら紬は、次の公演に向けて、 かなり不安を抱えているらしい)
34
(仲間と一緒に練習することで、 少しでも解消できればいいんだが……)
35
ふぅ、いい汗かいたわ~。ふたりともお疲れさま! ここでいったん休憩にしましょうか。
36
はい、わかりました。 私、みなさんの飲み物を買ってきますね。
37
はぁ、はぁ、はぁ……。 私は、もう少し、続けます。
38
紬、このみさんの言う通り休憩しよう。ずっと 踊りっぱなしじゃないか。無理はよくないぞ。
39
…………。
40
今の練習を見た上で、まだそのように…… のん気なことが言えるとは、心底……驚きました。
41
私だけ……ステップが全然、身について…… いないことが、お分かりになりませんか……?
42
紬ちゃん……。プロデューサーは確かに ちょっとのん気だけど、そういうことじゃないのよ?
43
そ、そうそう。その状態で練習を続けても、 かえって逆効果だ。
44
ただいま戻りました。あちらの机に飲み物を…… 紬さん? もしかして、まだ練習の続きを?
45
……そのつもりです。
46
紬ちゃん……。
47
すごいです……。あんなにたくさん踊ったのに、 まだ続けるなんて。さすがですっ!
48
……っ。
49
私もぜひご一緒させてください! 紬さんの 雅な振る舞いを、もっと学ばせていただきたいです!
50
もう、やめてくださいっ!
51
え……?
52
エミリーさん、私は……、あなたの手本と なれるような者ではありません。
53
あなたの方が、私よりずっとお上手で……。 もう、うちのこと構わんといてっ!
54
つ、紬さん!? ……あ、あの、仕掛け人さまっ? 私、紬さんを怒らせてしまったのでしょうか……?
55
あ! やっぱり私、お邪魔だったんですね!? だ、だから……!
選択肢
56
それは違うよエミリー。 そうじゃないと思う。
57
そうね。紬ちゃんは、きっと……エミリーちゃんに じゃなくて、自分に怒ってるんじゃないかしら。
58
で、でも……。あ、あんなに……!
59
……お兄ちゃん? 今、紬さんが衣装部屋の方に走っていったけど……。
60
って、何この空気? いったい何があったの??
61
いや、ちょっとした行き違いというか……。
62
プロデューサー、桃子ちゃんも 来てくれたことだし、エミリーちゃんは私に任せて。
63
プロデューサーは紬ちゃんをお願い。……ね?
64
……すみません、このみさん。 エミリー、大丈夫だからな。ちょっと行ってきます!
65
ぐすっ…………。どうしよ……。 うち、なんてこと……。
66
紬……。少しは落ち着いたか?
67
プロデューサー……。
68
落ち着いたのではなく、気分が沈んだだけです……。 ぐすっ。聞かないと……わかりませんか?
69
い、いや、なんとなくわかるよ。 それでも多少、気は静まったかなと思って。
70
…………。
71
あの……ひとつ伺ってもよろしいですか?
72
もちろん。どうしたんだ?
73
一体どうして……。 どうして私がセンターなのです?
74
まだ満足に振り付けも覚えていないのに。 みんなより、まだ全然できていないのに……。
選択肢
75
……紬がそうやって、できてないことを 気にしてるみたいだから、かな。
76
……。
77
つまり、私をさらし者にして あざけるために……?
78
違う違う! そうじゃなくて……。
79
劇場にはいろんな子がいる。紬が他の誰かと比べて、 できないことがあるのは……当たり前なんだよ。
80
……。
81
その代わり、紬が他の誰かよりできることだってある。 それに気づいてほしくて、センターを任せたんだ。
82
たとえば……人を惹きつけること。 エミリーを惹きつけているみたいにな。
83
え、エミリーさんは……。 ただ、うちが呉服屋だから……。
84
そうか? 本当にそれだけだと思ってるなら、 紬の目はたぶん節穴だ。
85
……。
86
でも、そんなエミリーさんを私は……。 ……傷つけてしまいました。
87
センターとしての活躍を期待してくれただけなのに、 応えられない不甲斐なさに……耐えられなくて……。
88
センターとしての期待……。エミリーは、立派な センターの紬に憧れていたわけじゃないと思うけど。
89
……どういうことですか? つまり、私では立派なセンターになれないと?
90
そうじゃなくて。エミリーはただ、普段の紬に憧れ たんだ。紬の所作や言葉遣いににじむ、奥ゆかしさに。
91
だから、期待に応えなきゃって気負う必要もない。 たぶんエミリーは……。
92
ただ、紬と仲よくなりたいだけだよ。
93
そ……っ。
94
あ、あなたがそう思ってるからといって、 エミリーさんがそう思っていることには……。
95
なら、直接本人に聞いてみようか。 ……ちょうど来たみたいだし。
96
あ……エミリー、さん……。 周防さんも……。
97
んしょっと。紬さん、エミリーがお話ししたいことが あるみたいなんだけど、ちょっといい?
98
ほら、伝えたいことがあるなら、 ちゃんと自分で言わないとダメだよ。
99
は、はい……。 あの、紬さん。本当に申し訳ありませんでした。
100
このみさんと桃子さんから教えてもらい、初めて気づき ました。紬さんが主役に重圧を感じていたことを……。
101
そんな時に、あのように無神経に話しかけられたら、 気に障られて当然です……。
102
と、とんでもありません! 謝らなくてはいけないのは、私です。
103
せっかくエミリーさんが、親しくしてくれるのに…… 私は思うように踊ることもできなくて……。
104
そんな自分への苛立ちから、 あんなひどい態度を……。失望、しましたよね?
105
失望だなんて、そんな! 紬さんがすごい方だと思う心は、今も変わってません!
106
主役の舞台のために汗を流される姿は、とても輝いて いました。まさに大和撫子そのものだと思います!
107
紬さん。芸能界の先輩として、 桃子がひとつアドバイスをしてあげる。
108
失敗したら、周りを見るといいよ。桃子とか、だいたい ちゃんとできてるから、マネすればいいの。
109
おふたりとも……。あの、ありがとうございます。 ……たっだ……うれしい……。
110
エミリーさん。改めて今までの非礼をお詫びします。
111
もし許してくださるなら、 もう1度公演に向けて力を貸していただけませんか?
112
は、はい、もちろんです! 一緒に素晴らしい公演にしましょう♪
113
(お互いを思いやる気持ちが通じ合って、 部屋中にあたたかい空気が満ちていく……)
114
(紬の初センター公演、これは…… 予想以上に期待できそうだ!)
ホイールで拡大 / ドラッグで移動 / ダブルクリックで等倍ピンチで拡大 / ドラッグで移動