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芥の恋 真壁瑞希

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(瑞希と美奈子の、PV撮影が進んでいる。 瑞希は求められた役を、見事に演じきってくれた!)
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お疲れさま、瑞希! いい感じだったじゃないか。
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プロデューサー、お疲れさまです。 見てくれていましたか……私の演技。
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もちろん。あの袖を引く演技なんて特によかったよ。 きっと、誰もがグッとくるだろうな。
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さすがプロデューサー。 あれこそ、佐竹さんとの練習の成果なのです。
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練習……このPV撮影のためにふたりでやってた、 疑似恋愛体験のことだよな?
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はい。あるとき、佐竹さんが忘れ物をしたため、 袖をクイッとやって引き止めたのですが……。
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「すごくキュンときた!」と絶賛されて、 恋人ごっこを一日延長したほどでした。
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あの『袖クイ』は、そんな研究の末に編み出された 奥義なのです。……恋愛の真髄、見つけたり。
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奥義……なるほど。なりきり体験をした甲斐が あったな! 恋の切なさも、表現できてたし。
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切なさ……はい。それに関しては、 プロデューサーのことも考えていたので。
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もし、プロデューサーに見捨てられたらという 想像を……おっと、泣きそうです。ぐすっ。
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えっ、そんな急に……想像しただけで!?
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耐えるぞ、瑞希。耐えるんだ……。 ……大丈夫、落ち着きました。
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よかった……凄い想像力だな。 俺が瑞希を見捨てるなんて、ありえないのに。
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むしろ俺の方こそ、見捨てられないように、 ちゃんと仕事をしなきゃと思うくらいだ。
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私がプロデューサーを……? それこそありえません……断言するぞ。
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本当か? ……じゃあ万が一、瑞希に見捨てられた 時のために『袖クイ』を教えてもらおうかな。
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プロデューサーが、『袖クイ』を? それは……ダメです。
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えっ、ダメ? そ、そうか。
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破壊力が、高すぎますから。想像しただけで……。 いや、しかし……やってもらいたい気も。
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……。わかりました。 奥義『袖クイ』を伝授しましょう。
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えっ、あ、うん……いいのか。
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しかし、奥義ですので、一朝一夕には習得できません。 私と特訓してもらいます……よし、役得だぞ、瑞希。
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