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(『秘密のメモリーズ』の撮影は順調に進んでいる。
そして貴音と風花の仲も、自然と深まっているようだ)
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? 風花、どうしたのですか?
今日の撮影に、なにか問題でも?
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ううん、今日のことじゃなくて……。
明日からの撮影、私達の高校時代のシーンでしょ?
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台本をもらった時から覚悟はしてたんだけど、
いよいよだって思うと、どうしても憂鬱で……。
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高校時代が憂鬱……風花がですか?
はっ。もしや、何かよからぬ出来事が……?
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え? あ、ごめんね、そういうことじゃなくてっ。
単に、制服を着るのが恥ずかしいなって……だけです。
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そうでしたか……。とても可愛らしい、
風花によく似合う制服だったと思いますが……。
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でも、やっぱり無理があると思うし。
高校生の中だと、どうしたって浮いちゃうでしょ?
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それに……今の私が着ると、どうしてもぱつぱつに
なっちゃって、さわやかさに欠けるっていうか……。
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……。風花自身がそのように思うのでしたら、
仕方ありませんが……。
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ただ私には、試着した時の風花は、
とても涼やかに見えました。
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瑞々しく、純粋な心そのままのような色合いの生地に、
藍色の髪の色がよく映えて、鮮やかで溌溂として……。
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ちょ、ちょっと待って貴音ちゃん! 元気づけてくれる
のはうれしいけど、ちょっとお世辞がすぎるよ~!?
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でもうれしい! 単純だけど、おかげで勇気が
湧いてきちゃった……ふふっ。私、頑張るね!
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……お世辞ではなかったのですが、何よりです。
風花の涼やかな姿、楽しみにしていますね。
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というか、貴音ちゃんこそ、まだ18歳だもんね?
現役っていってもいい年だし。
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すごく大人っぽいから、今回も大人の役だけど……
高校生の役もしっくりくるんだろうな~。
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…………。
しっくり、くればよいのですが……。
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じつは私も、高校時代のしーんは、
少々……不安なのです。
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私は……。
学校には、あまり……通わなかったものですから。
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ですから、学生の日常というものが、
いまひとつ……想像できません。
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今回の台本にも、意味の取れない言葉や、
流れのわからないところが多く……。
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そうだったんだ。でも、それなら私が教えてあげられ
るんじゃないかな? どこがわからなかったの?
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いえ、このような話をすると、
まず理由を聞かれることが多かったものですから。
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あ、そっか……。でも学校に行ってない人って、
意外とたくさんいるから。
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私が勤めていた病院にもね、たくさんいたの。
もちろん病院だから、その子たちは病気が理由だけど。
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中にはもう行けるのに、
行こうとしない子もいたっけ……ふふっ。
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だから貴音ちゃんも、
そんなこと気にしないで。なんでも聞いてね♪
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……。そう、ですか……。
あの……ありがとうございます。
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では早速ですが、お言葉に甘えて。
……教えていただけますか?
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はい。じつは次回に撮影する最初のしーん、
5ぺーじ目なのですが……。
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(その後、二人は車で迎えに来た俺の入室にも
気づかないほど、ずっと熱心に台本を確認していた)
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(真剣な様子だが、心なしか二人とも表情が柔らかい
……もうしばらく、そっとしておこう)