(次の公演で、静香のソロステージが決まった。 打ち合わせのために、静香を探してるんだが……)
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(次の公演で、静香のソロステージが決まった。
打ち合わせのために、静香を探してるんだが……)
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(この音は……ピアノ?
レッスンルームから聞こえてるのか……?)
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……よし。
久しぶりに弾いたけど、腕は鈍ってないみたいね。
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静香、ここにいたんだな。
今ピアノを弾いてたのは、静香か?
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えっ……プロデューサー!?
い、いつから見てたんですか?
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いや、今来たところだよ。
それにしても、上手いんだな。
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次の公演のソロステージ、
ピアノで弾き語りをするのも悪くないんじゃないか?
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なっ……そ、そんな簡単に言わないでください!
自分の曲を弾きながら歌うなんて、そんなこと……。
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そ、そんな風に軽々しく言わないでください!
ほんと、無責任なんだから……。
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ご、ごめん。でもあんなに上手いんだし、
いけると思ったんだけどな……。
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べ、別に……あれくらい、普通です。
小さい時から習っていれば、誰でも弾けます。
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そういうものなのか……。
静香も、ピアノは小さい頃から習ってたのか?
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そうか。今でも続いてるっていう事は、
静香はピアノが好きなんだな。
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始めたばかりの頃は、いやでいやで仕方なかったので。
レッスンがあるから、友達とは遊べなくなるし……。
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ピアノなんて……音楽なんて、将来なんの
役に立つんだろうって。ずっと思ってました。
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そうだったのか……。
途中でやめようとは思わなかったのか?
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何度も思いました。……でも、TVであるアイドルを
観てから、その考えが変わったんです。
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その人が、本当に楽しそうに歌っていて……。
気づいたら私も歌っていました。
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その時、気づいたんです。音楽はこんなふうに、
人を幸せな気持ちにできる素晴らしいものなんだって。
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……私も、あんなふうになりたいと思ったんです。
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なるほど。
それで静香は、アイドルを目指したわけか。
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はい。ピアノも、それから好きになりました。
音楽と触れ合える大切な機会なので……。
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そして静香はアイドルになった……まさに有言実行だ。
ご両親も、喜んでるだろう?
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……いえ。
父は全く、アイドルに理解を示してくれていません。
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アイドルなんて、お遊びだって……最初は
オーディションを受ける事も、反対されていました。
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でも、頼み込んで頼み込んで……ようやく、
中学生の間だけという条件で許してもらえたんです。
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高校に入ったら、アイドルは辞める……
そういう約束なんです。
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はい。だから私は、結果を出さないといけないんです。
父にアイドル活動を認めてもらえるような結果を……。
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今度の公演のソロステージも、大切なその機会です。
絶対に成功させないと……。
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だから……面白半分で、いい加減な
弾き語りなんてしてる場合じゃないんです。
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そうか……事情はわかった。けど、焦りは禁物だ。
ご両親に認めてもらうために、俺も力になる。
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べ……別に、プロデューサーに手伝って
もらわなくても……でも、ありがとうございます。
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まぁ、何かお願いする事もあるかもしれませんから。
……その時は、よろしくお願いします。
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(静香がやたらと焦っていた理由は、これか……。
ようやく理由がわかったのはいいが……)
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(いや……それでも1歩1歩、着実に進んでいこう。
それがきっと、一番、静香のためになるはずだ……!)