MLTD Archive(β)

もっと知りたい、あなたのこと

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―『秘密のメモリーズ』撮影初日―
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貴音ちゃん、お疲れさま! 今日は別々の撮影だったね。どうだった?
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はい、つつがなく演じられたかと。 ……風花も、その様子では順調そうですね。
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うん、俳優の方たちに教わったりして、なんとか。 やっぱり専門の方のお話は勉強になるなぁって。
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さすがですね。私も見習わなくては……。それで、 風花はこの後、劇場に戻るのですか? でしたら……
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あ、そのことなんだけど。 貴音ちゃんはこの後、スケジュール空いてる?
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じつはね、演者のみんなで飲みに行こうって 話になって。よかったら一緒にどうかなって。
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飲みに? もしや、お酒ですか?
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あ、もちろんソフトドリンクもあるから大丈夫だよ。 お料理もね、とってもおいしいみたい!
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なんと……それは、心惹かれる誘いですね。 お声がけありがとうございます。
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ですが、今日のところは遠慮いたします。 申し訳ありません。
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えっ……あっ、もしかしてお仕事?
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いえ、そういうわけでは。ただ…… 今宵はもう少し台本を読み込んでおきたいのです。
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そっか……そうだよね、まだ初日だし。 ごめんね、急に誘ったりして。
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いえ、こちらこそ。 それでは……、お先に失礼いたします。
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…………。
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ということが、昨日あったんです。 やっぱり飲み会なのがいけなかったんでしょうか……?
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うう、きっとそうですよね。貴音ちゃん未成年だし。 大人っぽいから、つい勘違いしちゃうけど……はぁ。
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なるほど。つまり風花は、 貴音に来てもらいたかったんだな。
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はい……。今回のお仕事で、 改めて貴音ちゃんと仲良くなりたいって思って。
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もちろん、今も仲良くしてくれてるんですけど、 どこか線を引かれてるような気もしていて……。
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でもよく考えたら、だからってグイグイ来られても 迷惑ですよね? 嫌われちゃいますよね?
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いや、そんなことないよ。風花なら大丈夫。 そのあたり、ちゃんと間違えないだろうから。
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えっ……、そ、そうですか? それなら、いいんですけど……。
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ただ貴音は、自分のことをあまり話さないんだ。 知っての通り、かなり浮世離れしてるところもある。
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そのあたりを気にしている部分はあるかな。 いろいろ事情があるらしい。ただ……。
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貴音は貴音なんだけどな。
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……そうですよね。人はそれぞれ、大変な事情を抱えて いて。貴音ちゃんも、そうなのかもしれないけど……。
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でも、貴音ちゃんは貴音ちゃんで。 ……そういうもの、ですよね?
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うん。それはそれ、貴音は貴音。 そういうものだと思う。
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(ただ……貴音本人は、 そうは思ってないのかもしれないな……)
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(2日目の撮影が始まった。昼間は、風花は釈然と していなかったけど、大丈夫だろうか……)
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「話しててわかるよ。 夕貴乃は、和臣さんが大切なんだって」
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「だから、これ以上自分を傷つけないで」
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「……そう言う帆風はどうなの?」
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「えっ、私? どういうこと?」
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「帆風は、拓人のことが好きなんじゃないの?」
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「……夕貴乃には、そう見えるの?」
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カメラ、まだ止めないで。 ……帆風にクローズアップ。もっと。……もっと。
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はい、カット! ……いただきました。
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