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(出演メンバーも決まり、いよいよ伊織の劇場公演に
向けて、企画会議が始まった! ……のだが……)
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ゴージャス、ゴージャス……うーん……。
えっと、劇場がピカピカーって光るとか!
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音響にこだわってみるのはどうかしら。低い音は
重厚に、高い音はのびやかに、どこまでも響くように。
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光も音も豪華にってことね。いいじゃない♪
この伊織ちゃん公演、宇宙の果てまで届けるわよ!
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ちょ……ちょっと待ってくれ。宇宙はともかく、
そもそも劇場の改築レベルのことはできないからな?
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……わかってるわよ、そんなこと。
ちょっと言ってみただけじゃない。
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そ、そうか。ならいいけど、スケジュールとか予算とか
いろいろと限界もあるから、念のため……。
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その辺は、アンタがもっとうまくやりなさいよね。
ま、いいわ。じゃあ劇場の改装は、やめにして。
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そうね……歌劇みたいなラインダンスはどうかしら?
エキストラのバックダンサーもいっぱい引き連れて!
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歌劇……華やかになりそうですね。千鶴さん、
ラインダンスって、何人くらい必要なんですか?
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えっ!? そ、そうですわね。わたくしがテレビ……
コホン、観劇した舞台は、ええと……100人くらい?
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100人? そんな人数でやるところもあるのね。
知らなかったわ。
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それなら、こっちは200……ううん、300人!
このあたりのダンサーを全部集めれば、いけるはずよ!
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……という訳で、実現可能なアイディアが出るまでは、
ひとまず普通にレッスンしよう。
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むう~……わかったわよ。
ま、リフレッシュにもなるし、ちょうどいいわ。
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でも、セットリストや基本的な構成は
もう伊織が考えて、まとめてくれたんだって?
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ええ、普通のだけど、完ぺきにまとめたわ。
この伊織ちゃんにかかれば、あんなの一瞬よね♪
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私達も、この会議の前に見せてもらいました。
とても水瀬さんらしい、いい構成かと。
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そうですよね。ちゃんと曲の流れにも、
ストーリー性があって……。
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わたくしも、公演の流れがイメージできましたわ。
観客の皆様の声が、もう聞こえてくるようですわね!
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えへへ、よかったね伊織ちゃん。
昨日までいっぱい考えた甲斐があったね!
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い、いっぱいは考えてないわよっ!
その、ちょっとずつ考えただけなんだから。
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でも、私の理想はまだまだ上よ。
公演までに、もっとすごいアイディアを出すんだから♪
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(こうして、伊織の公演に向けてチームは動き出した。
幸い、レッスンは快調だ)
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ワンツー、ワンツー。……うん。志保、千鶴!
ふたりとも、動きはバッチリ身についてるじゃない♪
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でも、タイミングはもうちょっと合わせたいわ。
あとで私と一緒にやってみましょ♪
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では、私達もステップを。
高槻さん、準備はいいかしら?
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(伊織の提出したステージプランも問題なく、
スケジュールも余裕がありそうだ。残る課題は……)
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ねえ、プロデューサー!
新しいアイディアを考えたんだけど!
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プロデューサー、次の案よ!
これなら……どうかしら?
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今度こそ……プロデューサー!
考えてきたから、聞いて欲しいんだけど……。
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もう、イヤーーッ!! なによなによなによ!
アレもダメ、コレもダメ、全部ダメダメダメって!!
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お、落ち着いてくれ、伊織!
全部ダメだなんて言ってないだろ!?
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言ったじゃない! 私が考えたこと全部、
ダメって言ったじゃないのよ~!
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それは追加のゴージャスアイディアのことだよな?
だから、できることとできないことがあって……。
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わかってるわ! でも、このままじゃ、
代わり映えしない、普通の公演になっちゃうじゃない!
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そんなありふれてるのじゃ、私……。
もうっ、いいわよ!
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でも、ダンスや照明で工夫すれば……
あっ、伊織! どこに行くんだ!?
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レッスンが終わったから帰るの!
ついてこないでよね。……フンだ!
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そうだけど……、今は話ができそうもないな。
ひと呼吸おいてみるよ。
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でも、大丈夫なんですか? 伊織さん、このまま
レッスンに来なくなったり……しませんよね?
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心配ないと思いますわ。「レッスンが終わったから」
というのは、またレッスンに来る人の言葉ですもの。
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ですが……なにもあそこまで張りつめなくても、
とは思いますわね……。伊織に何かあったんですの?
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伊織ちゃん、最初からずーっと言ってたんです。
この程度じゃ足りない、もっともっとーって。
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この程度って……今のままでも十分、
いい公演になるんじゃないですか?
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わたくし達には見えない、何か足りないものでも……?
もしかして、千早達には見えていまして?
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……私にはなにも。ただ水瀬さんは、目標が高くて、
あきらめなくて……あと、負けない人だと思います。
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負けない……か。
もしかしたら……、負けると思ったのかな。
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だとしたら……よし、行ってみよう。
伊織は……まだ、帰ってない。
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よかった。ちょっと探したよ、伊織。
……ここにいたんだな。
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……。遅いじゃない。
さっさと来なさいよね。
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ごめんごめん。気分を変えるぐらいの時間は、
あった方がいいかと思って。
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フンだ。わかったようなことばっかり言うクセに、
肝心なことは、わかってないんだから。
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私はバシッと見せたいの。思いっきり見せつけたいの。
劇場には、この伊織ちゃんがいるんだって。
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俺もそう思ってるよ。
だから伊織に、次のセンター公演を頼んだんだ。
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だったら、もうちょっと何とかしてくれても
いいじゃない。ダメってばっかり言ってないで……。
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そうだよな……言い方が悪かった。追加で考えて
くれたゴージャスプランは、ダメじゃなくて……
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いらないと思うんだ。
むしろジャマだと思う。
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ふえっ!? ……なんですって?
私のアイディアが、ジャマですって~!?
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そう。みんなも言ってただろ? 伊織が最初に考えた
構成案で、十分いい公演になるって。
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言ってたけど……もう、どうしてわかんないのよっ。
私は、もっと特別な公演にしたいの!
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ゴージャスで、もの凄くて、一生忘れられない、
そんな特別で、とびっきりの公演にしたいの!
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大丈夫。今の構成案なら、伊織の公演はゴージャスで、
もの凄くて忘れられない、とびっきりの公演になるよ。
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だって公演の主役……ステージの真ん中にいるのは、
そんな、とびっきりのアイドルだろ?
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伊織のステージは、いつだって特別なものなんだ。
……忘れてたんじゃないか?
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わ、忘れてないわよっ! そんなの、当たり前だもの。
当たり前、だけど……。
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そうよ、水瀬さん。
それはとても、特別なことだと思う。
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セレブとして、主役を残したままでは帰れませんわ。
おーっほっほっほ、ゲホッゴホッ!
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な、なによそれ……。別に、帰ればいいじゃない。
ホント、おせっかいなんだから……。
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それだけ、みんな伊織の公演を、
楽しみにしてるってことじゃないかな。
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はいっ、今までの伊織ちゃんのステージも、ぜんぶ
ステキでしたから。私、見たのはぜーんぶ覚えてます!
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あ、ごめんなさい。ぜんぶは言い過ぎかも~……。
えっと、ほぼ覚えてますっ!
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私も水瀬さんのステージには、いつも惹かれるわ。
繊細で、明るくて柔らかくて……。
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な、なに言ってるのよ。千早のステージだって、
いつもスゴイじゃない。だから来てもらったんだし……
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ううん、千早だけじゃないわ。
やよいも、千鶴も志保も。劇場のみんなだって……。
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私はセンター公演で、伊織さんに助けてもらいました。
スゴイとしたら、伊織さんのおかげです。
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それと、伊織さんには普通のことかもしれませんけど。
伊織さんのアドバイス、私には……特別でした。
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わたくしも、伊織を尊敬していますのよ。
でもそれは、先輩だからではありませんの。
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あなたが常に、誇り高くあろうとしているからですわ。
以前にいただいたアドバイスのまま、自信をもって。
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他のみんなのステージも、確かにすごいと思う。
でも伊織のステージは、誰にも負けてないよ。
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だから、代わり映えしない方がいいと思う。
伊織のステージは、伊織がいるから特別なんだ。
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ああっ、もういいわよっ!
つまり全員、私をスゴイと思ってるってことね!?
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何もしなくても特別な、宇宙一のスーパー美少女
アイドルだって、心の底から思ってるってことね!?
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そう。そこまで理解してるなら、わかったわ。
今度の公演、今の構成のままってことにしてあげる。
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その代わり、いいこと? この私の公演である以上、
最高のパフォーマンス以外は認めないんだから。
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だから、全力で助け……じゃなくて、その……。
いいこと? 全力で、最高に盛り上げるのよ!?
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えへへっ、任せて!
私、いつもの全力よりもーっと全力で、がんばるね!
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水瀬さんらしいわね。
もちろん私も……全力を尽くして。
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ふふっ、お任せくださいまし。セレブである前に、
一人の仲間として。全力で盛り上げてみせますわ!
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大丈夫です。参加させてもらう以上、
ちゃんと頑張ります。……あ、全力で。
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あと……、あんたもよ、プロデューサー。
私は普通に公演するだけでいいハズだけど……。
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でも、本当に特別なステージでないと困るんだから。
だから、ちゃんと……特別に、頑張りなさいよね!
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(そうだな。今回も、伊織をしっかり全力で支えよう。
今も繰り返す、プロデューサーの日常のままに!)