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(今日は瑞希の、初めての握手会だ。ファンと直接 触れ合える貴重な機会だけど、瑞希の様子はどうかな)

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(今日は瑞希の、初めての握手会だ。ファンと直接 触れ合える貴重な機会だけど、瑞希の様子はどうかな)
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???
「違うわよ、瑞希! そこでハートのエースを見せるの!」
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そうでした。ハートのエースで、 みなさんのハートを掴む作戦でしたね……失敗失敗。
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(ん? 誰かと話してるみたいだな。 けど今日は、瑞希以外は誰もいないはず……)
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SE
ガチャ
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お疲れさま、瑞希。 ……あれ? 瑞希しかいないな。
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プロデューサー、ちょうどいいところに。 ……突然ですが、ここに1枚のコインがあります。
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私が今から、このコインを消してみせます。 それでは。……ワン、ツー……スリー。
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あっ、コインが消えた……? いったいどこに……。
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プロデューサー。 スーツのポケットを見てください。
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ポケットの中にコインが! いつの間に……?
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???
「驚いた!? そのコイン、私が入れたのよ!」
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今のは……その人形が喋ったのか? じゃあ、外に聞こえていたのは腹話じゅ……。
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プロデューサー。 この子は、人形ではありません。リトルミズキです。
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リトルミズキ
「アシスタントのリトルミズキよ! 今日はよろしくね、プロデューサー!」
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そ、そうか。 ……よろしくな、リトルミズキ。
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というわけで。今日は私たちふたりで、 握手会を盛り上げようと思います。
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えっ? もしかして、握手会で お客さんに手品を見せるつもりなのか?
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はい。そのつもりで、練習を。 ……ダメ、でしょうか?
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ダメというか……流石に、来てくれた人全員には 時間的に厳しいな。予定時間があるし……。
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そうですか。いいアイディアだと思ったのですが。 ……しゅん。
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残念だけど……。ところで、瑞希はどうして 手品を見せようと思ったんだ?
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はい。……それは、 手品を見ると、人は、笑顔になるからです。
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私が手品をすると、周りの大人たちはよろこびます。 学校の友達とも、仲良くなれました。
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今日は、私にとって初めての握手会です。 来てくれた人に、笑顔になってほしいので。
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なるほど……そういう事か。
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けど、手品ができないとなると……私のトークで、 来てくれた人を楽しませることができるでしょうか。
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トークもいいけど…… 瑞希、ひとつ大事な事を忘れてないか?
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握手会に来てくれているお客さんは、 瑞希の手品が目当てなわけじゃないぞ。
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はっ。……たしかに、そうでした。 今日来てくれる人の目当ては……握手。
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わかりました。手品は、いったん封印します。 その代わり、私の思いを両手にこめます。……ぎゅ。
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うん、その意気だ! そろそろ時間だな……!
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はい。いってきます。
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(瑞希と握手したお客さんが、たちまち笑顔になる。 瑞希は時間を目いっぱい使って、握手会を終えた)
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プロデューサー、お疲れさまです。
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お疲れさま、瑞希。 どうだった? 初めての握手会の感想は。
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はい。みなさん、「本物の瑞希ちゃんだ」と、 よろこんでくれました。かわいい、とも。……ポッ。
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こんなに一度に、大勢の人に褒められたのは、 生まれて初めてです。……胸が、ドキドキ。
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ひとりひとりは、短い時間でしたが。握手を通して、 みなさんの気持ちが伝わってくる気がしました。
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握手をすると、ファンの人たちが笑顔になって。 ……その笑顔に、また、元気をもらった気がします。
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……アイドルって、すごいな。
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そう思えたのは、瑞希がファンの人達と、 しっかり向き合ったからだと思うよ。
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もらった元気は、色んな形でファンの人達に返して いこう。これからも、アイドル活動頑張ろうな!
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はい、プロデューサー。がんばります。 ……いつか手品も、みんなに見せてあげたいな。
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(瑞希の、ファンの人を楽しませたいという気持ちは、 アイドルとして大切なものだ)
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(得意の手品を披露する機会は、そう遠くないはずだ)
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