1
(天体公演の準備で、すっかり遅くなってしまった。
あとはプレス対応と告知の準備……ん?)
2
あれ、プロデューサー。
なんだよ、まだいたのか。
3
それはこっちの台詞だ。もう遅いのに……
ずっとひとりでレッスンしてたのか?
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ま、ちょっとな……。
新しいアプローチを試してたんだ。
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何かを目指すんじゃなくて、あたしの中にあるモノ……
何でもいいから、もっと絞り出して……なんてね。
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へえ……うん、いいと思うな。
その方が、ジュリアならではの深みが出そうだ!
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ふふん、だよな? あたしもそう思ったんだ!
うん、これなら……追いつける。
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サヨにも、だよ。この間、夜景を見に行った時にさ、
サヨ、何か壁を突破したなって感じがして。
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あたしも、負けないように頑張らないと、って。
発破をかけられたっつーか……。
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切磋琢磨してくれてるんだな。
プロデューサーとして、そうしてもらえると嬉しいよ!
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……なあ、プロデューサー。
レイとサヨってさ……。ふたりとも、すごいよな。
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レイは天才だ。サヨは努力の天才だ。
レイが先に行っても、サヨはしっかり追いついていく。
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あたしは、なんつーか……いつも通りなんだ。
あたしなりに歌を仕上げて……そこは自信がある。
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でもさ。……これだけでいいのかな? あのふたりと
並んで歌うのに、何か……足りなくないか?
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なるほど……。つまりジュリアは、ユニットメンバーの
役に立ててない気がしてる、ってところか。
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そうだな……。
確かに、麗花と紗代子には それぞれの個性がある。
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個性はぶつかりあって、輝くときもあるけど……。
ぶつかるだけだと、ユニットを壊すこともある。
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それは……そうだな。
あたしにも、なんとなくわかる。
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うん。だからユニットには、客観的に全体を見られる、
ユニットを繋げる子が必要だと思うんだ。
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うん……。え?
まさか、それがあたしなのか!?
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ああ、人選は間違いなかったみたいだな。
今もこうして、客観的にユニットを見てくれてるし。
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いやいやいや、ガラじゃないって! 繋ぐためとか、
客観的?とか、そんなつもりなかったぞ!?
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ほら、本人にそのつもりがなくても、いつの間にか、
何かの役回りになってるタイプっているだろ?
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なっ!? ま、マジか……。
あたしが、いつの間にそんな……!?
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もちろん、それだけじゃない。麗花と紗代子の
パフォーマンスとの相性とか……理由はいろいろだよ。
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うん、その理由でいい。つーか、それだけでいい。
うん、それだけってことで!
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要するに、あたしはあたしなりに、ってことだよな!
それでいいんだろ?
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ああ、それでいいよ。ジュリアはジュリアだ。
ジュリアらしいパフォーマンス、期待してるからな!
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任しとけって! 待ってな、レイもサヨも
ひっくり返るような歌、きかせてやるからな!
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はーい! 楽しみにしてるね、ジュリアちゃん♪
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うわあああっ! れ、レイ!? サヨも!?
ま、まさか……聞いてたのか!? どっから!?
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ジュリア……ジュリアの熱い気持ち、受け取ったよ!
私と麗花さんのこと、しっかり繋いでね!
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全部かよ!? くぅ、恥ずかしすぎる……!
いるならいるって言ってくれよ、もう!
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でも、お話の邪魔しちゃ悪いかなーって思って。
仕方なく、盗み聞きしてたんだよ♪
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するなよ!
そういうときは立ち去れ! 立ち去ってくれ!
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そんなことよりプロデューサー!
このまま私達も、レッスンに入っていいですか?
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今ここで、今すぐ、3人で歌いたいんです。
ジュリアと麗花さんと一緒に、3人で!
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まあ、あと1時間くらいならな。鉄は熱いうちに
打てっていうし。無理のない範囲で頑張れよ!
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はあ……。もういいや。わかったよ、歌うよ。
とことん歌ってやる! ふたりとも、覚悟しろよな!?
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うん♪ それじゃあ、まずは本番っぽく!
MCの練習からね♪
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じゃあ、私は麗花さんにくすぐられて、笑いが
止まらなくなった話をしますね! あの夜、私……。
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サヨ……。
歌いたいって、言ってなかったか?
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(ジュリアを選んだのは、本当に正解だったな……。
3人の個性の輝き、楽しみにしていよう!)