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(次の公演に向けてのレッスンは終わってるハズ
なのに、まだ誰も出てこない。自主レッスンかな?)
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(お、やってるやってる……ん?
教えているのは……)
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とっても上手よ! 今度は、もっとお腹に力を
入れて……思いきり、声を伸ばしてみましょう。
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はい、よくできました♪ それじゃ、今日はここまでに
しましょうか。ふたりとも、お疲れさま!
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歌織さん、お疲れさまです。
環と亜利沙も、お疲れさま。
10
あ、プロデューサーさん?
もう、声をかけてくださればよかったのに……。
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かけようと思ったんですけど、
環も亜利沙も真剣だったので。
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おやぶんおやぶん!
たまきの歌、どうだった? 上手になった?
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最初の頃と比べると、すごく上手になってるぞ。
もちろん亜利沙もだ。
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ムフフ……これも特訓の成果ですね! これまで、
子ども達に歌やピアノを教えていた歌織さん……。
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その歌織さんから、毎日レッスンの後、
さらに特別レッスンを受けていたんですから!
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アイドルちゃんに歌を教えてもらえる幸せ……
これでありさ、上手にならないわけありませんっ!
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たまき、かおりの歌の練習、だーい好きだぞ!
いつもいっぱいほめてくれるし、やさしいし……。
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ふふっ、ありがとう、ふたりとも。
そんな風に言ってもらえると、私もうれしいな。
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ところで亜利沙ちゃん、出掛けるって言ってなかった?
環ちゃんも、そろそろお家に帰る時間じゃ……。
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はっ……も、もうこんな時間ですかーっ!?
ありがとうございます歌織さん、ありさ失礼しますっ!
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今日はこれから、アイドルちゃんの握手会なんです!
それじゃ、いってきまーす!
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おやぶん、かおり、たまきも行くね! ばいば~い!
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歌織さん、ありがとうございます。
センター公演も近いのに、ふたりに歌を教えてくれて。
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お気になさらないでください。私も亜利沙ちゃんと
環ちゃんと一緒にいる方が、落ち着きますから。
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ふたりとも、とってもいい子ですね。
亜利沙ちゃんは明るくて、優しくて……。
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環ちゃんはいつも元気で、純粋で……
とにかく、可愛らしくて……!
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プロデューサーくん、いる~? 営業の
お仕事のことで、相談したいことがあるんだけど……。
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あら、歌織ちゃん! なになに、ふたりで
何を話してたの? もしかしてこれから飲みに行くの?
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違うよ。歌織さんの
プチ765プロ音楽教室のことについて話してたんだ。
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プチ765プロ音楽教室? 何それ?
いいわ、場所を変えましょう。
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プロデューサーくん、もう仕事上がりでしょ?
詳しく話、聞かせて!
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……営業の仕事の話をしに来たんじゃないのか?
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そんなの場所を変えたって話せるわよ♪
それにね、駅前にいいお店、見つけちゃったの!
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あの……公演の本番も近いので、お酒は……。
ちょっと控えておこうかなって。
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あ、そっか。じゃあアルコールは無しね。
ごはんだけならいいでしょ、ね?
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……ごめんなさい、莉緒ちゃん。私、この後は
ダンスの振り付けを確認しようと思ってたの。
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え~っ、そんなぁ~……。
もう、マジメなんだからっ。
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はい。それに、立ち位置やMCの流れも、きちんと
身についてるか不安で……。ダメですね、私。
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せっかく、プロデューサーさんが
私を信頼して、任せてくださったのに……。
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歌織ちゃんなら平気だと思うけどなぁ~。
ステージに立つのだって、慣れてるんでしょ?
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うん、歌うだけなら……。でもね、気づいたの。
私は今回、アイドルとして立つんだって……。
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お客さん達の心に届けなくちゃいけないのは、
きっと歌だけじゃなくて……アイドルとしての輝き。
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莉緒ちゃん、それに亜利沙ちゃん、環ちゃん達の輝きを
届けるためにも、私……、まだまだ足りないと思うの。
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コンクールで歌うのとは、全然違っていて。
何度練習しても、ちっとも大丈夫って思えない……。
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私も毎日、ファンのみんなにアピールするには、
どういうファッションがいいか考えて、心配になるの。
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この服だと派手すぎかな? この服だと地味かな?
そもそもセクシーに思ってもらえるかしら?って。
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な、なるほど。
そういう時、莉緒はどうするんだ?
54
別に何もしないわよ。ただ、覚悟を決めるの。
もうこれでいってやる!……ってね。
55
ほら、女は度胸って、よく言うでしょ?
恋愛も人生も、みんな同じよ。
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そう、女は度胸、アイドルも度胸! 私たちって、
勢いでアイドルになっちゃったようなものじゃない?
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ほら、そこのプロデューサーくんに、
口八丁手八丁で口説かれて。
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いやスカウトだから。
普通にスカウトしただけだからな?
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ふふっ、歌織ちゃんの前だからって焦らないの!
もう、カワイイんだから♪
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ま、プロデューサーくんはおいといて……。
なっちゃったものはしょうがないわよね。
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あとは、とりあえず飛び込んでみないと。
何があるかわからないから。ねっ!
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ふっ……ふふっ! 莉緒ちゃん、すごいわ。
そんな風に勇気を出せるなんて……!
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そっちじゃない!
えっと、アイドルは度胸、の方です。
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いくら準備をしても、結局のところ、
アイドルは……きっと、出たとこ勝負なんです。
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はい。仲間と一緒にステージに立って、
本番のライトを浴びて、お客さんの歓声に包まれて。
72
そこで初めて、アイドルは輝けるんだと思います。
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ふふっ、そうですね! アイドルの輝きは、
きっと練習では出せない……、届かない光……。
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本番でしか輝かない光。
だからこそ、あんなにも……眩しいんですね!
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それに、歌織さんはひとりじゃありません。
莉緒も……それに亜利沙も、環もいます。
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亜利沙と環は、歌織さんが守るべき生徒じゃなくて。
歌織さんの、心強い仲間です。
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そうそう、みんな一緒なんだから。
失敗したら、一緒に慰め合いましょう♪
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プロデューサーさん、ありがとうございます。
莉緒ちゃんも、本当に……ありがとう!
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女は度胸、アイドルも度胸……。
私も勇気を出して、飛び出していけそうです!
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アイドルらしく、みんなの……。
とっても頼りになる、ステキな仲間の力を借りて……
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(ようやく、扉に手をかけることができたかな。
アイドルとしての、新しい扉……)
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(あとは、思いきって押し開いてもらうだけだ。
勇気を出して、みんなと一緒に!)