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(おや、千早だ。劇場に行くところかな?
まだ俺には気づいていないようだけど……)
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……おはようございます、プロデューサー。
通勤中ですか?
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あ、ああ。おはよう千早。
なんだ、気づいていたのか。
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ええ。最近は気配に敏感なんです。
……今の私はスナイパーですから。ふふっ。
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スナイパー? ああ、たしか今撮影しているドラマの
役がそうだったな。
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はい。流石にアーマー着用とまではいきませんが……。
せめてスナイパーの気持ちだけでも考えておこう、と。
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役作りのつもりで普段から意識をしていたら、
なんだか本当に、感覚が鋭くなってしまって……。
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それはすごいな……。もしかして、ほかにも
何か感じるものはあるか?
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そうですね……。はい、今なら例えば……
プロデューサー、あちらのビルは見えますか?
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ん? ああ、見えるけど。それがどうかしたのか?
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屋上に松田さんがいますね。
カメラを構えてこちらを見てます。
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え!? ……あ! 小さいけど、確かに……。
あれは……すごい望遠レンズだな。
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それと、私の斜め後ろに野々原さんがいますね。
忍び足で近づいて来……あ、気配が遠ざかりました。
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気付かれたのに気付いたみたいで、逃げてったぞ。
いや、しかし想像以上だよ。よくがんばったんだな。
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そんな、大したことはありません。
たまたま、相性がよかったみたいです。
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千早は努力のハードルが高くて、大したことないって
思ってるみたいだが……俺は凄いことだと思ってるよ。
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あ、ありがとうございます。私、思ったよりも
ちゃんとやれていたんでしょうか。
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ああ、そこは俺が保証するよ。
最高のスナイパーが演じられそうだな。
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ありがとうございます。……プロデューサーも
なかなかの名スナイパーだと思います。
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今の一言、しっかりと私の胸を
撃ち抜きましたから。ふふっ。