1
(定期公演で貴音は『風花』を披露した。
公演終了後、貴音の要望で屋上にやってきた……)
2
本来であれば、他にもやるべきことがあるところを……
真、ありがとうございます。
3
いや、構わないよ。公演の片付けも、
スタッフさんに任せてるし、たまには大丈夫だろう。
4
ふふ……。そう言っていただけると、安心いたします。
今日、こうしてお誘いしたのは、劇場でも公演を……。
5
アイドルとして過ごしている日常を、
あなた様の隣で、振り返るためでした。
7
いえ。そういうわけではありません。今回は本当に、
ただ思い至ったから、というだけのことです。
8
私がアイドルを続けているのは、
大切な人たちのそばにいるために望んでいる事……。
9
一分、一秒が、特別であるからこそ……。
その日常を誰かと共有したいと思ったのです。
10
そうだったのか。
そういう時に、声をかけてもらえたなんて光栄だよ。
11
ふふ。あなた様は、私のプロデューサーですから。
あなた以上の適役はいないかと。
12
…………。以前、京都で、お話ししましたね。
私に、たどり着きたい場所など、どこにもないと。
13
ああ、覚えてるよ。だけど唯一望んでいるのは、
アイドルでいること……だったよな?
14
はい。その想いは、今も変わっていません。
そして……これからも変わることはないでしょう。
16
もちろん、欲が無いという意味ではありません。
数多くの輝かしい世界を目にしてきた上で……。
17
必ず、ここへ帰ってきたいと思うのです。
この劇場で、あなた様や皆と分かち合うために。
18
うん、いいと思う。貴音にも、みんなにとっても。
今こうしているのも、その「分かち合うため」だな?
19
その通りです。今宵の公演も……ファンの皆様と
思いを分かち合う、真、素晴らしい時間となりました。
20
公演に参加した皆も、練習以上の力を発揮していて
私も油断をしていられないなと。ですから……。
21
(公演の振り返りをはじめた貴音の顔は、幸せに満ちて
いた。貴音の望みを守るために、俺も頑張らないとな)