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(今日は、例のファッション誌主催イベント、
その出演者達の顔合わせ兼ミーティングだ)
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ヒナノです! 高校1年生で、『Girls High』の
専属モデルやってます。よろしくお願いしま~す♪
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(まずは、出演者達の自己紹介から。
それにしても……)
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よろしくお願いします! みんなモデルだけあって
メッチャかわいいな~……足細いし、背も高いし……。
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ほとんどの子が読者モデルらしいけど、
流石という感じだな……。
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次は、ローティーン向けの雑誌
『Girls Sweet』のモデルの子達だな。
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はじめまして! 『Girls Sweet』のモデルを
しています、ナナセです。中学1年生ですっ。
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つ、翼ちゃんに憧れてて……!
だから、そのっ。よ、よろしくお願いしますっ!
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……え?
翼って……もしかして、わたしのこと?
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へー、翼が好きなんだ。じゃあもしかして、
アイドルになりたいとか?
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は、はい! アイドルになりたいです! 翼ちゃん、
このショーでスカウトされたって聞いたし……。
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(あ、あれ? なんか、みんな笑ってる……
わたし、変なこと言っちゃったのかな……)
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それでは自己紹介も終わったところで、
イベントの説明に移りたいと思います。
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みんな、お疲れ様。後は、ショー当日に着る
衣装の合わせや、リハーサルがあるけど……。
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今日のところは、これで終了だ。
引き続き、よろしく頼んだ!
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いやぁ~、まさかこんなところにバサバサのファンが
いるとは! にくいですなぁ~、このこの!
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そういえば翼、あの時メッチャ固まっとったな?
なんでなん?
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だって、わたしに憧れてるとか。そんなこと
初めて言われたから、びっくりしちゃって……。
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私と翼ちゃんより、ひとつ年下ですね!
一生懸命で、なんだかかわいかったかも。
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そうそう! 1歳違うと、
中学と高校にだって分かれるかんね!
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兄ちゃん君には、そういう乙女ゴコロのサビを
理解してほしいもんですな~。
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乙女心の……機微か?
そうだな、肝に銘じておくよ。
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(打ち合わせが終わり、解散した。
翼は、この後何もないはずだけど……)
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翼、ちょっといいか?
時間があるなら、新曲の話を……。
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あっ……あれ、プロデューサーさん?
今、何か言いましたか?
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ああ。翼はこの後、仕事もレッスンもなかったよな。
時間があるなら、ちょっといいか?
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今日はお疲れ。
……打ち合わせが終わってから、上の空だな?
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うーん……わたし、さっきからずっと、
考えてるんですけど。なんか、うまくまとまらなくて。
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考えてる……
さっきの、ナナセって子の事か?
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えっ。プロデューサーさん、
どうしてわかったの?
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そりゃあ、翼のプロデューサーだからな。
それで、翼はあの子の何がそんなに気になるんだ?
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だって、アイドルっていっぱいいるじゃないですか。
わたしより売れてる人もいっぱいいるし。
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わたしも、最近はけっこうがんばってますけど。
でも美希先輩とかに比べたら、全然だし……。
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それはやっぱり、あの子の好きなアイドルが
翼だからじゃないか?
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やっぱり、わかんないよー! だってわたし、
わたしより美希先輩のほうが絶対すごいって思うし!
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わたしよりすごい人がたくさんいるのに、
なんであの子は、わたしなんだろう……?
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なんで翼なのか、か。
それはあの子にしかわからない事だけど……。
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いや……もしかしたら、
本人にもわからない事かもしれないな。
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ひとつだけ言えるのは、あの子から見た翼は、
『本物のアイドル』だって事かな。
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ああ。あの子にとって、翼は本物のアイドルで、
あの子が今目指している世界の先輩だ。
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美希に憧れてアイドルを続けている翼が、
今度は憧れられる存在になったんだ。すごい事だよ。
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なんか、いま急に! 肩のトコがずしーって、
重くなったカンジがする! どうして!?
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はは、そうか。……翼なりに、重圧というか……
責任みたいなものを感じたんだな。
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翼はいつも、何かに憧れて、追いかけているよな。
その強い想いは、前に進むための大事な力だと思う。
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でも、そうだな。誰かの目標になって
追いかけられる事も、いい経験になるんじゃないかな。
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ああ。翼が美希を追いかけるのと同じ熱量で、
あの子や誰かが、翼を追いかけてくる……。
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でもその怖さは、美希や響や……先輩である
他のみんなが、常に感じているものでもあるんだ。
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追いかけられたら、わたし……
今よりもっと成長して……それで……。
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もっともっと、大人で……
今よりも、すごいアイドルになれる……?
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(翼はまだ14歳。追いかけられる側になるには、
少し早いのかもしれないが……)
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(それでも、翼なら行けるはずだ。追いかけられる側に
なるのは、強い輝きを放つ者の証明なのだから)
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つ、翼ちゃん、おはようございます!
今日は、よろしくお願いします!
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あの、えっと……す、ステージ、頑張ってください!
それじゃあ……!
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あ、ナナセちゃん……だっけ。
ちょっと待って。
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……えっと。この前、すぐに反応できなくて
ごめんね。わたし、驚いちゃって……。
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えっと……わたしね。
いつも誰かのこと、追いかけてばっかりなんだ。
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だから自分が誰かに追いかけられるなんて、思っても
みなくて……でも、うん。なんか、わかったかもって。
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わたしも、ナナセちゃんと同じだから。
憧れの人とか、目標とかがあって……。
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その人たちに追いつきたくて……追い越して、
もっともっと遠くに行きたいって思ってる。……多分。
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だからナナセちゃんがわたしを追いかけてきても、
わたしは気にしないと思うんだ。
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わたしの追いかけている人たちは、立ち止まったり
しない。どんどん進んで、突き放しに来る。
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だからわたしも、待ったりしない。
これからも、思いっきり走るよ。
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ありがとうございます!
今日のステージ、ちゃんと見ますっ……!
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……ふう。
こんな感じで、よかったのかな……?
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よかったんじゃないか?
彼女、嬉しそうに見えたよ。
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やるやん、翼!
メッチャ先輩やったし、カッコ良かったで!
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うんうん! 翼、いいこと言った!
あの子、きっと翼のこと、追いかけてくると思うよ。
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そ、そうですか……? えへへ。
でも、なんかステージより緊張したかも……。
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バサバサが緊張してるなんて珍しーね!
真美が笑わせたげよっか?
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真美、イタズラしてる場合じゃないよ。
私たちも準備しないと!
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そうだな。皆も、着替えて準備が整ったら、
ステージ袖に移動だ。翼、頼んだぞ!