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(演奏会ライブに向けたレッスンは順調に進んだ。
今日は自主的に最終チェックをしているようだ)
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みんな、とってもよかったわ!
通しでの確認もできたし、少し休憩しましょうか。
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おやつタイムだー♪ 真美、社長からチョコもらって
来たから、これをつまみにいっぱいやろうよ!
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わぁ、ありがとう真美! おやつは大事だよね~♪
ねね、どんなチョコ? 生クリームつける?
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私もほうじ茶を持ってきましたので、
よろしければ、是非。
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あらあら、紬ちゃんまで。
それじゃあ、遠慮なくいただいちゃおうかしら♪
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ふふっ、衣装にこぼさないよう気を付けてね。
真美ちゃん紬ちゃん、ありがとう。
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気にしないでいいよ~。真美たちはアイドルという、
同じカメの飯を食う仲間なんだからさ!
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そういえば歌織さんって、アイドルになる前は
音楽教室の先生だったんですよね?
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その頃から、アイドルになりたいって
思ってたんですか?
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思ってはいなかったけど……気づいてなかっただけかも
しれないわね♪ 歌は、小さい頃から大好きだったの。
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それで、お母さんの教室で働き始めて……。でも、
ステージで歌ってみたいっていう思いはずっとあって。
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だからお父さんが、自衛隊の音楽隊で歌わないかって
誘ってくれたの。ふふっ、とっても、嬉しかった。
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でも、そこでプロデューサーさんに出会って。
アイドルは、その時に見つかった私の夢、かな?
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そういえば……私もアイドルになる前は、
たまに実家の店番をしていたのですが……。
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そこにプロデューサーが現れたのが、すべての
始まりでした。…出会いというものは、不思議ですね。
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そうそう、私も高校生の頃は、普通に就職するつもり
だったわ。アルバイトもいろいろ挑戦したのよ♪
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へぇ~。私は、将来のこととか考えてなかったなぁ……
あ、でもでも、部活はがんばってました!
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真美は習字とかスイミングとかソロバンとか習ってた
けどー、習わないで遊んでたら辞めさせられちった☆
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まあ、うふふっ!
みんな、いろいろな道を通ってきてるのね……。
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そんなみんなと、この場所で出会えて、
一緒にアイドルができて……とっても嬉しいわ。
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本番は力を合わせて、
アイドルの魅力、伝えましょうね!
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(いよいよ自衛隊音楽隊の演奏会当日。満員御礼の中、
本番が始まった。歌織さん達の出番も、もうすぐだ!)
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みんな、準備できたみたいだな!
出番はこの次なんだけど……。
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あっ、今ステージに出てった人、
テレビで見たことある!
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映画の主題歌が大ヒットした、オペラの方ですね。
あの方が目当ての人は多いと思います。
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ふーん、あれがチョー有名歌手か~。
どれどれ、オテフキはいけんといきますかー。
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お手並み拝見な。確かに、普段だったら
なかなか見られない貴重なステージだと思うぞ。
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彼女も歌織さんと同じで、自衛隊に知り合いがいて、
そのツテで今回出演することになったみたいですけど。
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まあ、そうだったんですね。
あ、そろそろ始まるみたい!
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わわっ! すっごい、すっごーい!
私、鳥肌立っちゃった!
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真美も、あごがはずれるかと思ったよ~。
生で聞くと、なんかテレビと全然違うっぽいよね!
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さすがですね。私たちの歌とは種類が違うというか……
歌い出した瞬間から、飲み込まれてしまうかと……。
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本当ね。歌声も力強いのに心地よくて、
ずっと聞いていたいくらい。
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(そして、歌織さん達のライブも大盛況に終わった。
お客さん達も楽しんでくれたみたいだ)
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歌織さん、お疲れさまです。
会場も盛り上がっていましたよ。
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あ、歌織ちゃん! すっごくよかったわ!
私たちとやってた頃とは別人みたいだった!
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本当に大きくなられましたね。なんだか、
歌織さんが遠くへ行ってしまったような気分ですよ。
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そんな、皆さんこそ素晴らしいステージでした。
私は、まだ全然……。
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いえいえ、アイドルとしてのご活躍、これからも楽しみ
にしています。あ、写真集は隊で購入しますので!
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今日はバタバタしてるから、今度ゆっくり
話しましょうね。それじゃ!
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歌織ちゃん、お客さんたちもみんな
喜んでくれてたわよ。よかったわね~。
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桜守さんの歌、レッスンで聞いた時の
何倍も素晴らしかったです。
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私もそう思います!
歌織さん、すっごくキラキラしてました!
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うんうん、さすが歌織お姉ちゃんだね!
真美はほこりっぽいよ! ……あ、ほこらしいよ!
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みんな……ありがとう。そう言ってもらえるのは
嬉しいけど……ううん、そうよね。
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お披露目公演も、しっかり頑張ります。……うん!
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さて、お披露目公演も近いし、
みんなも今日は早めに帰って、ゆっくり休んでくれ。
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あの……、プロデューサーさん。
なんだか、歌織ちゃんの様子が……。
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歌織さん、急にお呼びしてすみません。
少し、話をさせてもらいたくて。
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はい……。昨日のライブのことですよね。
あの……プロデューサーさん。
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プロデューサーさんの目から見て、
私たちのライブ、本当によかったですか?
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ええ。音楽隊のみなさんも言ってくれてましたけど、
素晴らしかったと思いますよ。
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そうですね、他と比べるとなると……
どの出演者の方も良かったですから。
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……そうですよね。
私、少し思い上がっていたのかもしれません。
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アイドルとして、自分だけの歌を歌えて。
ここまで来られて……自信も、充実感もありました。
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でも昨日、他の歌手の方のステージを見て、
なんだか……私……。
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……そう、なんです。歌も演奏もすばらしくて。
私が外れた道で、みなさんは、あんなにも輝いて……。
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私もアイドルとして、劇場のみんなと一緒に成長できて
るって思ってました。楽しく、前を向いて。
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でも、昨日のステージを終えた後、思い出したんです。
前に、プロデューサーさんに言われたこと。
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みんなと仲良くしているだけでは、
トップにはなれない、って……。
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このまま歌い続けても、私はきっと……届かない。
そう、思い知らされた気がします。
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私の目の前には、まだまだ長い道が続いていて、
その遥か先に、私が目指している場所があって……。
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確かに、トップアイドルへの道は
遠いかもしれません。でも、歌織さん。
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そう思えているなら、もう大丈夫だと思います。
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もっと歌いたい、もっと輝きたい。
昨日の自分よりも、周りの誰よりも、もっと。
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その願いそのものが、歌織さんを輝かせて
くれますから。願いが強ければ強いほど。
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はい。私は歌が好きです。もっと歌いたいです。
どこまでも、それに、きっと……誰よりも!
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わかりました。大丈夫、
プロデュースは任せてください。
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だから一緒に、届けに行きましょう。
誰よりも輝くアイドル・桜守歌織を、はるか遠くまで!
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プロデューサーさん……。
はいっ。ありがとうございます!
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私……あまりの遠さに、挫けそうになってました。
でも、そうですね。私は大丈夫。だって……。
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プロデューサーさん。私、なってみせますね。
誰にも負けない、トップアイドルに!
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はい。歌織さんなら絶対になれます。
一緒に歩いていきましょう。この先もずっと!