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(今日はPVの撮影だ。琴葉の役柄は、
キンモクセイの妖精という事だけど……)
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お疲れさまです、プロデューサー。
あの、今お話ししても大丈夫ですか?
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お疲れさま、琴葉。
うん、なにか確認したい事でもあるのか?
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はい。その、今回のキンモクセイの妖精……
どう演じればいいのか、まだつかめなくて。
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監督とも、演技プランを相談してみたんですけど。
まずは私のやりたいようにやっていいって……。
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信頼してもらえるのは光栄なんですが、
考えすぎたせいか、いろいろ迷ってしまって……。
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うーん、そうだな……。
琴葉は最近、いつキンモクセイを見た?
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キンモクセイですか……? えっと……
つい最近、温泉に行った時に見ましたよ。
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温泉からキンモクセイが見えたんですけど、
花びらが踊るみたいに散っていて、とても綺麗でした。
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それに、風が吹く度、とてもいい香りがして……
なんだか自分が、違う世界にいるみたいでした。
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なるほど、それが琴葉のキンモクセイの思い出か。
なら、そのイメージで演じてみたらどうだろう?
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ああ。琴葉がその時に感じたものが、
監督の求めているものなんじゃないかな。
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あの時の感覚……キンモクセイの香り……。
プロデューサー、ありがとうございます。
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なんとなくですけど、
キンモクセイの妖精、つかめてきた気がします。
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そうか、それなら良かった。
けど、そんなにいい温泉だったんだな。
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はい、とってもいい温泉でした。
よかったらプロデューサーも、ぜひ。
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私も、今回のお仕事、精いっぱいがんばります。
そして、いつか……。
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仕事が上手くいったら、ご褒美に温泉に行けるような
アイドルになりたいな……なんて。ふふっ!
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(その後のPV撮影では、キンモクセイの妖精は、
香るような可憐な姿を見せてくれた……)