1
ふう……いろんなとこ走って、
気持ちよかったー! 紬、どうだった?
2
バイクの二人乗りなんて、あんまやらないよね?
酔ってない? 平気?
3
は、はい、ちっとも。風を切る感覚が爽やかで、
福田さんの背中が温かくて、安心できて……。
4
とても気持ちがよかったです。
バイクとは、こんなにいいものなんですね……。
5
ホント? アタシ流の気晴らし、
楽しんでもらえてよかった♪
7
この間の番組でのこと、気にしてるよね?
お芝居と、似たような感じになっちゃったこと。
9
あのね。アタシはあれ、
すごいチャンスだと思ったよ!
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うん! だってお芝居と同じ経験なんて、
普通しないでしょ? なんか、奇跡みたいじゃない?
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だから……うう、なんて言えばいいんだろ?
紬に落ち込んでほしくないなって思って、それで……!
13
……。激励を、くださっているのですね。
ありがとうございます。
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チャンス……福田さんの仰るとおりかと。
私は、同じ経験をしたからこそ悩んでいました。
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はい。……第五幕までのクロエは、正直、
私の好きな人物像ではありませんでした。
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高い技量を持っていて、自信家。
自分とは似ても似つかぬ、まるで違う人物だと……。
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なるほど……。
確かに、紬は自信家って感じじゃないよね。
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クロエは劇中で、「無自覚に笑いを取った」シーンが
ありました。そしてご存知の通り、私も……。
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それなら、自分が気付いていないだけで、私には
クロエと似たところがあるのかもしれない……。
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でも……だとしたら、一体どこが?と……。
自分とは、対極にあると思っていたので……。
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天然だとか、それらしい言葉だけは浮かびますが。
実感は得られず、悩んでしまい……。
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そうだったんだ……。
もっと早く言ってくれればよかったのに。
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それは……私の都合で、みなさんの
稽古の時間を奪うのは忍びなく……。
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もう! 翼やひなたが聞いたら、悲しんじゃうよ?
相談してくれないなんてーって。
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そう、ですね。
みなさんは、いつもそうやって……。あ。
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……気付きました。
私とクロエの、共通点……。
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今のように、私に言葉をくれる存在がいることです。
クロエに藍がいるように、私には、福田さんが。
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劇場のみなさんは、いつも私を気にかけてくださって。
私の知らない、私の良いところを見つけてくれます。
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そのたび、驚かされます。新しい視点や
物事の捉え方、気付かされることが多くて……。
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藍にずばりと言われたクロエも、
おおいに驚いていましたから。
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あはは、そうだね。
自分が変人だって言われて、自覚なかったもんね。
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そうなんです。自分のことばかり考えているのに、
ちっとも自分のことが分かっていないんです。
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あまりにも無自覚で、覚束ないまま……。
でも、そうやって進むしかない……。
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それしかできない……。
きっと、それが私とクロエの……。……。
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……あの、福田さん。
ありがとうございます。
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少しだけ……
クロエが、掴めたような気がします。
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ホント!? よかった~!
アタシも紬と話せて、すっごい参考になった!
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なんだかクロエって……アタシが思ってたよりも
ずっと不器用な子なのかもな~って。