1
ぐるるるーっ! がおー! ……ダメだ。違う。
くう~っ、難しいなぁ~。
2
……真? どうしたんだ、変な……いや、
大きな声を出して。
3
あ、プロデューサー、聞いてください!
ボク、どうしたらライオンになれますか!?
4
ちょっと、落ち着いて落ち着いて。
最初から説明してくれないか。
5
はい……。この前のお仕事で、ホワイトライオンの
赤ちゃんと遊ばせてもらったじゃないですか。
6
その時、ず~っと一緒にいたいって思っちゃうくらい
あの子たちにメロメロになっちゃったんです。
7
確かにかわいかったよな。あのかわいさなら、
真がそう思っちゃうのもわかるよ。
8
違うんです! ボクも最初はそうだと思ってました。
でも、あの子はかわいいだけじゃないんです!
9
例えば……、風に吹かれて目を細めた時とか、
ところどころであの子『ライオン』の顔をしたんです。
10
その表情が、すごく凛々しくて。ただカッコイイとか
じゃない。本物の、魂からの凛々しさっていうか……!
11
まあ……子供とはいえ、本物の肉食獣だからな。
12
そうなんです、本物なんです!
それがボクのハートにグイグイ来たんですよ~!
13
ボクのこと、カッコイイっていってくれる子は
いっぱいいます。でも、ボクは……本物じゃない!
14
まあ……。
真は人間で、しかも女の子だからな……。
15
そう、ボクは人間の女の子……。女の子……?
へへっ、ボクが女の子かぁ~♪
16
って違う、そうじゃない! プロデューサー、
今はそういうのやめてください! 後でお願いします!
18
ボク、アイドルとして、みんなの期待にちゃんと
応えたいんです。本物になりたいんです!
19
だから、教えてくださいプロデューサー!
ボク、どうしたらライオンになれますか!?
21
は? な、なんですか、いきなり。
うれしいですけど……でも違うんですってば~!
22
いや、違わないよ。ライオンの凛々しさは、
真にはもう、いらないと思うんだ。
24
ファンの期待に応えるため、本物になりたい。
そう願う今の真は、俺の目には……。
25
本当に凛々しい魂をもった、
本物のアイドルに見えるよ。
27
もう本物なんだから、別の物にならなくていい。
そう思わないか?
28
ボクが……本物の、アイドル……。
そ、そんなの、十年早いですよ~。へへっ!
29
でも……、ありがとうございます。
そういってもらえて、なんだかスッキリしました。
30
ボクが本物になるために、向き合うべきなのは……
きっとあの子達じゃなくて、ファンのみんな、ですね!
31
よ~し、今度の公演で、
みんなをガツンとメロメロにしちゃうぞ~!
32
(迷っていても、目標を見つければまっしぐら。
……そんなしなやかさも、ライオン似なのかもな!)