MLTD Archive(β)
メインコミュ 第 65 話 公演前 2 / 5 パート

この、てのひらのなか

音声再生は内部プレビュー専用です。本文はどなたでも閲覧できます。

1
ワン、ツー、スリー、フォー! はい、ここでターン!
2
ターン! ……で、できました! 律子さん、私、できました!?
3
ええ。ちゃんとできてるわ。百合子、 振り付けは、しっかり頭に入ったみたいね。
4
わ、私も……踊ってて、楽しかった…… 百合子ちゃん、本番が楽しみだね……♪
5
はい! 振り付けは、なんとか覚えられたので。 あとは本番まで、完成度を上げていくだけですね!
6
曲の完成度を上げる……なら、 表情のレッスンが必要だと、姫は思うのです!
7
表情のレッスン…… まつりさん、それって?
8
表情か~、なるほどなるほど…… まつりには考えがあるってコト?
9
もちろんなのです! 今のままだと、 百合子ちゃんの表情はちょっぴりかたいのです。
10
いいですか? この歌は、『恋のはじまり』なのです! そこのところを、しっかり意識して歌うのですよ!
11
ええっ!? こ、恋のはじまりと言われても、 どんな表情をすればいいのか……。
12
恋といえば、す、好きな人がいるってことだから…… やっぱり、笑顔で歌う……でしょうか……?
13
ただ笑えばいいってわけじゃないわ、可憐。 もっと今回の曲の……歌の世界を表現しないと。
14
つまり……『恋をしている乙女』になるのよ!
15
ええっ、こ、恋!? ううっ、ま、また恋かぁ……。 どうして私の前には、恋が立ちふさがるんでしょう?
16
恋……それは、世界が色づく魔法! 幽閉された姫を王子が助け、恋に落ちて……。
17
百合子ちゃん。 これは、おとぎ話ではないのですよ?
18
ねえ、百合子は最近、ときめいたコトとかないの? なんかこう、キュンキュンしちゃうようなやつ!
19
えっ!? そ、それはですね、ええと……。
20
(次回の定期公演に向けて、レッスンが始まった。 事務仕事を終えたら、百合子達の様子を見に行こう)
21
SE
ガチャ
22
みんな、お疲れさま! 休憩中か……って、あれ? 百合子、どうかしたのか?
23
あっ、プロデューサーさん!? ど、どうかしたのかって、どうしてですか?
24
いや、なんだか顔が赤いみたいだから…… どうかしたのか? 風邪でもひいたのか?
25
ひゃああああっ!!? ち、近づかないでください~っ!
26
えっ?
27
この反応は……もしかして、百合子ちゃん…… プロデューサーさん……。
28
プロデューサー、もしかして…… 百合子のこと、キュンキュンさせた!?
29
キュンキュン……何の話だ?
30
り、律子さん……もしかして百合子ちゃん、 この前のことを……?
31
あ~なるほど……。たしかに、文学少女の百合子には、 絶好の『恋のはじまり』シチュエーションだったかも?
32
プロデューサーさん! その調子で、 百合子ちゃんをキュンキュンさせるのですよ!
33
濃厚なやつ、期待してるかんね! にゃはは!
34
が、がんばってください…!
35
ち、違いますってば~! あうう……わ、私、失礼しますっ!
36
あっ、百合子!?
37
SE
バタン!
38
やっちゃった……でも、急だったから、 ビックリしちゃって……うう……。
39
プロデューサーさんに、 後でちゃんと謝らないと……はぁ……。
40
数日後……
41
(その後も定期公演の準備は、順調に進んでいる。 が、肝心の百合子と、ほとんど話せていない……)
42
それで、カバー曲コーナーの後、全体曲への 入り方なんだけど。一度MCを挟んだ方がいいか?
43
そうですね。ここはMCで繋いで空気を変えて……。 それでいきましょう、プロデューサー。
44
ああ、ありがとう。ところで、みんなの様子はどうだ? 百合子と、あれから話せてないんだけど……。
45
え? やだ、そうだったんですか? ……って、 ウワサをすれば……プロデューサー、後ろ。
47
じーっ……。
48
あそこにいるのは……百合子? どうしてあんなところに……。
49
はっ!? ササッ……。
50
あっ、隠れた。 もう百合子ったら、バレバレなのに……。
51
う、うーん。 なんだか、避けられてるみたいだな……。
52
プロデューサーのせいじゃないですよ。 あの子、新曲の歌詞にちょっと悩んでるみたいで。
53
それに、私たちがいろいろ焚き付けたのも 良くなかったというか……。
55
いえ、こっちの話です。百合子とは話しておきますから プロデューサーは、公演の準備お願いします。
56
そうか……わかった。
57
はぁ……また、プロデューサーさんに 謝れなかった……これで、99回め……うぅ……。
58
勝手に意識しちゃってるだけなのに、失礼だよね…… やっぱり、私に新曲なんて歌えないんじゃ……。
59
百合子~。もう、悩んでるくらいなら、ちゃんと プロデューサーに言った方がいいよ?
60
アタシもさ、自分の公演でテンパっちゃった時に、 プロデューサーと可憐に話聞いてもらったよ?
61
わ、私も……不安なこと、プロデューサーさん に話して……それで、勇気をもらったから……。
62
だから……百合子ちゃんも、 プロデューサーさんを信じて……。
63
恵美さん……可憐さん……。
64
SE
バタン!
65
はいほー! 話は聞かせてもらったのです。
66
きゃあっ!? ……ま、まつりさん!? ビックリしたぁ……。
67
ちょっとまつり、脅かさないの! 百合子、 すこし話したいことがあるんだけど、いい?
68
私たち、ちょっと百合子を煽るようなことを 言い過ぎたかもしれないと思って……ごめん。
69
え!? り、律子さん、そんな! 私が勝手に、意識しちゃってるだけですから……。
70
そうなのです。百合子ちゃんが、ひとりで、勝手に 意識しているのです。つまり、ひとりずもうなのです!
71
ううっ! そ、そんな、真実を口にしなくても…… 言葉の刃が、心臓に突き刺さります……。
72
けど、『恋のはじまり』は、ひとりずもうだと 姫は思うのです。……最初は皆、ひとりなのですよ。
73
百合子ちゃんは、恋する気持ちを意識していたのです。 まつりはその心、表情を、忘れてほしくないのです。
74
まつりさん……。
75
おおー。まつり、なんかいいコト言ったっぽい?
76
ぽい、ではなくいいことなのですよ、恵美ちゃん。 それでは、今日もレッスン開始なのです♪
77
(百合子、新曲の歌詞に悩んでるみたいだって 律子が言ってたな。次に会ったら、話を聞こう……)
78
し、失礼します! プロデューサーさん…… あの、今、おひとりですか?
79
あ! 百合子、お疲れさま。 うん、大丈夫だけど……。
80
はい! あ、あの……その、ごめんなさい! この前から、失礼な態度を取ってしまって……。
81
プロデューサーさんは、何も悪くなくて。 私が勝手に、変なふうに意識していたというか……。
82
それで、あの、相談なんですけど…… あの新しい曲、本当に私が歌っていいんでしょうか?
83
もちろんだ。あの曲を聞いた時に、この世界観を 表現できるのは、百合子しかいないと思ったからな。
84
えっ?
85
歌詞を理解するのに、色々悩んでたみたいだけど…… まずは百合子の感じたまま、歌ってみてほしい。
86
百合子が悩んでいるなら、悩んでいるままに届ける。 その方が、歌の世界に導けるんじゃないかと思うんだ。
87
私の感じたままに……歌詞の世界を……。 じゃあもしかして、今までのことは……。
88
そっか……。悩む気持ちも、戸惑う気持ちも。 最初から、私の中にあったんだ……。
89
百合子?
90
……プロデューサーさん。 やっぱり私に、新曲を歌わせてください!
91
今なら、この歌のこと…… ちゃんと表現できそうな気がするんです。
92
そうか。 よろしく頼んだぞ、百合子!
93
はい! ……あっ、それと…… 今さらなんですけど、お礼を言ってもいいですか?
94
この間、本を取ってくれましたよね? あの時のこと、ちゃんとお礼を言えなかったので。
95
プロデューサーさん。 あの時は本当に、ありがとうございました!
96
(百合子の表情に、いつもどおりの笑顔が戻った。 ……この分なら、大丈夫そうだな!)
ホイールで拡大 / ドラッグで移動 / ダブルクリックで等倍ピンチで拡大 / ドラッグで移動