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メインコミュ 第 153 話 公演前 2 / 5 パート

そんな私でいたいから

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― 篠宮家・リビング ―
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はぁ……。やっぱり、やめたほうが、 よかったのかな……。はぁぁ……。
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どうしたんだい、可憐? さっきから、ため息ばかりだね。
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甘いものでも食べる? マカロン? ケーキにする? そうだわ、先にハーブティー淹れましょうか♪
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お父さん、お母さん……。 あ……あのね、私……。
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今日のお仕事で、失敗しちゃったの……。 私のせいで、撮影が……止まっちゃって……。
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みんなにも、プロデューサーさんにも、 たくさん迷惑かけちゃって……。あうう。
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そうかそうか、それは残念だったね。でも気に病むこと はないさ。失敗は成功のもとっていうじゃないか。
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そうそう、失敗する可憐も可愛いから大丈夫よ。 今日のことは忘れて、次にいかなくっちゃ♪
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で、でもね。みんなは、最初から心配してくれてて…… 無理しなくていいよって、言ってくれてたの。
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なのに、私が挑戦したいからって…… アイドルとして、期待に応えたい、なんて言って。
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なのに、いざとなったら全然ダメで……。 乗り物に乗る前に、気絶しちゃって……。はぁ……。
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そうかそうか。そんな難しいことに挑戦するなんて、 えらいぞ可憐。パパは誇らしいよ!
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ぜ、全然難しくないんだよっ。ただ、世界一高くて速い ジェットコースターに、乗るだけだったのに……。
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世界一ぃぃ!?!?!?!?!???
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そ、それには乗らなかったのよね!? よかったぁ~! だって、世界一危ないってことでしょう!?
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え? そ、そういうことじゃ、無いと思うけど……?
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よしよし、怖い思いをさせてごめんね。 パパ、アイドルのことを全然わかってなかったよ……。
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でも、話してくれたおかげでよくわかった。 そういうことなら……、可憐。
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アイドル、辞めたほうがいいんじゃないかな?
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? ……、えっ?
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そうね、アイドルしてる可憐は、とっっっても 可愛いから残念だけど。辞めちゃいましょう!
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えええっ!? ど、どうして……?
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だって、危ないお仕事でケガでもしたら大変でしょう? そんなことになったら、ママが気絶しちゃうもの。
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そうそう、小さい頃みたいにね。 あの頃の可憐は、やんちゃで大変だったなぁ。
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危ないことや怖いことをぜ~んぶ遠ざけて、とっても お淑やかになれたのよね♪ ……思った以上に♪
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ま、待って! そ、そういうことじゃなくて……!
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大丈夫。途中で辞めるのは気まずいだろうけど、 無理に続けるものでもないからね。
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む、無理とかじゃ、ないよぉ……! 私は、臆病を直したくて……、だから……!
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うんうんわかってる、パパも応援してるよ。 でも臆病を直すなら、アイドルじゃなくてもいいよね?
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バレエとかダンスとか、ピアノとかお琴とか。 あっ、ママと一緒にお料理教室なんてどうかしら♪
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う……っ、や……っ。
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や~~だ~~っ! 私は、アイドルがいいのぉ~~っ! ふぇぇえええん!
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あわわわわっ!! か、可憐ちゃんっ!?
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…………
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ふぅ……やっぱり、ベルガモットは落ち着くなぁ……。 すぅ~……、はぁ~……。
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『アイドル、辞めたほうがいいんじゃないかな?』
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お父さん、あんなこと言うなんて……。
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『臆病を直すなら、アイドルじゃなくてもいいよね?』
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……。そう、だけど……。違うもん。 私は……。アイドルが、いいんだもん……。
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……。あ……。
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どうして……なのかな……?
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数日後……
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というわけで! ゲロっちまいな、しのみやん! もうネタはあがってるんだぜ! カリッカリだぜ!
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あうぅ。 い、いきなり、なんのこと、亜美ちゃん?
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あみ~。可憐お姉ちゃん、びっくりしてるぞ?
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おっと、それなら出血大サービスだ! たまきち刑事(デカ)、カツ丼を出してやんな!
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うんっ! カツ丼味のお菓子、 いっぱいあるから食べてね! くふふ♪
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私はお茶を淹れてきたの。ハーブと煎茶のブレンド、 可憐ちゃんのお口に合うといいんだけど……。
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あたしは、お漬物を持ってきたよぉ。 実家から届いたばかりで、歯ごたえもバッチリだべさ♪
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そして最後は、亜美の秘密兵器! てやーっ! アロマ・ディフ……、ディフなんとかー!
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ふふっ、アロマディフューザーだね……。 あ、なんだか律子さんのに似てる……。
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大正解~♪ 律っちゃんに借りてきたんだー。 しのみやんの好きな香りもあるんだって!
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あ、ありがとう……。でも、あの……、 どうして会議室に来たの? 今日のレッスンは……?
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あのね、今日のレッスンは中止になったの。 だから、みんなでお茶会にしようって。
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中止……? で、でも私たち、もうすぐ公演なのに……。はっ!
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『アイドル、辞めたほうがいいんじゃないかな?』
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ま、まさか、公演もやめちゃうの!?
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あわわ、違うよ! 可憐ちゃん、最近ちょっと 元気ないみたいだったから、気分転換にって。
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おやぶんがね、今日はみんなで思いっきり 遊んでいいって言ってくれたんだ~♪
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プロデューサーさんが……。
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気分が乗らない時は、パーッと遊ぶに限るかんね♪ アロマ大会でもいいよ! なんかチョーゴーとかする?
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みんなでいろんな香りを作るのも、楽しそうだねぇ。 可憐さん、教えてくれるかい?
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あ……う、うん! それじゃあ……、ちょっと待っててね……♪
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…………
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あ、あのぅ……。プロデューサーさん?
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ああ、可憐、お疲れさま。 雪歩たちとのお茶会は終わったのか?
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は、はい……。とっても個性的なアロマを、 たくさん作れました……えへへ♪
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どうりで、いい匂いがすると思ったよ。 ちゃんと気分転換ができたみたいで、よかった。
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あっ。そのことで、お詫びに来たんでした……。
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公演前の大事な時期なのに、レッスン、お休みに してもらっちゃって……すみません……。
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だ、ダメですよね……? 私、アイドルなのに。 お仕事もレッスンも、ちゃんとできないなんて……。
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こ、こんな、中途半端だから……。 お父さんにも、あんなこと……。
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うん? ご両親と、何か話したのか?
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ああっ、いえ! あの、ええっと、違うんですっ! わ、私、辞めたくなんかなくってぇ……!
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……。 よかったら、話を聞かせてくれないかな。
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そして……
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……なるほど。自分がどうしてアイドルで いたいのか、わからなくなってたんだな。
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は、はい……。そんな私なのに、 今日のレッスンも飛ばしちゃって……。
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可憐は謝らなくていいよ。レッスンのことなら、 中止を言い出したのは、そのアイドルたちだ。
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え……? アイドルたち……?
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雪歩と亜美、ひなたと環が直談判に来たんだよ。 今は遊びこそ最高のレッスンだよ、とか言ってたっけ。
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みんなが……! そ、そうだったんですか……。
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おかげで可憐はちょっと元気になったみたいだし。 正解だったんじゃないかな。
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で、でも……どうして、なんでしょう……。 遊園地のお仕事も、私のせいで、失敗したのに。
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なのにみんな、優しくて……励ましてくれて。 今日もいっぱい、寄り添って、くれ……て……?
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うん。可憐がみんなの立場でも、同じことをしてくれた だろうな。今までもずっと、そうしてくれてたし。
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……。私も……。
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仲間だからとか、気持ちがわかるとか、笑顔がみたい とか。理由はいろいろあるんだろうけど……。
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結局、みんな『アイドル』だからだと思うよ。
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アイドル、だから……?
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観客やファンにはもちろん、仲間にも友達にも。 両親にも家族にも、きっと周りの人全部に。
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アイドルは元気を、希望を、勇気を与えてくれる。 その輝きや笑顔、優しさで。
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その素晴らしさを一番よく知ってるのも、 きっとアイドルだ。……可憐みたいにな!
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……! は、はい……。はいっ、知ってます。 アイドルの……、みんなの、素敵なところ……。
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勇気を、もらうんじゃなくて……誰かに、あげられる。 ……私も、そんな風でいたい……。だから……。
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プロデューサーさん……。 私、これからもずっと、アイドルでいたいです……♪
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