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(あずささんの新ソロ曲のレッスンが始まった。今回は
外部でのライブだが、劇場の皆が協力してくれている)
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ふう。なんとか、最後まで歌えたかな……。
どうだったかしら?
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って、すごいよあずささん! いきなり上手すぎ!
ね、雪歩?
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はい、とってもステキでしたぁ。
声も出ていて、リズムも音程もピッタリで♪
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ふふっ、ありがとう。
でも……ぎこちなくなかった?
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え、ぎこちない? うーん、まあ最初だもんね。
言われてみれば、そんな気も……ってくらい?
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えっと……もしかして、表現が足りないとか、
そういうことですか?
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そうね。自分ではまだ、ぎこちないっていうか、
その、恥ずかしいかな、なんて……。
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なるほど……。気持ちを前に出せていない、
みたいな感じですか?
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そうなんです。歌の世界観っていうか、
気持ちをまだ、全然歌えていないような……。
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やっぴょーん! そーだと思って、
真美が歌詞の先生を連れてきたよ~!
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え、えっと……先生ってわけじゃないんですけど、
真美ちゃんに誘われて……見学に来ちゃいましたっ。
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いらっしゃい、百合子ちゃん♪ 歌詞の先生って……
もしかして、歌詞に興味があるの?
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はい! 今回は大人の恋愛の歌だって聞いて、
恋が永遠の課題である私としても、放っておけず……。
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そういえば……歌詞の意味は、私もあんまり
考えてなかったかも?
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じゃあ、みんなで歌詞を読んでみるか。
はい、これがあずささんの新曲の歌詞カードだよ。
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激しい~! いかにも大人の女って感じ!
あはは、アタシにはまだ無理かな。真美はいける?
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うんっ、ドキドキだけどぜんぜんヘッチャだよ!
アイシテ~ん♪
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あ、あ、愛を求めちゃうとか……、
私にはレベルが高すぎます! きゃー!
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ううっ、ごめんなさい! 歌詞の意味もよくわかって
なかったくせに、ステキとか言ってごめんなさい~!
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ふふ、やっぱりみんな、ドキドキするのね。
よかったわ、私だけじゃなくて。
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はっ! すみません、あずささん! 私、先生って
紹介されたのに、騒いだだけで役に立たなくて……。
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ゆーりが謝ることじゃないっしょー。
ね、兄ちゃん?
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でも、愛かぁ。まさにそんな感じの歌だよね、百合子!
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い、いえ。恋もままならない私が、
愛を口にしてしまうなんて……うう、恥ずかしい……。
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私も同じよ、百合子ちゃん。大人って言っても、
恋も愛も、私にはまだ難しくて。でも……。
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あ、いえ。……ただ、ちゃんと歌いたいって思って。
私、頑張りますね、プロデューサーさん。
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(不安がありながらも、あずささんは用意したこの曲に
前向きに取り組んでくれている。それなら……)
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あずささん、ちょっといいですか?
今日のこの後の予定なんですけど……。
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お疲れ様です。今日しかスタジオが空いてなくて、
突然ですみませんでした。
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とにかく、リサイタル公演の宣伝ポスター、
じゃんじゃん撮ってもらいましょうか。
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は、はい。……でも、大事な写真ですよね。
どんな感じがいいんでしょう?
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そうですね。今回は新曲をひっさげた、
あずささんのリサイタル公演ですから……。
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あの曲を歌うように。カメラの前で思い切り、
あずささんをさらけ出して欲しいんです。
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表情もポーズも、あずささんが思うままにして。
カメラマンさんにも指示を出して、リードして下さい。
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り、リードするんですか?
私が、カメラマンさんを……?
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はい。カメラマンさんには話してあります。
あずささんに任せてください、って。
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何かあれば止めます。……でも、あずささんを
信じてますので。では、頼みましたよ!
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(こういう頼み方は、あずささんを迷わせてしまう
だけかもしれない。だけど……)
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では、適当にシャッター切っていきますので。
よろしくお願いしますね。
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(信じて任せたんだ。もう言葉はかけないで、代わりに
しっかり頷こう。安心してもらえるように……)
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……。そうだわ。信じてくれたんだもの……。
あの曲をイメージして……。
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……あの。カメラマンさん。
もう少し、こっちへ寄ってください。
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角度も、もっと迫ってくださって大丈夫です。
その方が……。
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……そのまま、体のラインに合わせて……。
はい……。私を、なぞるように……。
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私の、ありのままを。
私を……もっと……お願いしますっ。もっと!
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(撮影は、無事に終わった。カメラマンや
スタジオスタッフからも、絶賛してもらえたが……)
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あの……、プロデューサーさん?
さっきの私ですけど、その……はしたなくは……?
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いいえ。すごく魅力的でした。
それに、うれしかったです。
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はい。なんていうか……、踏み出してくれたことが。
思い切りあずささんを見せてくれたことが、とっても!
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……そうですか。
それなら、私も……、とっても、うれしいです♪
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お疲れ様です。あずささん、
プロデューサーさん。
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あれ、音無さん? こんな時間にどうして……
あ、もしかして、クラブミリオンの件ですか?
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そうなんです! 契約書のことで、ちょっとご相談が…
ごめんなさい、あずささんも一緒にいいですか?
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はい、もちろん大丈夫です。
私の公演のことですし、いくらでも。
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そうだ。ポスターの相談もしたいし、今撮ってきた
写真データでも見ながら話しましょうか。
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さっきの……えっ、さっきの写真を!?
すごいの、撮られちゃってるのに……!
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え、すごいの? ……わ、すごい! あずささん、
すごいです、ホントにすごいですよ!? すごい……。
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あ、ありがとうございます。これはその、自分でお願い
したんですけれど……やっぱり、恥ずかしいですねっ。
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あら、恥ずかしくはありませんっ。でも、すごいです!
社長もびっくりすると思いますよ♪
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ん? 電話が……すみません、向こうで話してきます。
……はい、もしもし?
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今回のお仕事にもピッタリですよね。大人の女の強さと
弱さっていうか……ふふっ、美咲ちゃんも喜びそう♪
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いいえ。でも……そうです。そうなんですね。
さすが音無さんは、大人の女性です♪
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えっ……。そ、そうですね……。確かに、
お肌の張り的な意味では、それなりに……ううっ。
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あっ、ごめんなさい。違うんです~!
そういう意味ではなくて……。
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今日は私、プロデューサーさんのおかげで
一歩前に踏み出せたと思ってたんです。でも……。
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踏み出す勇気を持てたからって、強くなれたわけじゃ
ないんですよね、きっと……。
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……なるほど。とにかくプロデューサーさんと
いろいろあったことは、よくわかりました。
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そんな今のあずささんは、やっぱり……
とってもステキな、大人の女性だな~って思いますよ!
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……はい、ありがとうございます♪
お言葉に甘えて、調子に乗ってしまいますね。うふふ♪
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すみません、お待たせしました。
さっきの電話、カメラマンさんからの確認依頼でした。
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あずささん。さっきの写真ですけど、今なら
取り下げることもできますが……どうします?
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お気遣いありがとうございます。でも、大丈夫です。
それは全部……私に違いありませんから。
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きっちりと、自分で責任を持たせてください。
お願いしますね、プロデューサーさん。
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それに、写真だけじゃなくて、いただいた歌でも……。
私の心を思いっきり、見せたいです!
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……わかりました。見せてください。
クラブミリオンで、あずささんの躊躇も情熱も、全部!