(海美が劇場の外で仕事をする機会が、少しずつだが 増えている。今日は、深夜ドラマのオーディションだ)
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(海美が劇場の外で仕事をする機会が、少しずつだが
増えている。今日は、深夜ドラマのオーディションだ)
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(海美が出演しているアイドル番組と、
プロデューサーが同じという事で声を掛けてもらった)
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えっへっへ……♪ まさか私が、ドラマの
オーディションに呼んでもらえるなんて思わなかった!
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主演は、同じ番組に出ている別のアイドルだけどな。
せっかくのチャンスだ、しっかり役をゲットしよう!
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うん、まかせて! さっき配られた台本も、
バッチリ練習したしっ!
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受ける役は、『主人公と仲のいい親友』と、
『主人公に陰で意地悪をする同級生』か……。
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意地悪をする同級生のほうは、海美とはかなり違う
タイプみたいだけど……上手く演じられそうか?
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あ、うん……多分、大丈夫。バレエやってた時、
こういう意地悪な子も、いっぱい見たからね。
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私、同じくらいの年の子の中では、
ちょっとだけ体動かすの得意だったからね。
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でも小さいころはお姉ちゃんが、私の知らないところで
かばってくれてたんじゃないかな……。
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お姉ちゃんがロシアに行っちゃってから、
意地悪されてるかもーって気がついたし。
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言わないよ!
お姉ちゃんに心配かけたくなかったし。
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それに私、バレエ上手になりたかったし!
だから変なこと言われても、気にしなかった!
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そうか。……頑張ったな、海美。けど、もしアイドルを
やっていて何かあったら、俺に相談してほしいな。
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あ、でも今の劇場のみんなは、すっごく優しいから。
勝負するにも正々堂々だし、全然大丈夫だよっ!
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あっ、そろそろオーディション始まるみたいだね。
意地悪な子の役、がんばるぞー! おーっ!
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(海美は大雑把に見えて、意外と周りを良く見ている。
それはきっと、役を演じる上でのプラスになるはずだ)
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『親友』と『陰で意地悪をする同級生』が
同一人物だなんて、そんなの、聞いてないよー!
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けど、どうしてそんな大事なこと隠してたのかな?
プロデューサー。
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そうだな、難しいけど……演技にリアルさというか、
説得力を要求されていたのかも……。
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意地悪な子にも優しさはあるし、優しい子にも、
残酷なところがある。それが当たり前というか……。
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うう、そっかあ……。あ、それってつまり、
人にはいろいろな顔があるってことなのかな……?
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昔、私に意地悪した子たちだって、努力してなかった
わけじゃないもんね。うん……そうかも?
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でもでも! だからって意地悪はしちゃダメだと思う!
悔しい気持ちは、すっ……ごくわかるけど!
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そうだな。海美の言うとおりだ。
どんなに理由があったとしても、意地悪はダメだな。
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うーっ……プロデューサー、私、すっごく
悔しいよーっ! こういう時って、どうしたらいいの?
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そうだな、こういうときは……
思いきり悔しがって、次に行こう!
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わかった! ……あーもう! くーやーしーいーっ!
次こそ絶対、ぜーったい、合格するよーっ!
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……はぁ、スッキリした!
ありがとう、プロデューサー!
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またオーディションがあったら、私に受けさせてね!
約束だよーっ☆
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(この理解力と切り替えの早さも、海美の長所……
必ず、役を掴める日が来るはずだ!)