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こうして始まった、私たちのユニット『FleurS』。
リーダーはなんと私! それと並行して……。
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私たち39人のソロ曲を毎回の定期公演で披露していく
プロジェクト『Brand New Song』が始まったの。
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私は、成長していく百合子ちゃん桃子ちゃんに置いて
いかれないようにって、焦っちゃってたんだけど……。
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(……ついに始まっちゃったわね。
『Brand New Song』第2公演本番)
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(大きな舞台やひとりのステージだと、
まだどうしてもこうなっちゃうのね……)
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(私がステージで気持ちを伝えたいのは、
もちろんファンのみんな……)
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(それに……今日だってきっと
この会場のどこかで見守ってくれている……)
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『このみさんのステージ、いよいよ明日ですね!
私と桃子ちゃんで絶対観に行きますから!』
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『がんばってください!
風の精霊の祝福があらんことを……!』
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(……これから私が立つのはソロステージ。
でも……私はひとりじゃないのよね)
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(私にはあの日、ふたりに言えなかったことがある。
このステージが終わったら……ちゃんと言わなきゃ)
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……プロデューサー、もしかして心配してくれてるの?
もう大丈夫よ! 私らしくアダルティに決めてくるわ!
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ひとつだけ伝えておきたいことがあって。
……ユニットのリーダーというのは、
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必ずしもメンバーより優秀である必要はありません。
メンバー達の心の支えになれればそれで十分なんです。
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ええ……少し。もちろんこのみさんが百合子たちに
置いていかれてるなんて俺も思ってませんが……。
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そのことはもういいのよ!
一時の気の迷いだったの。
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……あのとき、このみさんをスカウトしたときから、
俺はこの日が来るのをずっと夢見ていたんです。
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あなたが一人前のアイドルとして、
ひとりでステージに立つ日を。
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な……なぁに?
急にそんなこと言い出して……。
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アイドルは決して華やかなだけではないし、
将来も見えづらい仕事です。
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……事務員として過ごす違う人生もあったでしょう。
でも、今日この日を迎えられて本当によかった……。
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今のこのみさんはとても素敵です。
そして今でも……。
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あの子たちの心の支えになれるのは、あなた以外には
いないと……俺はそう思っていますから。
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(……それは、本当は私がずっと欲しかった言葉で……
散々悩んだ全てのきっかけは、ただ……)
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(前の会社が倒産して、人生の道に迷っていた私に
新たな可能性を見出してくれた)
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(そんなこの人のまっすぐな期待に応えたかったんだ)
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(……そう気付くと、目の奥が熱くなって
また少しだけ身体が震えた)
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(でも大丈夫。今の私は
こんなときどうすればいいのかわかっているから)
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(弱さを見せる勇気だって、持っているから……!)
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せっかく気持ちが固まったのに、そういうこと言うん
だから。おかげでまたこわくなってきちゃったわよ。
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……あのね。
ずっと……言えなかったことがあったの。
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こけら落とし公演が終わって、
空っぽのステージで3人で話してたとき。
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……本当にアイドルになれたっていう安心と、
期待と不安……いろんなことがごちゃまぜになって。
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先のことなんてわからないから大人ぶって……
ただ笑って。
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桃子ちゃんや百合子ちゃんみたいに、
まっすぐに希望を語る勇気もなかった。
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……でも今なら、どんな夢だって胸を張って言える。
私も……! 私もまた3人で歌いたい。
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私たち3人で……絶対に。
トップアイドルになりましょう!