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メインコミュ 第 144 話 公演前 2 / 5 パート

あなたと共に

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前日のこと……
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それじゃ、千鶴さん。状況が落ち着くまでは、 このホテルで過ごしてもらえればと……。
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しばらく不便だと思いますが、必要なものは 言ってくれれば持ってきますから。
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ええ、わかりましたわ……。プロデューサー、 こんな生活、いつまで続くんですの?
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ちょっと、今は何とも……。とにかく記者が諦めそうな 手立てがないと、何とも……。
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……そうですわね。 ごめんなさい、答えのないことを聞いて……。
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ただ……。実は、手がないこともない。 ……とは、思ってます。
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まあ! さすがですわね! どうするおつもりですの?
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その……。 千鶴さんの、ご実家のこと……なんですが。
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え……?
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いっそ、公表しませんか。 この機会に、思い切って!
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……なんですって?
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いや、このまま週刊誌にすっぱ抜かれるくらいなら、 先手を打った方が……!
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なにをおっしゃってますの? どうして……、どうして貴方が、そんな……!!
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それを譲ってしまったら、二階堂千鶴は! わたくしは、わたくしではなくなりますわ!
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大丈夫です、千鶴さんは千鶴さんです! 高貴で優しい心を持った立派な女性で、アイドルです!
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そういうことじゃないの!!
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! 千鶴さん……。
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セレブであるということは、わたくしにとって……。 いいえ、わたくしだけではありませんわ。
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わたくしの家族や商店街の皆様、ファンの皆様、 それと……。貴方との、大切な……証で、夢で。
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ずっと歩いてきた道のりで、約束ですのよ!? それを……裏切ることになりますのよ!?
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……そう、かもしれません、でも! このままだと千鶴さんが……!
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イヤです! もう聞きたくありませんっ。 ……出て行ってくださいまし!
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(という別れ方をしてしまったままだったからな……。 やっぱり、突然過ぎたんだろう)
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(でも、このままホテル暮らしを続けるだけで いいはずがない。一体どうすれば……)
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その日の夜……
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SE
コンコン、ガチャ
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ふ~、お待たせ! はい、とりあえず着替えね。 あと食べ物も。主にコロッケだけど。
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お母さん……。 うん、ありがとう。ちょうどお腹すいてた。
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でしょ? まあ、ちーこは牛ヒレ肉のなんとか風、 とかの方がいいんだろうけど!
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……。うん、そうだよね。 そうなんだけど……。
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……。 どうしたのよ、情けない顔して。何かあった?
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……昨日、プロデューサーが…… 週刊誌に書かれる前に……。
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家のこと、公表したらどうかって……。
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……。あら、そうだったの。
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あの人は、わかってくれてるって……思ってたのに。 私のこと……。アイドルの、二階堂千鶴のこと。
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あの人と一緒に……なによりも、 大事にしてきたのに……!
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……。
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大事にされてるじゃない。 ありがたい話よねぇ。
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……え?
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親の贔屓目かもしれないけど、 アンタも結構有名になってきたみたいだし。
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このままもっと有名になってからじゃ、 もう取り返しがつかなくなるっていうか。
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それこそ、大変なことになるんじゃない? アンタ自身が誰よりも、今よりもずっと。
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……! 私を……。
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私を、大事にして……?
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同じ頃……
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社長、お疲れさまです。
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おお、君か。お疲れさま。 二階堂君は大丈夫かね?
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はい、用意していただいたホテルに送りました。 ……気持ち的には、落ち込んでると思いますが……。
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うん? どうかしたのかね?
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あ、いや……。 実は……千鶴さんと、口論になってしまったんです。
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口論?
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はい……。本当のことが明るみになってしまう前に、 その……。
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ご実家のことを公表してはどうかと 提案したんですが……。
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ほほう。 それで、彼女はなんだって?
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そんなことをしたら、自分が自分でなくなってしまう。 みんなを裏切ることになる、と……。
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ふむ……なるほど。
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最初は、千鶴さんのためにも、 絶対にそうした方がいいと思っていたはずなのに……。
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話しているうちに、何故か 自信がなくなってきてしまって……。
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それはそうだろう。
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えっ?
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アイドルの輝きとは、紛れもない真実の魂の輝きで なくては、誰にも響くことはない。
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そ、それなら……。
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だからこそ。 嘘を真に変えるのが、アイドルの本質ではないのかね?
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……!
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もちろん、そこには責任が伴う。覚悟が伴う。 だが、そこから逃げては得られない輝きがある。
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二階堂君は覚悟と引き換えに 何を追い求めているのか……。
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君が今日までともに歩んできた、 彼女の真の輝きとは、どんな在り様なのか……。
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君は、よく知っているだろう?
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……そうでした。はい、よく知っています。 ずっと前から……。
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彼女と出会った時から、誰よりも!
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翌日……
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プロデューサー……。 あの……。
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千鶴さん、おはようございます。 出る前に、少しいいですか?
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あ……ええ、もちろんですわ。 わたくしも、少しお話ししておきたくて。
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その……、この間はすみませんでした。 千鶴さんに、あんな提案をしてしまって……。
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! あ、謝るのはわたくしの方ですわ! 言い過ぎたというか、その……。
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わたくしのことを考えてくださってのことでしたのに あんな態度をとってしまって……申し訳ありません!
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いえ、俺の考えが足りませんでした。 実は昨日、社長にも叱られてしまって。
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ま、まあ。 そうでしたの……。
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はい。それで、今日は千鶴さん。 あなたにあらためて、伝えたい事があります。
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伝えたい事……。 はい、聞かせてくださいまし。
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俺は、千鶴さんのプロデューサーです。 だからあなたの責任を、覚悟を、一緒に背負います。
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『理想のアイドル・二階堂千鶴』を作り上げるために。 これからも、どこまでも二人で。
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二人三脚で歩いていきましょう。 千鶴さんの目指す、真の輝きに向かって!
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プロデューサー……!
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ええ、もちろん……もちろんですわ。 わたくしは、たとえこの先、何があろうとも……。
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貴方が隣にいてくださるのでしたら、 怖いものなど、何もありませんわ!
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(千鶴さんが成し遂げようとしている事は、 簡単な事じゃない。それでも、二人なら……)
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(いや、もっと多くの人たちが支えてくれている……! 何よりも大切なものを、これからも守っていこう!)
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