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(桃子がローカル局の番組に出演する事になった。 ええと、控え室は……)

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(桃子がローカル局の番組に出演する事になった。 ええと、控え室は……)
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???
あれっ? ……もしかしてキミ、周防桃子?
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え? ……あっ。
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? 桃子、知り合いか?
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う、うん。昔、桃子がドラマに出た時に、 お仕事したディレクターさん……。
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ディレクター
やっぱり! 芸能活動復帰したってウワサ、本当だったんだ。
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……。
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すみません、うちの周防に何か? ご用件があれば、私が伺いますが。
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ディレクター
おたくは……へえ、プロデューサーさん? 周防さんさぁ、ワガママで大変でしょ!
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いえ、そんな事はありませんよ。 仕事熱心で、助かっています。
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ディレクター
またまた! あ、それともおたくも意識高い系ってやつ?
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ディレクター
ウチで仕事した時だって、「こんないい加減な台本じゃ 演技できない」なんて、文句言って……。
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……っ。
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そういった事情も承知の上です。 ご忠告、ありがとうございます。
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収録の時間ですので、失礼します。 行こう、桃子。
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う、うん。 ……。
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……
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あ、あの、お兄ちゃん。 その……桃子の昔のこと、知ってたの……。
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ああ、後から聞いたよ。 ちょっとした、ウワサ話程度だけどね。
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そう……。
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聞いたけど、俺は桃子から話を聞くまで、 鵜呑みにするつもりはないよ。
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ううん。……あの人の言うとおりだよ。 桃子、すごくえらそうだったし。
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小さいころからお芝居してて、 ずっと、上手だってほめられてたから。
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他の子とお芝居すると、「みんな、どうして こんなこともできないの」って思ってた。
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だからみんなに嫌われてて。余計に うまくいかなくなって、文句ばっかり言って……。
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……。
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そのあと、いろいろなことがあったけど…… 友達も、誰も……いないから……相談できなくて……。
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桃子がワガママを言って、みんなを困らせたら…… 戻ってきてくれるんじゃないかって……。
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桃子は、どんどんワガママになっていって…… 大切なものをなくすまで、気がつかなかった……。
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大切なものって?
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……それは、……仕事とか。
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そうか。……辛い事を話してくれてありがとうな。
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ううん……。
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話したい事があれば、いつでも言ってくれ。 桃子が話してもいいと思えるまで、待つからな。
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キャッ!?
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も、もう。桃子は小さい子じゃないのに、 頭を撫でるなんて……!
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こ、子ども扱いしないで……。
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そうだな。桃子は立派に仕事をしてる。 けど、立派に仕事をしていても、子どもでいいんだよ。
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お兄ちゃん……。
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SE
コンコン
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スタッフ
失礼します! 周防さん、スタンバイお願いしまーす!
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あっ、はい! ……お兄ちゃん、桃子が 泣いたってこと、みんなにはナイショだからね!
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もちろん、誰にも言わないよ。
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……あの、お兄ちゃん。お兄ちゃんは、 どうして桃子のこと、信じてくれるの……。
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もちろん、本当にダメだと思ったら、ちゃんと言うよ。 でも桃子は、そんなことしないって信じてる。
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失ったものの大きさや後悔を知っている桃子が、 同じ過ちを繰り返すとは思わないからな。
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お兄ちゃん……。
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も、もう。お兄ちゃんのくせに生意気。 ……桃子、いってくる!
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(桃子はそう言い残すと、スタジオに向かった。 そして今日の仕事を、しっかりとこなしてみせた……)
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監督
カット! 周防さん、OKです! お疲れさまでした!
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はい、お疲れさまでした! ……えへっ。
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(撮影が終わると、桃子は漸く笑顔をみせた。 いつでも、こんな笑顔ができるようにしないとな……)
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