1
(春香が帰った後も、未来はうつむいたままだ。
少し、考える時間が必要かもしれないな……)
2
その前に、ふたりにメールを送って……
うん、これでいいな。
4
未来、ちょっと散歩に行こう。
何か食べたいものはあるか?
5
えっ……いいんですか!? じゃあ私、
コンビニの生クリームまんじゅうが食べたいです!
6
はあーっ、おいしかった~。
プロデューサーさん、ごちそうさまでした。
7
どういたしまして。……さて、そろそろ
練習に戻らないとだけど……今度は大丈夫そうか?
8
あっ。そ、そうでした。
うう……私、どうしたらいいんだろう?
9
あ! いたいた。
未来、プロデューサーさ~ん!
10
未来ったら、買い食いなんかして……。
でも、思ったより元気そうね。
11
あれ? 静香ちゃんに、翼?
どうしてここにいるの?
12
だってプロデューサーさんが、
未来が落ち込んでるっていうから~。
13
ええっ!? いつの間に……。
もしかしてふたりとも、私を心配して来てくれたの?
14
とりあえず、ここじゃなんだから、
みんな、別のところに移動しようか?
15
それで……せっかくドラマ出演が決まったのに、
琴葉さんと春香さんに叱られたんですって?
16
うん……。私が本気じゃないと、ダメなんだって。
琴葉ちゃんたちまで、ニセモノに見えちゃうって……。
17
琴葉ちゃんや春香さんの言ってること、なんとなく
わかるんだけど。私には、難しいよ~……。
18
(素直な未来には、お芝居で『別人』と思い込む事の
ハードルが、人より高いのかもしれないな……)
19
でも、お芝居ってそういうものだし。琴葉さんや
可奈のことを、今は本気でライバルだと思えば……。
20
うう~ん、それはわかるんだけど……。
琴葉ちゃんのこと、嫌いになんてなれないよ~!
21
え? 別に琴葉さんは、
嫌いになれなんて言ってなくない?
22
でも、本気で怒りをぶつけろ、って……。
怒るのって、嫌いだからじゃないの?
23
怒ってるのは、お芝居の役に、だよね?
琴葉さんの役と、琴葉さんは別の人でしょ。
24
違う人の役なのに、いつもみたいに仲良くしてるほうが
わたしはヘンだと思うけどな~。
25
琴葉ちゃんの役と、琴葉ちゃんは別……? でも、
目の前にいたら、琴葉ちゃんだって思っちゃうし。
26
どうしてみんな、そんなふうに
わけて考えられるのかなぁ……?
27
もう、仕方ないわね……。
だからって投げ出すつもりじゃないでしょ? 未来。
28
う、うん! それはしないよ。
だって、せっかくオーディションに受かったんだもん!
29
……よかった。なら、もうちょっとがんばって。
練習相手が必要なら、いつでも付き合うから。
32
どういたしまして♪
お礼はアイスでいいからね、未来!
34
はい! プロデューサーさん、
ありがとうございました。私、すっごくうれしいです!
35
静香ちゃんと翼が来てくれて、元気が出ました♪
練習、がんばらなくちゃ……!
36
そうだな。でも静香や翼に練習を付き合ってもらうなら
琴葉や春香と同じように、ふたりとぶつかるって事だ。
38
琴葉も春香も、静香も翼も。みんな未来の仲間だ。
けど仲間は、一番身近なライバルでもあるんだよ。
40
うん。ライバルだからこそ、力を合わせた時……
ひとりじゃ見られない景色を見る事ができる。
41
琴葉はきっと、未来たちとそれを見たいんだ。春香も。
それからきっと、静香や翼もな。
43
(誰かと競い合う事は、相手を嫌いになる事じゃない。
……その事が、未来にも伝わるといいんだけど)