1
(あの後、未来に連絡した。ひとりで練習することに
ついては、納得してくれたけど……少し心配だな)
5
う~。琴葉ちゃんとプロデューサーさんに
言われたとおり、ひとりで台本読んでますけど……。
7
そうか。でも役柄の事を理解するためには、
こういう時間も必要なんじゃないかな?
8
そうですか~? 別に、バラバラじゃなくても
できると思うんだけどな~……。
9
それに、ひとりでセリフを読んでても、
相手がいないから、変な感じになっちゃって……。
10
おはようございまーす……あれっ?
未来ちゃんとプロデューサーさんだけ?
12
お疲れさま、春香。どうかしたのか?
今日は特にレッスンの予定はなかったよな?
13
はい。みんながドラマの練習をしてるって聞いたから、
差し入れしようと思って。
14
家で、お菓子を作ってきたんですけど……
可奈ちゃんと琴葉ちゃん、一緒じゃなかったんですか?
15
ああ。役作りのために、未来だけ
しばらく個人練習をすることになったんだ。
16
え、そうだったんですか?
ごめんね未来ちゃん、邪魔しちゃったかな。
17
全然、ジャマなんかじゃないです!
春香さんが来てくれて、すっごくうれしいです♪
18
よかった! ……あっ、プロデューサーさん。
私でよかったら、本読み手伝いましょうか?
20
もちろん、かまいませんよ。
未来ちゃんは、劇場の仲間ですからね♪
21
いいんですか!?
やったやった、春香さんと練習だー♪
22
ありがとう、春香。
それじゃ、少しお願いするよ。
24
『違うとでも? ……実力も、覚悟もないくせに。
アイドルになりたいなんて、聞いて呆れる』
25
『ば……馬鹿にしないでっ! たしかに、
あなたの方が歌は上手かったかもしれないけど……』
26
『だからって、遊びでやってるわけじゃない!
私は絶対に勝ち残って、アイドルになってみせる!』
27
(うーん。昨日の今日とはいえ、未来の演技は
あまり変わりばえしていないな……)
28
うう~ん……。ねえ、未来ちゃん。今のところだけど、
やっぱりまだ、私に遠慮してるんじゃない?
30
『勝ち残って、アイドルになってみせる』……なら、
まず未来ちゃん自身が、その気持ちにならなくちゃ。
31
そうしないと、見ている人たちにまで、
ちゃんと伝わらないんじゃないかな……?
32
未来、琴葉も言ってただろ?
本気の怒りをぶつけろって……。
33
で、でも。本当の春香さんや琴葉ちゃんは、
絶対、こんなこと言わないじゃないですか。
35
それなのに、怒ったり、
嫌いになったりなんかできないですよ~。
36
ねえ、未来ちゃん。お芝居してるのは私だけど、
その言葉を話しているのは、私じゃないんだよ。
37
お芝居なのに、普段の気持ちが出ちゃうのは……
お仕事に、本気になれてないってことじゃないかな?
39
お芝居に参加するなら、本気でやらなくちゃダメだよ。
だって、そうじゃないと……。
40
未来ちゃんだけじゃなくて、一緒に演じる琴葉ちゃんや
可奈ちゃんまで、ニセモノに見えちゃうよ。
41
本物の『アイドルを目指す女の子たち』だって、
ドラマを見ている人たち、誰も思ってくれないと思う。
43
そう。だからみんなのためにも、
未来ちゃんが頑張らなきゃ。……ね?
45
(さすがの未来も、ちょっと堪えたみたいだな……
でも、春香の言っている事は正しい)
46
(いつかは乗り越えなくちゃいけない壁なんだ。
……頑張ってくれ、未来)