MLTD Archive(β)
メインコミュ 第 105 話 公演前 2 / 5 パート

If you believe in me.

音声再生は内部プレビュー専用です。本文はどなたでも閲覧できます。

1
(新作ドラマの撮影が、いよいよスタート! アイドル達は、万全の準備で臨んだのだが……)
2
「貴方は、私に恋していると言ったけど…… それは本当に、私に、なのでしょうか……?」
3
カーット! ……うん。二階堂さん、いいですね。 けど、できればもう少し表情感を変えて……。
4
なるほど……わかりましたわ。 ではもう一度、やってみます!
5
「私だって……あなたに触れてみたいと。 もっと、近づきたいと思うんです。でも……!」
6
「見ないふり、気づかないふり……そうすれば、 まだ……。あっ、ううん! なんでもないの」
7
……カット! うーん…… ちょっと、イメージと違うかな……。
8
白石さん、最上さん、お疲れさま。 いったん休憩にしましょう。
9
は、はい……ありがとうございました。
10
はぁ……。すみません。 なんだか私、足を引っ張っているみたいで……。
11
そんな、最上さんが足を引っ張っているというなら、 私なんてもっと……うぅ……。
12
まだ撮影初日ですもの。ふたりとも、 あまり気に病むことはありませんわ。
13
「イメージと違う」というのは、とても抽象的で、 難しいオーダーだと思いますし。
14
ホントよね~。私なんか、「百瀬さんは演技が 過剰過ぎる」って……過剰ってなによ! もう~っ。
15
まあまあ……。千鶴さんの言うとおり、 まだ撮影は始まったばかりだから。
16
そうですね……噂どおり、厳しい監督さんですけど。 その分、作品作りに真剣なのを感じます。
17
だから今回のドラマも、 きっと素敵なものになるんじゃないかしら。
18
完成したイメージを持っているのは監督だけ…… なら、監督を信じるしかありませんしね。
19
それにしても、千鶴ちゃんすごいわね。 ここまで、一番NGが少ないんじゃない?
20
それは、たまたまですわ。わたくしの演技が、 監督の作品イメージに合っていただけかと……。
21
わたくしは、監督の過去の作品も観ていましたし…… 目指すところが、なんとなく掴めただけかと。
22
……あの、二階堂さん。もしよろしければ、 何かアドバイスを頂けませんか?
23
わたくしが、ですか?
24
はい。私は、そこまで演技が得意というわけでは ないので……ご迷惑でなければ、お願いします。
25
わ、私にもお願いします!
26
そう言われましても、ええと……そういうことは、 プロデューサーに聞いたほうが良いのでは?
27
いえ。同じアイドルとして、演技をする者としての 立場からの方が、響く事があるのかもしれません。
28
千鶴さん、よかったらお願いできませんか?
29
プロデューサー……わかりましたわ。 そうですわね、ええと……。
30
先ほどのお芝居に関して言えば、わたくしは 自分のことと重ねていたんですのよ。
31
自分のことと……?
32
ええ。わたくしが、中学生の頃のことですが…… クラスメイトに、告白されたことがあったんですの。
33
ええっ、告白!? それでそれで? その人とは、どうなったの!
34
莉緒……。 相手は、どんな人だったんですか?
35
商店街のコンビニ…… ではなく! 大手チェーン店の御曹司ですわ!?
36
サッカー部のエースで、女の子に人気があって…… だから、余計に驚いてしまったんですのよ。
37
千鶴ちゃんは、その人と、お付き合いをしたの?
38
いいえ、お断りしました。わたくしは、 クラスメイトとしか見ていませんでしたし。
39
けど、その時はとても悩みましたわ。相手の 気持ちもあることですし、真剣に答えなくては……と。
40
悩んで、断って……次の週、彼はもう、 別の女の子とお付き合いをしていましたわ。ふふっ。
41
え~っ!? 何それ、ずいぶんじゃない! 千鶴ちゃん、そんなヤツ振って正解よ!
42
ええ。その時のわたくしにも、彼がいったい 何を考えているのか、わかりませんでしたわ。
43
けど、今になって思うんです。失恋を癒すために、 彼は新しい恋を選んだのかもしれない、と。
44
わたくしは彼の恋に振り回されただけかもしれません。 けど……それもまた、恋の一部だったのではないかと。
45
相手に、振り回される……。
46
恋の、一部……。
47
なるほど。そう考えてみると、さっきのふたりの 演技は、少し落ち着きすぎているかもしれないな。
48
『片思い』というのは、まだ一方通行だから。 気持ちが通じていない分、焦りや不安もある……。
49
千鶴さんは、恋をされる側だったけど。 お芝居のふたりは、恋をする方なわけだから……。
50
つまり、もっと慌てたり、焦ったり……。 振り回されている感じが出せれば……?
51
なるほど! それならわかるかも……。 ありがとうございます、やってみます!
52
……カット! うん、いいですね。 最上さん、白石さん、今の感じでお願いします。
53
……!
54
あ、ありがとうございます!
55
それから…… 二階堂さん、ちょっとよろしいですか?
56
? はい、なんでしょう?
57
…………ふぅ。
58
(千鶴さん……撮影が終わってからずっと、 浮かない顔をしているな。何かあったのかな……)
59
千鶴さん、お疲れさまです。 さっきから溜め息を吐いて、どうかしましたか?
60
はっ!? プロデューサー…… い、いえ、なんでもありませんわ。
61
わたくしは見てのとおり、元気ですわよ! おーっほっほっほ、ゲホッゴホッ!
62
そうは見えないんですが……。さっき監督に 呼ばれてましたけど、何か言われたんですか?
63
そ、それは……その……。
64
千鶴さんが話さなくていいと思うなら、 無理には聞きません。
65
でも……遠慮は、しないでください。 千鶴さんのプロデューサーなんですから。
66
……ええ、ありがとうございます。 そうですわね。頼りにさせてもらいますわ。
67
実は……先ほど、監督に言われたのです。 わたくしの演技には、どこか嘘があると……。
68
嘘……ですか?
69
ええ。もっと素顔を曝け出して…… 心を見せて欲しい、と言われました。
70
嘘偽りのない……わたくしの心を……。
71
……千鶴さんも、 自分は嘘を吐いていると思うんですか?
72
心当たりは……なくもないですわ。
73
……。
74
静香と紬は、最初こそ拙かったかもしれません。 けど、その分真っすぐで、嘘がありませんでしたわ。
75
あずさと莉緒さんも、 とても正直だったと思います。
76
プロデューサー。監督の言うとおり、 わたくしは、自分を曝け出すべきなのでしょうか?
77
いえ……監督の言うことは、当然聞くべきですわよね。 けど、わたくしは……。
78
……これが、今言うべき事かどうかは、 わかりません。けど……。
79
俺はプロデューサーとして、 千鶴さんの努力を、傍で見てきました。
80
本物ではないとしても……千鶴さんのお芝居は、 大勢の人を感動させ、幸せにしてきました。
81
……プロデューサー…… 貴方……。
82
だから、千鶴さんが望むようにしてください。 後の事は、俺が責任を持ちます。
83
千鶴さんに望む形があるなら、俺は プロデューサーとして、それを支えるだけです。
84
まあ……ふふ。そうですわよね。 貴方は、そういう方でしたわね……。
85
委ねるような事を言ってしまって、すみません。 ……千鶴さんの欲しい答えと、違いましたか?
86
……いいえ! 100点満点の答えですわ、プロデューサー!
87
わたくし、今から監督のところに行って参りますわ。 わたくしの意思を、きちんとお伝えしなくては!
88
え、今からですか?
選択肢
89
それなら、お供させてください!
90
もちろん、わたくしは最初からそのつもりでしたわ。 貴方は、わたくしのプロデューサーですもの。
91
では、参りますわよ。ついておいでなさいまし! おーっほっほっほっほ!
92
……おや、二階堂さん。どうかしましたか?
93
監督。さきほどのご提案ですが……やはり わたくしは、このまま演じさせていただきたいですわ。
94
このままの……今の、わたくしのままで。
95
……。理由を聞かせてもらっても?
96
わたくしに期待してくださる、ファンのみなさまのため ……そして何より、わたくし自身のためですわ!
97
わたくしは、今のわたくしのままで 『本物』になりたいのです。
98
それでは、いけませんか?
99
…………。
100
監督、お願いします! プロデューサーとしても、 二階堂の意思を尊重したいんです。
101
そうですか。 ……貴方には、それを貫く覚悟がある、と。
102
っ……ええ。
103
わかりました。……では、その覚悟を 見せていただきたいと思います。
104
残りの撮影も、頼みましたよ。二階堂さん。
105
ありがとうございます! ……必ずや、応えてみせますわ!
106
おーっほっほっほっほ!
107
「変わりたい……でも、変われない……。 私はずっと、いくじなしのまま……」
108
「いつか、本当の気持ちを打ち明けられる、 その時まで……どうか、待っていてください」
ホイールで拡大 / ドラッグで移動 / ダブルクリックで等倍ピンチで拡大 / ドラッグで移動