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秘密から始まる物語

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あっ、この道さっきも……。 うう……地図だと、こっちだと思ったんだけど……。
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あ、いたいた。 風花、こっちだ、こっち!
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あ、プロデューサーさん、貴音ちゃん! よかった~!
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うう、すみません。これから『秘密のメモリーズ』の 初顔合わせなのに、道に迷っちゃうなんて……。
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わかりづらい場所だから仕方ないよ。 それより、間に合ってよかった。
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早めに待ち合わせることを提案してくれた、 風花のおかげですね。
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貴音ちゃん、優しい……! うう、ありがとう~!
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いえ、真のことですから。 無事に風花と会えて、安堵いたしました。
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どのような現場でも、初顔合わせは心許ないもの……。 頼りにしていますね。
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ふふ、私のほうこそ。さっきまで大慌てだったのに、 貴音ちゃんと話してるだけで、落ち着いちゃった。
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二人でいれば、初めての役者さん達に囲まれても 心強そうだし。一緒に、頑張ろうね♪
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はい。よろしくお願いいたします。
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……よし。それじゃあ、顔合わせに向かおうか。
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―ドラマ『秘密のメモリーズ』初顔合わせ―
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(スタッフ、キャスト全員の挨拶は問題なく終了。 そのまま、セリフの読み合わせが始まった……)
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ごめんね、でもなんだか寂しくて。 高校の時は、ずっと一緒だったから……。
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こうやって、夕貴乃のいない思い出が 増えていくのかな……?
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そうだね。 あの頃とは違うんだから。周りも、私達も……。
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でも、それがきっと、 大人になるってことなんだよ。
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(読み合わせを聞いてるだけで、切なくなる。 高校時代のまま、いられたらよかったのにな……)
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……私からお伝えしたい点は以上です。 でも、全体的にすごくいいと感じました!
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皆さんから私に、ご質問などはありますか?
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……………………。
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……風花。何かあるのでしたら、ぜひ……。 私や皆にも参考になると思いますから。
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そ、そうかな? それじゃ……。 は、はい! 質問、よろしいでしょうか?
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はい。帆風さん、どうぞ。
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あの……、夕貴乃は和臣と付き合っていて、 帆風には仲の良い、拓人っていうお友達がいますよね。
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拓人は帆風のことが好きみたいですけど、 帆風は拓人のことをどう思ってるんでしょう?
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友達なのか、それとも、 帆風も恋人として付き合いたいと思っているのか……。
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なるほど、そうですね……。
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帆風の気持ちは決めていますが、 ここではあえて、言わないでおこうと思います。
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えっ? あ、あの、どうして……?
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それは、 帆風自身も揺れ動いているんじゃないかと思うから。
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答えはこれだと決めずに、その場の気持ちを 大切にして演じていただければと。
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役からずれてしまっていると感じたら、 その時は言いますから。
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……………………
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帆風の気持ちは『秘密』、かぁ。
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釈然としないようですね。
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うん……台本を読み込んで、それでも答えが わからなかったら、どうすればいいんだろう……。
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そうやって、考えながら演じてほしいって ことなのかもしれないな。
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答えを探しながら前に進む……。 人生とはそういうものなのでしょう。
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わ、貴音ちゃん大人……! でも、そうだね。 自分でしっかり考えて、頑張らないと。
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監督も、風花にできないことは要求しないと思う。 楽しむ気持ちを忘れずにな。もちろん貴音も。
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……、はい。
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