MLTD Archive(β)
メインコミュ 第 115 話 公演前 2 / 5 パート

特別ではない日

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1週間後……
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(今日から、定期公演のレッスン開始だ。公演では、 星梨花の新曲をお披露目する予定なんだけど……)
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プロデューサーさん…… 今日は、遅い……ね。
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遅刻なんて珍しいけど、なにかあったのかな?
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SE
ガチャ
6
みんな、お待たせ! レッスンを始める前に、大事な話があるんだ。
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プロデューサーさん、お疲れさまです。 あの、大事な話って……?
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ああ。 急な話で、俺も驚いているんだけど。実は……。
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まぁ……ではその、『ミレニアム芸術文化賞』の 今年の受賞者が、わたくしたちになったんですの?
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『ミレニアム芸術文化賞』……文学、芸術、音楽など、 様々な分野で活躍した方に贈られる賞ですわね。
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はい。文化芸術を広める事に貢献したという事で、 765プロのアイドル達が選ばれたそうです。
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その賞なら、私も知ってるよーっ! バレエで選ばれた人もいるからね☆
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プロデューサーさん…… 杏奈たちの、活動も……芸術……?
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そうだな……今回は、特に『産声とクラブ』や、 全国ツアーの試みが評価されたらしい。
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中央エリア駅前のチア活動も、地方を活性化させた という事で、かなり評価されているらしいぞ。
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チア活動は、私と杏奈ちゃんも出てましたけど…… 芸術なんて言われると、なんだか照れちゃうね?
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ん……。
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それで、ここからが本題なんだが……授賞式は、 代表で星梨花に出席して欲しいとの事だ。
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えっ!? わ、わたしですか?
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ああ。選考委員のひとりが、星梨花と知り合いだとか。 ……この人なんだけど、知ってるか?
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あっ。はい、パパのお友達で…… 先週、わたしの家のお茶会にいらしてました。
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その時に、パパに言われて、『産声とクラブ』の 映像を見てもらったんですけど……。
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なるほど……そういう事だったんだな。 繋がったよ。
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じゃあ……賞を、もらったの…… 星梨花ちゃんが、きっかけ……?
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それで、授賞式の代表にってことかぁ。 そう考えると、自然かも?
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けど……わたしで、いいんでしょうか?
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『産声とクラブ』を歌ったのは、 わたしだけじゃありません。それに……。
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大丈夫だよ、せりりん! 代表としてもらってきてよ!
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海美さん……。
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受賞したのは765プロのみんなで、代表として 星梨花が受け取るだけだ。何も変じゃないよ。
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授賞式は定期公演の後だけど……それもあって、 選考委員の人達が、公演を見学に来るそうだ。
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まあ、なんだか大事になってきましたわね。 では公演でも、受賞についてのMCを?
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はい。星梨花に、受賞に関するちょっとした スピーチをやってもらおうかと。
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内容は、星梨花に考えてもらおうと思ってるんだけど ……それで構わないか?
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スピーチ……わかりました。 わたし、がんばります!
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公演自体は、いつもどおりの予定だ。 新曲お披露目もあるし、頑張ろうな!
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はい!
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定期公演のセンターに、スピーチ……授賞式も……。 星梨花ちゃん……やること多くて、大変……。
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せりりんの負担が多くならないよう、私たちで サポートしないとね! がんばるぞーっ!
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うん! 星梨花ちゃんが集中できるように、 私たちでしっかり支えるからね!
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みなさん…… はい、ありがとうございます!
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翌日……
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うーん。劇場の話もしたいけど、あんまり多いと 時間が……スピーチって、難しいなぁ。
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今度の定期公演、プロデューサーさんは、 いつもどおりの公演にするって言ってたけど……。
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でも、特別なお客様が来るのに……それでいいのかな?
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やっぱり、プロデューサーさんに 相談してみよう……!
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なるほど。特別なお客さんが来るなら、 特別なおもてなしが必要、か。
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は、はい。この前、家で お茶会をしたんですけど……。
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その時も、きちんとおもてなしできるように、 たくさん準備や練習をしたんです。だから……。
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そうだな。定期公演は、いつもやってるものだから…… っていう答えじゃ、星梨花はきっと納得できないよな。
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はい……。プロデューサーさん、 どうしていつもどおりがいいんですか?
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口で言うより、見てもらったほうが早いかもな。 星梨花、ちょっと着いてきてくれるか?
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? プロデューサーさん、どこへ……?
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もちろん。みんなのところだよ。
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二階堂さん、OKです! 休憩していてください。 次は望月さん、お願いします。
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ありがとうございました! ……がんばってくださいましね、杏奈。
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うん……! 先生、よろしくお願いしまーすっ!
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その間に、わたくしは昨日の続きを……。 ええと、何ページだったかしら。
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「私はバッドエンドなんて嫌! 生き残ってみせる!」 ……違いますわね。悪役令嬢なら、もっとこう……。
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千鶴さん……あれは、新しいお仕事の台本ですよね? 休憩時間なのに、台本を読んでいるんですか?
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公演以外に、個人の仕事もあるからな。 時間を無駄にしないようにしてるんだろう。
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先生~! 杏奈、ちょっと音がズレちゃった……! こういう時、どうしたらいい!?
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そうね、ここは……。
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杏奈ちゃん、音がずれたなんて、気付きませんでした。 すごく上手に歌えてたのに……。
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うん、そうだな。でも周りは気づかなくても、 本人は気づいたし、直したいんだろうな。
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……。
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さて、移動しようか。 ええと、海美は……。
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よしっ、ここまでは完璧っ! あとはこっちのステップを……。
69
SE
ガチャ
70
海美、お疲れさま。 ダンスの自主レッスンか?
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あれっ? せりりんとプロデューサー? せりりん、今日、レッスンお休みじゃなかったっけ?
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海美さんこそ、お休みのはずじゃ……。それに、 ダンスはもう全部覚えたって言ってましたよね?
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うん! でもついでだから、 みんなの分も覚えておこうと思って。
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そしたら先生がいなくても、 いつでも教えてあげられるしねっ☆
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ええっ!? でも、海美さんが大変なんじゃ……。
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私なら平気だよ! それに、無理すると プロデューサーに怒られるし!
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それがわかっているなら、大丈夫だな! ……お、春香が来たみたいだ。
78
SE
ガチャ
79
海美ちゃん、お待たせ~! ……あれ? 星梨花ちゃんと、プロデューサーさん?
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おかえり、春香。今日は 『アイグラ!!』の撮影だったよな。どうだった?
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はい、バッチリです! カメラマンさんにも、 すごく良い写真が撮れたってほめてもらえましたよ!
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海美ちゃんにダンスを教えてもらう約束をしてたので、 急いで帰ってきたんですけど……何かありましたか?
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いや、何もないよ。ふたりとも、 無理せず、怪我のないようにな。
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はいっ!
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…………
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さて……ひととおり回ってみたけど、 星梨花、どうだった?
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はい! ……みんなすごいって、 改めて思いました。
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定期公演のレッスンも、他のお仕事も、 当たり前のようにこなしていて……。
89
そうだな。 そしてこれは、劇場のいつもの景色だ。
90
言われてみれば……。
91
みんな、いつもどおり頑張っている。 結果はステージの上で見せる。アイドルだからな。
92
星梨花も、初めてのセンター公演の時に言ってただろ? 「特別じゃなくていい」って。
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あっ……。
94
わたし、そう言ってました……。 でも……。
95
今回は、いつもどおりじゃダメな気がしたんです。 特別でなくちゃって……どうしてなんでしょう?
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そうだな……特別なお客さん、っていう事も あるかもしれないけど……。
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一番は、星梨花が成長したからかもしれないな。 上を目指す欲が出てきた、という事だと思う。
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上を目指す欲……。
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プロデューサーさん。それって、 いいことなんでしょうか?
100
向上心を持つ事自体は、悪い事じゃない。でも、 苦しい思いをする事も増えるかもしれないな。
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……。
102
だからこそ、忘れないで欲しいんだ。
103
星梨花やみんなが当たり前だと思っているものは、 当たり前じゃない。ひとつひとつが積み重ねなんだよ。
104
プロデューサーさん……。
105
わたしたちはみんな、いつも。お客さんに 見てもらうために、がんばっているから……。
106
だから、『いつもどおり』……なんですね?
107
ああ。……答えになったかな?
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はい。……ありがとうございました。 わたし、もう一回、考えてみます。
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プロデューサーさん。スピーチの文章が 書けたら、見てもらってもいいですか?
110
ああ、もちろん。 楽しみにしてるよ。
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公演当日……
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(選考委員の人達の席……後ろの方にいるのは、 もしかして星梨花のお父さん……?)
113
(星梨花は何も言ってなかったから…… 内緒で観に来たのかもしれないな)
114
次の曲に行く前に…… みなさん、もうご存知かもしれませんが。
115
わたしたち765プロのアイドルが、この度、 『ミレニアム芸術文化賞』をいただきました!
116
ワァアアアア!!!
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わたしたちの新しい挑戦をたくさんの方に 評価していただけて、とってもうれしいです!
118
……。
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わたしたちのツアーは、全国のみなさんに、 『劇場の良さを知ってもらう』ことが始まりでした……
120
劇場は、わたしにとってかけがえのない場所です。 みなさんにとっても、そうだといいなって思います。
121
だから今日も、『いつもどおり』の素敵な公演です! ……みなさん、ようこそ、わたしたちの劇場へ!
122
いつもの場所から、新しい歌を届けます。聞いて ください。『Come on a Tea Party!』!
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