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(音楽特番『シンギングスター』生放送が間近に迫った
ある日、局からトラブル発生との連絡が入った……)
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つまり……司会のアナウンサーの方が、
出られなくなった、ということですね?
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ああ、急病で入院されたそうなんだ。
命に別状はないみたいだけど……。
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それで、どうなるわけ?
番組側は、なんて言って来てるの?
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今、急いで代役を探してるって話なんだけど、
流石に急すぎて難航してるらしい。
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それで、貴音一人での進行をお願いできないかって、
相談が来てるんだ。
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ええっ!? あの番組、4時間以上ありますけど……
ず、ずっとですか? 台本もあんなに分厚いのに?
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いくらなんでも、貴音ひとりじゃ
無理があるんじゃないかしら?
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いえ、台本はすべて頭に入っています。
ですから……、問題ありません。
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雪歩、心配しないでください。いざとなれば
私のらーめんとーくで、場を盛り上げてみせましょう。
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い、いえ、それはいいんですけど、
そうじゃなくて、その……。
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……貴音がいいなら引き受けるよ。
でも、本当にいいのか?
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私を信じてくださったからこそのご依頼なのでしょう。
信頼に応えるのが私の務め……。
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ならば私は、必ずや果たしてみせます。
どうぞ安心してお任せください。
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あ、あの! プロデューサーさん、貴音さん。
司会、私たちも手伝うっていうのはどうですか?
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そうよ、貴音ひとりに全部なんて、無茶振りすぎるわ。
『ステラ』みんなでやればいいじゃない!
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それはそれで4人の連携が必要になる。レッスンも
合わせられてないのに、そこまではちょっと……。
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……春香、伊織。お気遣いありがとうございます。
ですが皆を煩わせるのは、私の本意ではありません。
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私は本当に、一人で大丈夫です。
ですから……どうか、ご心配なく。
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春香ちゃん、伊織ちゃん……。
あっ、ごめんなさい! もう休憩終わり……?
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違うわよ。雪歩が落ち込んでるんじゃないかって
思ったから、探しに来たの。
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さっきはごめんね。雪歩の台詞、取っちゃって。
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貴音さんを手伝いたいって。
雪歩が言いかけてくれてたから言えたの。ありがとう!
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そ、そんな! 私は結局、言えなくて……
ふたりに言ってもらっちゃって……。
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それで……私、まだ全然ダメダメだなぁって思って、
情けなくて……うう……。
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べ、別に雪歩の代わりに言ったわけじゃないわ。
私も手伝おうと思っただけなんだから。
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まあ雪歩は、手伝うなんていったら失礼かも、
とか思ったのかもしれないけどっ。
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私だって、貴音なら本当に、
このままひとりでやり切っちゃうと思うわ。でも……。
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うん……ひとりでできるからって、
ひとりで平気なわけじゃないと思うんだ。
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それに……誰かの手を取りたいときは、取っちゃって
いいんじゃないかな。私なんて、いつもそうしてるし♪
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私と春香は、貴音とレッスンのスケジュールが合わない
くらいだから、やっぱり手伝うのは無理だけど。
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雪歩、けっこう貴音さんと一緒のレッスンだよね?
いいなぁ~、うらやましいなぁ~♪
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……えへへ。ありがとう。
私……、私……、行ってくるね!