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(百合子と一緒に、劇場に戻ってきた。
なんだか思い詰めた顔をしているな……)
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普通のダンスは、今までも私なりに……
頑張ってきたつもり、だったんですけど……。
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お、落ち着くんだ百合子!
とりあえず焦らないで、話を聞かせてくれ。な?
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(……百合子の悩みは、やはり
『トゥインクルリズム』のことだった)
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初めて台本を読んだ時は、私……とっても心がときめき
ました……。魔法少女って、ずっと憧れてましたし。
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そうだよな。俺もこの仕事、
百合子は適役だと思ったんだ。
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ありがとうございます……。私も、絶対成功させよう
って思ったんですよ! それで何度もイメトレして……
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想像の中で魔法少女に変身した私は、なんでもできま
した。空だって自由に飛び回ったり! でも……。
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……でも、現実では思うように身体が動かない。
つまり、アクションがうまくできない……ってことか?
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! どうして私の心が読めるんですか!? まさか
プロデューサーさんに魔法少女の力が……!
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ないない。まあ、わかるよ。
アクションは、最初から百合子の課題だったからな。
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うう、そうなんです……。初めてのことばっかりで、
何度練習しても、上手くいかなくって……。
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こうなったら、漆黒の冥府に堕ちるしかありません!
私、悪魔と契約して最強の魔法少女になりますっ!!
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あっ、待て!
戻ってくるんだ百合子! 百合子ー!
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あっ! 春香さんっ!? ご、ごめんなさい。……私は
冥府を探すことにしました。探さないでください~!
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ええっ!? どうしたの百合子ちゃん!
ちょっとまって~!!
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……そっか。百合子ちゃんは、アクションが
うまくできなくて悩んでるんだね?
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はい……。冥府も簡単には見つかりそうにないし、
もう本当にどうしたらいいか……。
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なにかいい方法はないか?
コツみたいな……。
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うーん、そうですね。あんまり深く考えたこと
ありませんけど……。あのね、百合子ちゃん。
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私はね、演じたりアクションしたりするお仕事も、
いつものステージと同じだって思ってるんだ!
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いつものステージって……
歌ったり踊ったりのステージですか?
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うん! ステージだと、まず自分の動きを覚えて、
仲間の動きも覚えるよね。コンビネーションのために。
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それって、演技とかアクションでも同じなのかなって。
……なんて、先輩ぶっちゃったかな? えへへ♪
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ダンスのコンビネーション……そっか。
みんなと息を合わせて、同じリズムに乗って……!
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なるほど。
たしかに、同じようなものかもしれないな。
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お客さんだって、客席にいるか、カメラの向こうに
いるかの違いでしかないわけだし。
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はい! プロデューサーさん、春香さん……。
私、もう一度チャレンジしてみます!
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プロデューサーさん、今ってレッスン室、
空いてますか? 私、何かがつかめそうな気がして!
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ああ、今日はもう空いてるみたいだ。
好きなだけ使っていいぞ!
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それなら、私も一緒にレッスンしてもいいかな?
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えっ、春香さん、いいんですか?
忙しいんじゃ……。
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トゥインクルリリーのサポートは、
このぴーちゃんにお任せっぴ♪ なーんて!
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そういえば、ぴーちゃんの本当の名前は、
トゥインクルスプリングピクシー。その正体は……。
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人の笑顔と幸せが大好きな、
鳥の妖精さん、でしたよね!
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さすが百合子ちゃん、ちゃんと設定を覚えてるんだね!
そう、ぴーちゃんはみんなの笑顔が大好きなんだっぴ♪
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ぴーちゃ……春香さん! 私、わかった気がします。
トゥインクルリズムは、みんなで作る物語……。
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敵役の真さんも、他のキャストさんも入れた、
みんなで作るステージなんですね!
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ふふっ、きっとそうだね!
それじゃ、早速レッスンで……一緒に頑張るっぴ♪
50
(魔法少女の目に輝きが戻った。この調子なら、
物語というステージに、魔法をかけられそうだ!)