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(次の公演に向けてのレッスンが始まった。百合子は
……紗代子と杏奈と、何か相談してるみたいだな)
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センターをやるなら、自分でも苦手だと思っている
ところは、ちゃんと克服した方がいいと思うんだ!
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たしか百合子は、ダンスが
あんまり得意じゃなかったよね?
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そういえば……レッスンの、時……
百合子さん……いつも、つまずいてる……ね……。
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うっ。そ、それは……ダンスというか、
そもそも運動自体があんまり得意じゃなくて……。
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だったら、なおさら克服しなきゃ!
公演までまだ時間があるし、特訓しよう!
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と、特訓……。
プロデューサーさんも、そう思いますか……?
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そうだな。今後のためにも、
苦手なことを克服しておいて損はないと思うけど。
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そうですよね、プロデューサー!
そうと決まれば、さっそく始めよう、百合子!
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わ、わかりました……主人公なのに、
苦手なことから逃げてちゃ、ダメですもんね!
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その意気だよ、百合子!
大丈夫、私達も協力するから。ねっ、杏奈ちゃん!
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私……必ず、この地獄のような特訓に耐えて、
苦手なダンスを克服してみせますっ!
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頑張ろうね、百合子、杏奈ちゃん!
それじゃあ早速、レッスンルームに行くよ!
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(一体どんな特訓を……。
念のため、様子を見に行くか)
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けど、紗代子さん。
特訓って、具体的にどんなことをするんですか?
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ちょっと待ってください。その前に、どうして私まで、
一緒に特訓することになってるんですか?
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私、次の公演の振り付けを
練習している最中だったんですけど……。
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協力……する人……。
多い方が、いい……と、思う……。
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うん! その方が、いろんな意見が出て、
きっと特訓も捗ると思うんだ!
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志保、練習の邪魔しちゃってごめんね。
少しの間、付き合ってもらえないかな……?
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志保、俺からも頼む。
百合子達に力を貸してやってくれないか?
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はぁ。プロデューサーさんが言うなら、
仕方ないですね。わかりました。
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でも、私にとって意味がない特訓だったら、すぐに
抜けさせてもらいます。そのつもりでお願いします。
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それじゃあ、特訓の内容についてだけど……
私はやっぱり、ダンスには体力が必須だと思う。
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……? そうでしょうか。私は、そうは思いません。
振り付けを完璧に覚える方が、先じゃないですか?
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振り付けを完璧にすれば、ミスがなくなります。
苦手意識をなくすには、一番効率的だと思いますけど。
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体力づくり? それとも、振り付けを覚える?
どっちも、レッスンの基本中の基本だけど……。
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同時に、ふたつのことをやるだなんて……
わ、私、ついていけるかな~……?
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えっと……ダンスゲームで、感覚……掴む、とか……?
最近のは……よく、できてる……から……。
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ダンスゲームかぁ……。
あんまりやったことないけど、面白そうかも?
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あの、プロデューサーさん!
プロデューサーさんは、何か意見ありますか?
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意見なら、たくさん出てるじゃないか。
俺が付け足す必要はないかな。
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あとは百合子がみんなと話して、
思うようにやってみるのが一番いいと思う。
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……それって要するに、
何も考えてないってことですよね。
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い、いやいや。みんなが真剣に考えてるなら、
俺が口を出さない方がいいかなと……。
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わかりました! それじゃあ……
今出てきた案、全部試してみよう!!
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特訓だし、主人公にはこれくらい必要だと思う!
それじゃみんな、行くよーっ!
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主人公……そ、そうでした!
わかりました! 私、頑張ります!
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ああっ、ま、またミスしちゃった……!
ね、ねぇ、杏奈ちゃん。1回くらいは許し……。
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ダメ……。特訓……だから……
フルコン……しないと……。
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フルコンっていっても、
この曲、難しすぎるよ~!?
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百合子さん。
今度は、サビの部分のステップが間違ってます。
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えええっ!? ひ、ひとつ覚えたと思ったら、
また違うところを間違えるだなんて……。
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でも、そうやってひとつずつミスを潰していけば、
最終的にミスはなくなります。
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わかってるけど……。
うう、気が遠くなるよ~……。
63
うーん。
少しずつ、よくなってきてるとは思うんだけど……。
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まだ、完璧とは言えませんね。
あと一歩、足りない気がします。
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……? 百合子さん……?
えっと、大丈夫……?
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はぁ……はぁ……はぁ……。うう……。
しゅ、主人公に……主人公に、ならなきゃ……。
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百合子、いいから少し落ち着こう。
……大丈夫か?
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はぁ……はぁ……。
プロデューサーさん……は、はい……。
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ちょっと、頑張りすぎちゃったみたいだな。
みんな、休憩にしようか。
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ご、ごめんね、みんな……
私のせいで、特訓を止めちゃって……。
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ううん。それより私達こそ、
百合子のペースをちゃんと見てなくて、ごめんね……。
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レッスン中の休憩は大事なのに、
それを忘れてしまうなんて……すみませんでした。
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謝らないで、志保、紗代子さんも…。
みんな私に協力してくれてるんですから。
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こんなに協力してもらってるのに、ちっとも
成果が出ないなんて。なんか落ち込んじゃうなぁ……。
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やっぱり、私みたいな平凡な子に、主人公は
難しかったのかな?なんて。あはは……。
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すごい主人公なんて、結果論だと思います。だって
主人公って、最初はだいたい弱いじゃないですか。
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百合子さんなら、よく知ってるんじゃないですか。
そういう、お決まりのパターンみたいなのとか。
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だったら、弱音をはくのは早いと思います。
主人公を目指してるんじゃなかったんですか?
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……百合子さん……ゲームも、同じ……だよ……。
最初は、みんな……レベル1……。
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百合子さんは、まだ……ゲームオーバー、に……
なってないと……杏奈、思い……ます……。
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そうだな。
百合子、この前、みんなと小説の話をしてただろ?
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百合子は、今回の公演の主人公なんだ。
与えられた使命を、乗り越えなくていいのか?
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私……まだ、自信なんかありません。
でも、ひとつだけ、思い出したことがあります。
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どんな困難が襲ってきても……私の好きな主人公は、
最後まで絶対に諦めなかったっていうことです!
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はい。主人公が諦めたら、物語が終わってしまいます。
だから私は、絶対に諦めちゃダメなんです。
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みんな! 私、もう弱音なんかはきません!
だから次の公演、絶対に成功させようね!
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あのっ……私のこと、助けてくれますか?
プロデューサーさん!
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ああ、もちろん。
百合子が主人公のステージを、みんなに見せよう!
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はい! みなさんの元に、届けてみせます!
私が描くステージ……私の、物語を……!
102
あっ。で、でも! 私ひとりの力じゃ、
公演を成功させるなんて絶対に無理だから……。
103
紗代子さん、杏奈ちゃん、志保……
どうか私に、力を貸してください!
104
もちろんだよ! 私は百合子が諦めないなら、
どこまでだって協力するよっ!
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そうですね。乗りかかった船って言いますし……
ここでやめても、なんだか居心地が悪いですから。
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杏奈も……頑張る……。
百合子さん……一緒に、頑張ろう……!
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(物語の主人公に仲間がいるように、
百合子にも、こんなに頼もしい仲間がいる)
109
(公演の先に、百合子が何を見つけるのか……
次の章を楽しみに、ページをめくろう!)