1
(今日は『階のスターエレメンツ』の台本読み合わせ。
3人は、ちょうど序盤の山場を練習中だが……)
2
『あなた達、来週の最終選考、辞退しなさい。
お遊びで参加されると、時間のムダだから』
4
『違うとでも? ……実力も、覚悟もないくせに。
アイドルになりたいなんて、聞いて呆れる』
5
『ば……馬鹿にしないでっ! たしかに、
あなたの方が歌は上手かったかもしれないけど……』
6
『だからって、遊びでやってるわけじゃない!
私は絶対に勝ち残って、アイドルになってみせる!』
9
ううん、セリフは間違ってなかったんだけど。
想像より、迫力がないかなぁと思って。
10
迫力? もっと、バーン!って
やったほうがいいってことかな。
12
思いきり、って意味ではそうなのかも。このシーン、
未来は、怒りをぶつけたほうがいいんじゃないかな。
13
怒りって……
け、ケンカしちゃうってことですか!?
14
そう。だって私の役は、ふたりに対してひどいこと……
プライドを傷つけるような言葉を、言ったでしょ。
15
だったらふたりの反発も、
それだけ大きくなるのが自然な反応だと思うの。
16
私の言ったことを、許せないって本気で思うなら。
倒すつもりで、かかってくるんじゃないかな。
18
そうだよ。だって、この3人はライバルなんだもの。
……そういう気持ち、未来にはわからない?
19
うう~ん……。
急に言われても、琴葉ちゃんは琴葉ちゃんだし……。
21
(3人とも、少し行き詰ってきたみたいだな……)
22
みんな、そろそろ休憩しないか?
もう、かなりぶっ続けでやってるだろう。
23
あっ……そうですね、プロデューサー。
それじゃあふたりとも、すこし休憩しよう。
24
は~い! うう、がんばってマジメな顔してたら、
オデコが疲れてきちゃったよ~。
26
マジメな顔すると、ここにシワが寄るでしょ。
静香ちゃんとか、よくこうなってるよ。ギュ~って。
27
あははははっ! み、未来ちゃん。
それ、マジメじゃなくて面白い顔だよ~!
29
ええっ!? 静香ちゃんには言っちゃダメですよ、
プロデューサーさん!
30
未来は、いつも楽しそうだよね。
練習中も、ずっと楽しそうだったけど……。
31
うん、すっごく楽しい! みんなと練習するの大好き♪
琴葉ちゃんと可奈も、そうでしょ?
32
私は……楽しいっていうより、『難しい』かなぁ?
普段の私とは全然違うし、裏表がある役だから……。
35
(その後も、練習はある意味、和やかに進んだが……
最後になって、琴葉から提案があった)
36
ねえ、未来。相談なんだけど……。
明日は、ひとりで台本を読み込んでみない?
37
ひとりって……私、ひとりで?
琴葉ちゃんと可奈は?
38
私は、可奈ちゃんの練習を見てあげようかと……。
裏表のある役のアプローチに、悩んでるみたいだし。
40
もちろん。役柄への理解はできているみたいだから……
あとは可奈ちゃんが、どんな風にしたいかだと思う。
41
ええ~、私もいっしょに練習したいのに~!
なんで私だけダメなの、琴葉ちゃん!
42
厳しいことを言うようだけど。今の未来は、
もっと役柄への理解を深めたほうがいいと思うの。
43
そのためにも、まずはじっくり役と向き合ったり、
掘り下げて考えたりする時間が必要じゃないかな?
44
でもでも、ひとりで練習なんて寂しいよ~!
プロデューサーさん、何か言ってください!
45
そうだな……。
琴葉の言うことも、一理あると思う。
46
今のまま漠然と練習を続けるより、未来自身がまず、
自分の役をしっかり作り上げるべきなんじゃないか?
48
うう、わかりました。ふたりがそこまで言うなら、
明日から、ひとりで練習します……。
49
プロデューサーさん、琴葉ちゃん、可奈。
お疲れさまでした……。
50
あっ、未来ちゃん!?
わ、私もいっしょに帰るよ~!
51
未来……すみません、プロデューサー。
いきなり、厳しくしすぎたでしょうか?
52
いや、琴葉が言わなかったら、俺が言ってたんじゃ
ないかな……。ありがとう。
53
3人のドラマを、より良いものにするためだ。
未来もきっと、わかってくれるさ。
54
はい。……この物語を演じるためには、私たちも、
お互いをライバルだと思う必要があると思うんです。
55
ドラマの中の候補生と同じように……とまでは
言いませんけど……。
56
(琴葉は、全体の事を考えている。……後は未来が、
変に落ち込んだりしなければいいんだけど)