1
ふう……プロデューサーさん、遅いね。
やっぱり、何かお話でもしてるのかな?
3
紗代子ちゃん、ちょっと悩んでるみたいだったの。
あ、気のせいかもしれないけどね。
4
そうでしたの……。よく見ていますのね。
さすがですわ、風花。
5
ううん、ちっとも。このユニットでは私がお姉さん
だから、頑張らなきゃ、なんて思ってたけど……。
6
見てるだけじゃ、助けにならないよね?
もっとうまくできるといいんだけど……。
7
見守ってくれる人がいるというのは、とても心強い
ことですわ。ひとりではないと思えますもの。
8
わたくしは、このユニットで上から二番目ですけれど。
ひとつ下の妹として、頼りにしていますわ、風花♪
9
ふふっ、ずるいよ千鶴ちゃん!
ひとつしか違わないんだから、同じ同じ♪
10
それに、千鶴ちゃんのほうがよっぽどしっかりしてる
と思うなぁ。ステージでも、すごく堂々としてるし。
12
フラメンコを踊っても、気品というか、品格があって!
……やっぱりセレブだから?
13
ゲフン! ど、どうなのでしょう?
フラメンコとは、あまり関係ないかもしれませんわね?
14
じゃあ、やっぱり演劇公演の経験だね、きっと。
フラメンコを踊るのは、演じることに通じてるのかも。
15
『深紅のパシオン』、すごくドキドキする歌詞だけど。
千鶴ちゃんは演じ方、見つかりそう?
16
演じ方……。そうですわね。
そういえば……。
17
今まで様々な役柄や気持ちを演じてきましたけれど……
すべて、わたくし自身と繋がっていたと思いますの。
18
自分の心と重なる部分、近しい部分を探して。
それを膨らませて、演じていたような……。
20
ええ。ですから、わたくしが舞台で演じることは……
嘘をつくことではなく、心をさらけ出すこと。
21
そこにいるのは、他人になったわたくしではなく、
わたくし自身なのだと思いますわ。
22
千鶴ちゃん自身が、心をさらけ出して……そっか。
それってまさに、フラメンコとか、あの歌詞だよね!?
23
ええ。そしてあの歌詞のような、情熱に身を
委ねたくなる気持ちも、きっとわたくしの中に……。
24
あるんだ? 千鶴ちゃんの中に、
情熱に身を委ねたくなる気持ち……!
25
はっ!? そ、それはその、たぶん、おそらく……。
もう、ずるいですわ! 風花はありませんの?
26
えっ!? そ、そう言われるとその、
たぶん、きっと……。
28
ふう……、そうだね。フラメンコでは、私はまだ、
そういう気持ちのうわべをなぞってるだけなのかも。
29
もっと思いきって、さらけ出さなくちゃね。
恥ずかしいけど……ううん。だからこそ!
30
それを出せたら、きっと他のいろんなことも。
何にでも勇気を出せる気がする!
31
わたくしも負けませんわよ。誰よりも
情熱的な踊り手になりきってみせますわ!
32
それじゃ、ステージでの勝負に備えて。
乾杯しちゃおうか♪
33
ふう、遅くなってごめん! 急に電話が立て込んで……
あれ? また乾杯しようとしてたのか?
34
プロデューサーさん! そうなんです、
私達の新しい門出を祝して、乾杯しようかなって♪
35
間に合ってよかったですわ。
さ、早くグラスをお持ちになってくださいまし。
37
準備はいいですか? それでは……。
私と千鶴ちゃんの?
41
(経緯と詳細は分からないが、二人の顔は輝いている。
これは公演での健闘が期待できそうだ!)