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(大正浪漫をテーマにしたドラマに出演中の伊織。
その撮影の休憩時間……)
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ねえ、プロデューサー。
レターセットとか、封筒とか持ってない?
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え? えーっと、いつからあるのか分からない
茶封筒とかなら、カバンに入ってるかも……。
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う……。そういう気持ち悪いのじゃなくて、
もっと可愛いレターセットとか、持ってないワケ?
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突然言われてもなぁ。
必要なら買ってくるけど、誰かに手紙を書くのか?
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ええ、ちょっとファンレターの返事をね。
今のうちに書いておきたくて。
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へえ、伊織がファンレターの返事を……。
へえ……。
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な。なによ、ニヤニヤして……ホントに気持ち悪いわ。
言いたいことがあるなら、はっきり言いなさいよね!
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ごめんごめん、単純に珍しかったから。
そんなに励みになる手紙だったのか?
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……そうね。『チヨちゃん』には、
とっても励みになったと思うわ。
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そっ。私が今日も演じてる、役の女の子のことよ。
『チヨちゃん』宛の手紙、アンタも読んでみる?
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(伊織から渡された紙には、『チヨちゃん』への憧れと
応援の言葉が、覚えたてらしい幼い字で綴られていた)
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(最後にレヴュー衣装姿の伊織を描いたらしい絵と、
『おへんじたのしみします』という一文を添えて)
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……なるほど、これは返事を出したくなる手紙だな。
しかも、待ってるみたいだし。
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そうなのよね~。読んじゃった以上、放っておくのも
寝覚めが悪いじゃない。……アンタもそう思うでしょ?
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ああ、そうだな。
わかった、ちょっとレターセット買ってくるよ。
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ええ、お願いね♪ ……あ、ちょっと待って!
あの……いちおう、聞いておきたいんだけど。
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私が『チヨちゃん』として返事を書いても……。
ウソじゃないわよね?
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この子が手紙を送った相手は、他の誰かじゃなくて、
伊織が演じる『チヨちゃん』だ。大丈夫だよ。
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そう……。そうよね、私が『チヨちゃん』だもの。
いいのよねっ♪
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ありがと、プロデューサー。
それじゃ、さっさと買ってきてちょうだい♪
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さあ、ささっと書いてあげなくちゃ。
どんな話がいいかしら……♪