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(公演に向けてのレッスンは、順調に進んでいる。
静香も、今日は朝から張り切っているみたいだな……)
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あ、あの、プロデューサーさん!
今、お時間ありますか?
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あれ、星梨花。紬も……
今は、静香達とレッスンの時間じゃなかったか?
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そのとおりです。あなたという方は……
知っているなら、何故レッスンを見に来ないのですか?
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いや、今から行こうと思ってたんだけど……
それより、何か問題か?
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はい。……あの、静香さん、なんだか調子が悪そうで。
プロデューサーさん、何か知ってますか?
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え……静香が?
いや、特に何も聞いてないけど……。
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最上さん……新曲を歌えると聞いた時は、
あんなにも、うれしそうだったのに。
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プロデューサー。
本当に、心当たりはないのですか?
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体調が悪いんじゃないとしたら……
静香さん、何か、悩みがあるんでしょうか……?
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なるほど……そうか。ふたりとも、教えてくれて
ありがとう。ちょっと、様子を見てくる。
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くれぐれも、私と箱崎さんから何か聞いた……とは、
おっしゃらないでくださいね。
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だから、私ならまだやれるって言ってるでしょ!
……未来、もう一回お願い! 通してやりたいの!
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でも静香ちゃん、さっきからずっと歌いっぱなしだよ?
絶対、休んだほうがいいと思う!
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いえ! 私なら、大丈夫です。
もっと、練習しないと。同じところじゃ……。
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お疲れさま。俺も、ふたりの意見に賛成かな。
静香、少し休んだ方がいい。
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あっ……プロデューサー。いえ、平気です!
まだ体力的にも余裕がありますし、問題ありません。
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体力に余裕があっても、だ。
無理をすれば後に響く。
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だから、平気だって言ってるじゃないですか!
自分の体調は、自分が一番わかってます!
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お願いですから、レッスンを続けさせてください!
私には、時間がないんです……!
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……ダメだ。今の状態の静香に、任せる事はできない。
何か心配事があるなら、まずは話してほしい。
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なら、ウチらは席を外すよ。だからシズ、
プロデューサーとゆっくり話しな。
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プロデューサーさん……。あの、
静香ちゃんのこと、よろしくお願いしますっ!
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え!? ふたりとも、待って……。
もう! プロデューサーのせいですよ!?
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どうしてレッスンを中断させるんですか! 私は、
次の公演を完璧にしなくちゃいけないのに……!
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なあ、静香。新曲を初めて聴いた時、静香は
すごく楽しそうだったな。公演が楽しみだって……。
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けど今は、何だかすごく辛そうに見える。
……一体、何があったんだ?
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……父に、次の公演について報告したんです。
新曲をもらったのが、本当にうれしくて……。
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けど父は、これくらいじゃアイドルとして結果を
残せたとは言えないって。公演にも、来ないって……。
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それは……結果を残さなければ、中学までしか
アイドルを続けられないっていう、約束の話だな。
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はい。……だから私、父に認めてもらえるように、
曲と向き合って全力で歌いたいって思いました。
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だから、次の公演は絶対に成功させなくちゃ。私は
同じところにいるんじゃないって、父に示さないと。
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次の公演が成功すれば、夢が近づいて。絶対に
叶えられるって、私自身、信じられるかもって……!
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プロデューサー。新しい歌は、夢に向かって
まっすぐに進もうとする気持ちを歌ったものですよね?
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夢は絶対に叶うって、強く信じる。信じて動くことで、
また夢に近づいていく。……とても、素敵な曲です。
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だけど今の私は、そうじゃない。
父に言われた言葉で揺らいで、不安になって……。
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それは当然だよ。知らない人に言われるより、
お父さんに夢を否定される方が辛いのは、当たり前だ。
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いいえ。私が、弱いんです。私はこの曲のように、
強い気持ちで夢を追うことができません……。
50
こんな気持ちのまま、私はこの歌を歌えません……!
でも歌わないと、前には進めない……!
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プロデューサー。私……
トップアイドルになれなかったら……どうしよう……。
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本当はすごく、怖いんです。もしかしたら本当に、
私には無理なんじゃないかって考えちゃって……。
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えっ……未来!? き、聞いてたの!?
ジュリアさんも……。
59
静香ちゃんは、トップアイドルになれるもんっ!
だから諦めるなんて、そんなの絶対ダメだよ!
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それでずっと、一緒にアイドル続けるんだよ!
絶対……歌うの辞めちゃ、ダメだよ! ダメだもんっ!
62
うぅ……ねえ、静香ちゃん、どうして?
どうして信じられないの?
63
それは……だって。将来がどうなるかなんて、
誰にもわからないじゃない……!
64
わかるよ! だって私、ずっと隣で見てたんだよ?
静香ちゃんは絶対、トップアイドルになれるもん!
65
そ、そんなの……
私だって、信じたい。信じたいけど……。
66
シズ、未来……
ふたりとも、すこし落ち着けよ。な?
67
未来さん、静香さん……!
あの、どうしたんですか!?
68
すみません。おふたりの声が聞こえたので、
気になってしまって……。
69
静香。……紬と星梨花も、心配してくれてたんだ。
ふたりにも、事情を話してもいいか?
71
静香は、ご両親との約束で……中学生の間に結果を
出さないと、アイドルを続けられない事になっている。
72
それで……静香から新曲の話を聞いたお父さんが、
それでは結果として認められないと言っていて……。
73
そのような事情が……。その約束が、最上さんを
追い詰めていたのですね。なんてむごい……。
74
そんな……わたし、いやですっ!
静香さんが、アイドルじゃなくなるなんて……!
75
もちろん、俺も認めたくない。……だからこそ、
静香には次の公演で、あの曲を歌ってほしい。
76
自分の夢に向かってひたむきに努力する静香にこそ、
この歌は似合う。きっと、道が拓けるはずだ。
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アイドルの歌が持つ力は、とてつもなく大きい。
……それは、静香が一番よく知ってるんじゃないか?
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そう、ですね。私……今まで何度も、
歌に……背中を、押してもらってきました。
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うん。……そしてこれは、静香の歌だ。
静香自身に力をくれ、導いてくれる歌なんだよ。
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……でも、言葉だけじゃ信じるのは難しいよな。
だから……俺にも、行動で示させてくれ。
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電話……? あの、プロデューサー。
一体どこに……。
84
……突然すみません、最上さんのお宅ですか?
765プロの、プロデューサーと申します。
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プロデューサー……ははっ!
いいぜ、そうこなくっちゃな!
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はい。……では、今週末うかがいます。
よろしくお願いします。失礼致します……。
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よし、お父さんに時間をもらったぞ。説得が
上手くいくかどうかは、まだわからないけど……。
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すぐにできるとは限らない。
でも静香は、次がある事を信じていてくれ。
92
俺が必ず、静香の次のステージを用意する。
絶対にだ。約束するよ。
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だから信じて、前を向いていて欲しい。静香が
アイドルを辞めたいといわない限り、奪わせない。
95
アイドルの夢は絶対に守る。
それが、プロデューサーの仕事だからな!
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突然、父に連絡するなんて……もう。
プロデューサー……。
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静香ちゃ~~~ん!
よかった、よかったよぉ~……!
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ああ、そうだな。プロデューサーがいれば、
大丈夫だ! そうだろ? バカP!
99
プロデューサーさん……。
静香さんのこと、よろしくお願いしますっ!
100
あなたの肩にかかっているのですよ。
お願いしますね。
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もちろんだ。約束を撤回させるまで、諦めるもんか。
説得できるまで、何度だって話をするさ。
102
未来、ジュリアさん……星梨花、紬さんも。
心配かけてごめんなさい。でも、もう大丈夫だから。
103
プロデューサー。私……
プロデューサーの言葉を、信じます。
104
だから、私は私のやるべきことをしなくちゃ。
次の公演……絶対に、結果を出してみせます!
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(静香の顔に、ようやく笑みが戻った。この笑顔を
……アイドルの夢を守れるのは、俺しかいないんだ)
106
(いつもとは違う気合いを入れて、臨まないと。
静香の……静香を思う、すべての人のためにも!)