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折紙物語 白石紬

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(紬のPV撮影は順調に進み、休憩時間に入った。 だが、紬は浮かない顔をしている……)
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お疲れ様、紬。何か問題でもあったか? さっきから難しい顔してるけど……。
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ああ、いえ……大したことではありません。 あくまで個人的に、思うところがあって……。
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今回のPVで私は、『私』という役柄を演じています。 それが……どうにも違和感があるのです。
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映像の中の私は、素直に自分の軌跡を受け入れました。 私よりも、ずっと先にいる『いつかの私』……。
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現実の私も、物事に真っすぐ向き合っているつもりです が……他人を見送れるほど、強くはありません。
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なるほど。上手く自分自身と重ならないという感じか。 ……うん。でも、それでいいんじゃないか?
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プロデューサーともあろう方が、 撮影中に、そのように投げやりなことを……。
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ま、まあまあ。話を聞いてくれ! さっき紬も言ってただろう? 『いつかの私』だと。
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それなら、今の紬と重ならなくて当然だ。 だって……これから紬が目指すべき姿なんだからな。
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……ですが、それでは矛盾していませんか? 今の私が、未来の私を演じるなんて……。
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確かに、今は難しいかもな。 でも矛盾があるなら、今はそれでいいと思うよ。
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納得できないかもしれないけど……。紬なら いつかきっと、思い描いた自分になれると思うから。
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……それはプロデューサーとしての勘ですか?
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あぁ。今まで『白石紬』をプロデュースしてきた、 プロデューサーとしての勘だ。
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そうですか……。また適当なことを言っているのかと 思いましたが、少しだけ溜飲が下がりました。
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貴方の言葉を信じて、胸を張ってみたいと思います。 これからの……私の目指すべき姿だと信じて。
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ああ、その意気だ! 今の紬の力で、堂々と演じればいい。
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はい! ……このような悩みが出てしまったのは、 未熟な証です。また、貴方に助けられてしまいました。
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今はまだ、貴方に頼るばかりで……。 で、ですから、また立ち止まりそうになった時は……。
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もちろん、相談に乗るよ。 紬のプロデューサーだからな。
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ええ、そうですね。むしろ、 そうしていただかなくては困ります。
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何しろ貴方が、私を……夢ではなく、 現実のアイドルにしたのですから。ふふっ!
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