(映画祭のイメージポスターに、伊織が抜擢された。 今は衣装の試着中だけど、どうかな?)
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(映画祭のイメージポスターに、伊織が抜擢された。
今は衣装の試着中だけど、どうかな?)
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あら、プロデューサー。
ちょうど今、着替え終わったところなの。どう?
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思った通り、ばっちりだよ。伊織はそういう
ドレス風の衣装だと、いつも以上に品があるよな。
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ふふん♪ あんたの見立ても、なかなかじゃない。
私も、まあまあ、気に入ったわ。
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ポスターの伊織は、映画の案内人ってコンセプトだけど
……それに相応しい気品というか、知性を感じるよ。
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当然よ。
気品も知性も、もとから溢れてるんだもの♪
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案内人らしく、映画のこともビシビシ言ってあげるわ。
最新のヒット作から昔の名作まで、任せなさい♪
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そ、そうか。案内人らしく、
なるべくいい所をビシビシ頼むな?
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え? ああ、映画祭の映画なら、
まだ全部は見てないけど……。
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違うわよ。そうじゃなくてあんたの、そのシワだらけの
着たきりスーツ、なんとかならないわけ?
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もうちょっと格好つけなさいよね、見た目くらい。
兄さんが『男は額縁』って言ってたわよ?
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もし私がイブニングを着るなら、あんたの衣装は
タキシードか燕尾服。貧相な額縁じゃ困るんだから。
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せめてネクタイくらい、きちんと締めなさいよね。
ほら、カフスもタイピンの向きも、ちゃんと揃えて。
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いや……俺が格好つけても、ステージには
上がらないし、伊織と並ぶ機会はないだろ?
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何言ってんのよ? あるでしょ! 将来的には!
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私が賞を取って、レッドカーペットを
歩くときに決まってるじゃない。
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いい? 私が歩くときには、あんたが隣に並ぶの。
そのくらいのこと、わかっておきなさいよね!
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(伊織はもう、今回の仕事の先を見ていたらしい……。
エスコートするために、急いで追いかけないとな!)