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メインコミュ 第 93 話 公演前 2 / 5 パート

そして、輝く君であれ

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(次の定期公演のレッスンが始まった。が、新曲を お披露目する予定の、歩の様子が少し気になる……)
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ワン、ツー、スリー、フォー……。 ……あー、ダメ! これじゃ全然ダメだ~!
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そうか? 初日にしては よくできてる方だと思うけど。
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いやいや、全然だよ! 体が全く動いてないもん。 そのせいで、ステップのキレも悪いし。
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これじゃ、兄貴に呆れられちゃう。 とりあえず、今のとこ、もう一回復習して……。
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(お兄さんが観に来る事が決まってから、 歩は肩に力が入りすぎてる気がするな。ここは……)
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歩さん、すこし飛ばし過ぎではありませんか~? レッスン初日ですよ~?
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ありがとう、朋花。でも、こんなんじゃダメなんだよ。 あの兄貴を納得させるには……。
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歩さん……どうしてそこまで、 お兄さんを気にするんですか~?
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やっぱりきょうだいというのは、 特別に感じるものなんでしょうか~。
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特別ってことはないけど、すごいとは思ってるよ。 尊敬してるし、憧れて……って、なんか恥ずかしいな。
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そういえばアタシ、歩のお兄さんが何してる人か、 ちゃんと聞いたことなかったかも。
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兄貴は、アメリカで振付師をやってるんだ。アタシ なんか比べ物にならないくらい、ダンスが上手くてさ。
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アタシがダンスを始めたのも、最初は兄貴の影響! 家で練習してるのをよくマネしてたんだよね。
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前にもそう言ってたな、歩。 アメリカに留学したのも、お兄さんが先だって。
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イエス! アタシも、留学中は兄貴のアパートに 転がりこんでたしね。やっぱ、影響は大きいよ。
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そうですか……歩さんにとって、 お兄さんは、とても大きな存在なんですね~。
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え、結局そこに落ち着くの? まあ確かに、意識してるとは思うけど……。
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真美にはわかるよ、あゆあゆの気持ち…… 真美だって、亜美には絶対絶対負けたくないし?
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なるほど~。つまりきょうだいとは、 身近なライバルでもあるんですな~。
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ライバル……そうなのかな? 兄貴とアタシじゃ そもそもレベルが違うし、どう思ってるかも……。
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留学中も、「お前は日本に帰ったほうがいいかもな」 とか言われちゃったしさ! あは、あはは……。
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歩……。
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多分、「お前が留学するなんて、100年早い!」 って思われてたんじゃないかな?
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でも、だからこそ、がんばりたいんだ! あの頃のアタシとは違うんだってこと……。
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歩……わかったよ。 けど、あまり無理はしないようにな。
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うん! サンキュー、プロデューサー! あとすこしだけ、自主練して帰るよ!
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(歩が、お兄さんにこだわる理由はわかった。 結果を見せたいという気持ちもわかる……)
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(とはいえ、オーバーワークは禁物だ。 歩が飛ばし過ぎないよう、注意して見ていよう)
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レッスン終了後……
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いけっ、がんばれ! 最後は…… ブレーンバスター、決まった~~~っ!!
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いい試合でしたな~。 タイトルマッチ、とても熱い展開でした~。
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うん! ノリーの解説付きで見るプロレス、 メチャ面白かったー。また見ようね!
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SE
ガチャ
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お疲れさまー……あれ? みんな、まだいたんだ?
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歩さん、お疲れさまです~。 みんなで、プロレスを見てたんですよ~。
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鍛えられた肉体同士のぶつかり稽古…… 男のマロンだよね~。
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いやぶつかり稽古じゃ相撲だし、 それを言うならロマンじゃ……まあいいけど。
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『続きましては、イベント情報です! いよいよ 来週、国内最大級のダンス大会が開催されます!』
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『本日は、ゲスト審査員としてアメリカから帰国された 振付師の舞浜さんにお越しいただきました!』
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あれ、この人もマイハマさん? ひょっとして、ダンサーに多い苗字とか?
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いや、ダンサーに多い苗字って何? っていうかそれ、アタシの兄貴だから。
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ふーん、そうなんだ。歩の……
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って、ええーっ!! ダンス大会のゲスト審査員!? なんか、想像してたよりすごいんだけど!?
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なんか、テロップ出てるよ! シン……シン? なんて読むの、あゆあゆ!
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『新進気鋭、日本を代表する若手振付師』だって。 流石に、ちょっと盛ってる気もするけど……。
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けど、こうしてコメンテーターとして呼ばれるくらい、 注目されている方なんですね~。
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うん……。
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『舞浜さん。今大会以外で、 注目している日本のダンサーはいますか?』
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『そうですね、最近海外でも活躍している、 あの人ですとか……』
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『あとはアイドルで、765プロの舞浜歩にも 注目しています。僕の妹なんですけど』
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…………へっ!?
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え!? あゆあゆの兄ちゃん、 今、あゆあゆの名前言った!?
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あら……では次の定期公演は、 歩さんに注目が集まること間違いなしですね~。
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……。
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歩さん~?
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あ……アタシ、ちょっと走ってくるっ!
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えっ、走ってくるって……今から!? ちょっと、歩ー!
59
SE
ガチャガチャ、バタン!
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あ、歩。ちょうどよかった、ライブの 演出の件で、少し相談したいんだけど……。
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プロデューサー、ごめん! また後でーっ!
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え? あ、ああ、わかった……?
63
SE
ガチャ
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お疲れさま……みんな、まだいたんだな。今、歩が すごい勢いで出て行ったけど、何かあったのか?
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あっ、兄ちゃん! 聞いてよ、タイヘンなんだよ~!
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…………
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そんな事が……。
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ねえ、プロデューサー。歩、大丈夫かな? レッスンの時から、お兄さんのこと気にしてるし……。
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さっきので、余計にプレッシャー感じて、 悩んだりしてないといいんだけど。
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わかった。歩には、俺が話すから…… ありがとう、みんな。
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(走れそうな場所を探していると、歩を見つけた。 あの様子だと、ずっと走ってたみたいだな……)
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はぁ……はぁ……もっと、集中しないと……。 雑念を捨てて……も、もう一本……!
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歩、ストップ! オーバーワークだ。 今日はもう、これ以上練習はさせられない。
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止めないでよ、プロデューサー! だって今のアタシじゃ、全然ダメなんだよ!
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もっと練習しないと、兄貴を越えられない。 今のままじゃ、ステージにはとても……。
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お兄さんの発言で、注目度が上がったからか? 頑張りたいと思うのは当然だと思うけど……。
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でもその前に……ひとつ、聞いてもいいか? 歩は、誰のために公演をやるんだ?
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えっ……?
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レッスンして、最高のパフォーマンスをする。 それはアイドルとして、すごく正しい事だ。
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けどステージは、見てくれるお客さんがいて、 初めて成り立つものだ。違うか?
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……。
82
歩のパフォーマンスが物足りないなんて、 俺もみんなも、思っていない。
83
きっと、お客さんもそうだと思う。
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プロデューサー。アタシ……。
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アタシ……自分が思ってたよりも、 兄貴に言われたこと、気にしてたみたいだ……。
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うん。
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多分、ショックで、悔しくて…… 兄貴のこと、なんとか見返してやりたくて……。
88
自分でも気づかないうちに、兄貴に認めてもらう ためだけに、がんばるようになってたのかな……。
89
そうかもしれないな。……尊敬している人に 言われたんだから、ショックなのは仕方がないよ。
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でも、でもさ。だとしたらアタシは、 何のためにアイドルになったのかな?
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こんな中途半端な気持ちで……アタシなんかが、 アイドル、やってていいのかな……。
92
何のために、か。……きっかけは、お兄さんを 見返してやりたいという気持ちだったかもしれない。
93
けど歩は、ステージに立つ事がイヤだったか?
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今までだって、どんなに苦しくたって、 苦手な歌のレッスンも、頑張ってきたじゃないか。
95
プロデューサー……。
96
どうして、アイドルになったのか。 今まで、アイドルを続けて来られたのか……。
97
その答えは、歩だけが持ってるはずだよ。
98
うん……そうだよね。アタシ、 ステージに立つのがイヤだなんて、思ったことない。
99
そりゃ、失敗することもあったけど。でも、 ファンのみんなは、いつだって応援してくれてさ……。
100
楽しそうなみんなの顔を見ると、うれしくて……。 『アイドルって、ホントすごいな』って……。
101
そうだな。アイドルは、人を笑顔にできる。 それは本当に、すごい事なんだよ。
102
お兄さんへの悔しさを、捨てろとは言わない。 ただ、これだけは忘れないで欲しい。
103
『舞浜歩はアイドルだ』って事をな!
104
……うんっ! ありがとう、プロデューサー!
105
アタシ、がんばるよ。がんばって…… 観に来てくれたみんなを、笑顔にしてみせる!
106
ああ! 頼んだぞ!
107
(歩の目には、涙が滲んでいるように見えた。 ……大丈夫。これまでだって、頑張ってきたんだ!)
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