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ほらほら、行くよーーーっ! みんな、私に
捕まらないように逃げて! ……って、あれ?
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(子ども番組の収録中。ひとりだけ運動に参加して
いない男の子がいる事に、海美も気が付いたようだ)
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ねね、キミ。どうかしたの?
鬼ゴッコ、好きじゃなかった?
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でも、大丈夫だよ! 今のはウォーミングアップで、
この後は『美ルドアップ体操』だから!
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ダンスみたいに、音楽に合わせて体操するの!
きっと楽しいよーっ☆
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……ダンスも、たいそうも、べつに、すきじゃないし。
ふとくいなんです。
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……きらいじゃないけど、じょうずにできないから。
できないと、笑われるし。
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なーんだ! そういうことなら、
私が教えてあげるから……。
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へいきです、そういうの。ほかのコーナーで、
見せ場はつくるようにしてますし。
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この番組は、子役のとうりゅうもんだから
しゅつえんしているだけなので。
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せるふぶらんでぃんぐは、ちゃんとできてます。
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ええ~……。そんなこと言わないで、
私と一緒に、『美ルドアップ体操』踊ろ?
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それに、体操して筋肉がついたら、
いろんなことができるようになるよ!
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そう! 筋肉があれば、今できないことだって、
何だってできるようになっちゃうんだから!
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……。でも、おねえさんはいま、
ぼくをおどらせることができませんけど。
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うみみん、小学生にリンパ腺されるとはね……。
ここは真美の出番かな!
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んっふっふ~♪ うみみんで物足りないなら、
真美とせくちー鬼ゴッコ、しちゃう?
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ま、真美のお色気攻撃に眉ひとつ動かさないだと!?
もしや幼すぎて、大人のミリキが伝わらないのか……!
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もう……! ちょっと、キミ!
子役ならもうすこし、現場のことを考えないと。
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いきなり大きな声を出すなんて、しつれいな人ですね。
そっちのほうが、くうきをみだしてますよ。
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ぼくがたいそうのコーナーに出なくたって、
しゅうろくはかのうなはずです。
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なかなか気難しい子みたいですね。
そういう年頃なのかな……。
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あっ……やっぱり。子どもたちのテンションが、
落ちてきてます。急がないと……。
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765プロさん、お世話になってます。
あの、ちょっとよろしいですか?
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あ、番組ディレクターの……
こちらこそ、お世話になってます。
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あの男の子なんですけど。本人の言う通り、
他のコーナーで活躍させてあげられると思うんです。
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なので今日の撮影では、体操のコーナーから
出演を外しても、特に問題ないかと……。
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え、ええ~っ!? プロデューサー!
あの子のこと、外しちゃうの!!?
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海美、少し待っていてくれるか?
まだディレクターさんと話してる最中だから。
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あっ、そ、そうだったんだ!?
私ってば、ごめんなさい……!
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……ありがとうございます。ただ、あの子を
外すかどうかの判断は、もう少し待ってもらえますか?
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撮影日は、他にも設けてありますし……
今日のところは。
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そうですね……わかりました。
では、今日は可能なところだけ進行ということで。
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プロデューサー、ありがとね。
あの男の子のこと、外さないでくれて。
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いや。もし外れてもらう事になるとしても、
海美の話を聞いてからにしないとだしな。
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それに……俺も、運動が苦手だからといって、
そのまま外すというのは違うと思ったから。
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海美も、何か言いたい事があるんだろう?
あの男の子にこだわる理由とか……。
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『美ルドアップ体操』だし、
筋肉ムキムキになってほしいとか?
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それは、もちろん! でも……好きじゃないのに、
無理矢理やらせるのは、よくないって思ってるよ?
59
そんなことしたら、逆に嫌いになっちゃうし!
えっと、そうじゃなくて、うーん……。
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ごめん、プロデューサー。
私、なんか上手く話せないかも……。
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大丈夫。
すぐ答えが出るものでもないと思うし。
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うん……。でも、次の収録までに
ちゃんと考えておく!
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(海美、言語化が得意という訳でもないからな。
焦ることでもないし、もう少し見守ろうか)
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海美さん、あれからずっと悩んでる。
無理もないのかな……。
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スポーツが苦手な子の気持ちだもんね。
正反対の海美ちゃんには、理解しづらいのかも……。
69
うみみんをここまで悩ませるとは……
あの少年、なかなかやりますなあ。
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感心してる場合じゃないよ、真美さん!
なんとかしないと……。
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お兄ちゃん、海美さんこんなに困ってるんだよ。
何かいいアイディアないの?
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(悩みながらも、海美は必死に考えている。
……なら、本人が諦めるまで任せてみよう)
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そして、前回の収録から1週間後。
教育番組の収録スタジオ……
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ごめんね、プロデューサー。
私、やっぱりはっきりした答えが出ないみたい……。
77
わかった。その事は気にしなくていい。
今は収録に集中して、海美らしい笑顔で頑張ろう!
78
高坂さん、すみませーん! 立ち位置を少し
確認したいんですけど、よろしいでしょうか!
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あっ、はーい! プロデューサー、
私ちょっと行ってくるね!
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あっ、765プロさん!
すみません、ちょっとお時間よろしいですか?
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ええっ!?
あの男の子、ケガしちゃったの!?
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そうみたいだ。足をくじいただけで、
大ケガではないそうだけど……。
87
番組的には、本人が体操に乗り気じゃなかった事も
あって、出演させない方向で考えているそうだけど……
88
……。広背筋、僧帽筋……ゆっくりほぐして、
肩甲骨をまわして、側屈……。
90
あ、ごめん! ちょっと、思い出してたの。
上半身のストレッチ!
91
バレエって、どうしても足を痛めやすいでしょ?
そういう時でも、ストレッチは絶対してて……。
92
あ、もちろん座ったままね!
体を柔らかくするのって、健康にもいいから!
94
うん。……あの子、体を動かすのは
嫌いじゃないって言ってたんだ。
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上手にできなくて、笑われるのが嫌なんだって。
だから……。
97
プロデューサー。私、あの子にも出てほしい!
『美ルドアップ体操』、楽しく踊ってもらいたい。
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だって、そうじゃなかったら……。
運動が、また嫌な思い出になっちゃうよ!
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うん! だって、できないからって笑われるなんて……
そんなの、誰だって運動が嫌いになっちゃうよね?
101
だからそんな思い出、私が吹き飛ばしてあげたい!
私があの子と一緒に歌って、踊って……。
102
それで、『ほら、できた!』って言うの!
できるようになるって、すごいことだもん!
103
わかったよ、プロデューサー!
私、いまわかった!
105
私、私ね! 体操とか運動とか、
体を動かすことが誰かの中で……。
106
できないとか、笑われたとか。
そういう、嫌な思い出のまま終わってほしくないの!
108
うん。海美の気持ちはわかった。
あの男の子の所に行って、話をしてみようか。
110
そう! 腕だけ肩だけでできる運動は、
いくらでもあるから。フリは私が考えるよ!
111
言ってたよね?
体を動かすのは、嫌いじゃないって。
112
だったら……『やりたい』って気持ちがあるなら、
それをあきらめるのは、悲しいでしょ?
114
ひとつだけできたらいいの! そしたら、
もうできないことじゃなくて、できることでしょ?
115
最初の一歩のお手伝いをするのが『美ルドアップ体操』
……なんて、さっき決まったんだけどね。えへへ。
116
……。
うまくいくかわからないですけど……。
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全然大丈夫!
私の手をとってくれれば、それだけで大丈夫!
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よーし! それじゃあストレッチをしたら……
本番、いっくよー☆