2
わあ……すごいですー!
裏路地の奥に、こんな街があるなんて……。
3
ここって、暁陽の学都なんですか? 何番地なのかな?
……あ、あれ? 地図に載ってない?
4
ここは、忘れられた街。誰にも覚えておいて
もらえなかった、記憶の隙間みたいなところだよ。
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アタシ達は、こういうところに幾つか拠点を持ってる。
ここなら連中に見つかることもないから……
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歩、お前、ナニモンなんだよ?
ただのストリートダンサーじゃなかったのか?
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ただのダンサーだってば。ストリートで踊ってたら
仲間が増えて、頼られるようになっちゃっただけ。
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逃げてきたヤツとか、居場所を失くしたヤツとか……
今は『反忘却同盟』って名乗ってる。
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『反忘却同盟』って……最近ニュースとかで見る、
あの!? あちこちで暴れてるって……!
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いやいや、それちょっと大げさなんだって!
一般の人に手を出したりしないよ。
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今ウワサの『大忘却』ってあるでしょ? アタシ達は、
あれを止めたいだけだから! 怖くないって。
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とにかく、ジュリアもそっちの2人も、好きなだけ
いていいからさ。どうするか、ゆっくり考えなよ。
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おーい、ヤッ……やよい!
なにやってんだ? 難しい顔して。
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はわっ!? ジュリアさん! えっと……
考えてたんです。これからどうしようかなーって。
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学校の出席も気になるし、早く帰りたいんですけど。
そうすると、捕まっちゃうんですよね……。
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でも『大忘却』が起きたら、
全部忘れちゃうかもしれなくて……うーん?
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……。
やよいは……忘れたくないことがあるのか?
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いっぱいあります! 友達のことも、家族のことも
……学校のことも、毎日のことも。
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全部全部、ぜーんぶ、私の大切な思い出です!
一個もなくしたくない、宝物だなーって。
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あ、いや、ええと……そうだ! 友達って言えば、
一緒にいた……ハル? とかってヤツ、仲いいのか?
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春香さんですか? はい! カゲロウの生徒さんで、
暁陽の学都で買い物してた時に知り合ったんです。
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お互い、おのぼりさんだなーってすぐにわかって。
それから、一緒に買い物に行くようになって……。
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っと、いたいた! ジュリア、
ちょっと、来てもらっていい? 話があるんだ。
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最初に言っておくけど、これはただの確認だから。
責めたりするつもりはないよ。オッケー?
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うん。えっと、ここには深青の生徒もいてさ……
そいつらが、ジュリアのことを知ってるって言うんだ。
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深青書院の元『司書』で、自分に関する記憶を
全部消して行方をくらました、反逆者だって。
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……。ああ、合ってるよ。
消しきれなかったもんで、指名手配されてるけどな。
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そっか……。
なんでそんなことしたのか、理由を聞いてもいい?
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簡単な話だよ。ただ、気に食わなかった。
……深青の『司書』がどういう存在か、知ってるよな?
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えっと……『大忘却』を超えて記憶を残しておける、
生きた記憶媒体……だったっけ?
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そうそう。けど、脳の容量には限界があるだろ?
だから『司書』は、大事な情報以外、消されるのさ。
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好きな音楽も、感動した映画の内容も……
全部、要らない記憶だって。ふざけんな、だろ?
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何を覚えておきたいかは、あたしが決める!
だから……全部、ぶっ壊してやろうと思ったんだ。
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ま、迷惑を掛ける気はないよ。
邪魔にならないうちに、出ていくさ。それじゃ……。
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……待って! それって、めちゃくちゃ
ロックじゃん! 気に入ったよ、ジュリア!