2
桃子は昔……
すごくわがままな子供だったんだ。
4
あれ買ってきてとか、あの役者さんとはお仕事したく
ないとか、散々わがまま言っておいて……。
5
「遅い」とか、「使えない」とか「はやく辞めたら?」
とか……ひどいことたくさん言った。
9
桃子がいないと撮影が始まらないんだから、これくらい
当たり前だって……ずっとずっと勘違いしてた。
10
桃子ちゃん! いいから!
もうなにも言わなくていい!
12
(……いつかちゃんと
言わないといけないと思ってた)
13
じ……自業自得だよね。そんなことしてるうちに
桃子、お仕事干されちゃってさ……。
14
そ、それで……。
そのせいで、桃子のお父さんとお母さんは……。
15
(もしも……もしもそれで
ふたりの桃子を見る目が変わったら……)
16
(もしもそれで……百合子さんとこのみさんまで
桃子のそばから離れていったら……)
22
(今、私の顔を見て、
桃子ちゃんの心が傷ついたのがはっきりとわかった)
23
(ちがう。そうじゃない、そうじゃないんだよ
桃子ちゃん。嫌いになんてなってないよ)
24
(私はなにも知らなかったから、びっくりしただけ。
過去になにがあったとかそんなこと関係ない)
25
(そんなのどうだっていいんだよ。おねがい、離れて
いかないで。私……私は……今の桃子ちゃんが……!)
26
(伝えなきゃいけない言葉はたくさんあるのに、
身体が動かない。……わかってしまった)
27
(あの瞳の奥にはどんな言葉ももう届かない。
それほどの過ちを、私は今、冒してしまったんだ)
29
追いかけるわよ! こんなことで……
私たちを終わらせてたまるもんですか!
30
(……嫌われた。嫌われた……嫌われた……!
百合子さんに嫌われた!)
32
(百合子さんなら受け入れてくれるって信じてたのに!
それでもやっぱりダメだった!)
35
「ロコさんに教えてもらってね、作ってたんだ。
これ……おそろいのブレスレット」
37
……っ! こんなの……こんなの……!
もういらないっ!
39
(……ちがう。百合子さんはなにも悪くない。
ぜんぶぜんぶ、なにもかも……)